インタビュー写真4

何かを始める時には絶対違和感を感じるけれど、それがないとその先に得られるものはない。ーほのぼのさん

 受験ではなく『生き方』に注目して進路を考えるためのウェブサイト、「こんな生き方」。今回は現在大学生の、ほのぼのさんにインタビューしました。教育や開発について勉強しており、ザンビアに行ったりアメリカでインターンをしたりととてもバイタリティのある方です。でも、大学の勉強の中で「この授業を取っても役に立たないんじゃないか」と悩んだこともあったそうです。ほのぼのさんが悩みつつも、どのように考え選択してきたか高校時代から遡って聞きました。中高生だけでなく、現在大学生の方も必見です。(※インタビューは再構成済み、写真とキャプションはほのぼのさんに送ってもらったものです。)

目次(質問リスト)

1.高校時代で印象に残っていること
2.高校卒業後は何をしたいと考えていたか
3.高校生にアドバイスをするとしたら?
4.大学生活について
  ・大学での勉強
  ・ザンビアでの経験
  ・アメリカでのインターン
  ・悩んだこと
  ・悩んでいる状態からどのように抜け出したか

5.「失敗」について思うこと
6.好きな本
7.これからやってみたいこと

      ▲雑貨屋さんで見つけたポストカード

ー高校生活で印象に残っていることを教えてください。

 カナダに留学したことです。 カナダでは留学生ということもあってたくさん友達ができるのかなと思っていたけれど、全然向こうから話しかけてくれなくて。向こうにとって留学生は当たり前で、(私が)英語が話せないことも分かっているから、友達が全然できませんでした。1ヶ月ぐらい経った時に「これは自分から話しかけに行かなければだめだな」と思って 。「Hello」と言ったり、小さなことを話しかけたりするようになりました。その経験が大きかったです。日本では、ずっと「静かでいい子だね」みたいな感じのことを、お母さんや周りの人に言われていました。それは良いことだと自分でも思っていたのですが、留学を通しやっと、自分から外に出れるようになった気がする。

ー留学に行こうと思ったきっかけは何ですか。

 中学生の時に、普通に高校で3年間過ごすのは嫌だなと思い、何をしようかなと考えていました。また、長期休みの時にお母さんと車で日本を旅していて、日本の中でも言葉や文化などたくさん違いがあることに気が付き、世界にいたらどうなるんだろうなと思っていました。 世界に行くなら英語を話せた方がいいよなと考えて、留学しようと思いました。英語がすごく嫌いだったから、勉強をするより現地に行ってしまった方が早く身につけられるかなと思って。 

ー高校卒業後は何をしたいと考えていましたか。 
 
 留学から帰ってきた後は、先生や親から「良い大学に行って良い会社に就職しなさい」といったことを言われていて、自分でもそうしなくてはと感じていました。でもその中で自分の学びたいことが学べる大学にしようと思いました。私は教育と開発にすごく興味があったので、その両方を学べて英語も勉強できる大学にしました。


ー高校生にアドバイスをするとしたらどんなことを言いますか

 私が受験生の時に思ったのは、良い大学に行くという考え方にとても囚われて人がいるなということでした。自分が行きたいというよりも、大学の名前だけで選んでいる人たち。「〇〇大学に入りたいから、その大学の学部を全部受ける」みたいな人も沢山いました。けれど、私はそれは違うなと思いました。
 また、私は浪人していたので大学に受かったあと時間があり、北海道に3ヶ月間インターンシップに行っていました。 その時初めて社会人と接したのですが、その人たちを見ていたら別に有名な企業に勤めているわけではないけれど、自分がしていて楽しいことを仕事にしていて。 別に、良い企業に行くことだけが全てではないと思いました。自分がやりたいことだって仕事にできるし、「何百もの企業に応募しなきいといけない」とか、「仕事なんて全然ない」と言われていたけれど、仕事は沢山ありました。自分のやりたいように何でも出来るなって思いました。だから、やっぱり一番好きなこと、興味があることについて考えて、それを学べる大学に行った方がいろんなことを吸収できる気がする。

     ▲函館市住吉漁港の朝焼け


ー大学生活について教えてください。

  勉強について

 私は教育に関連した授業を取っていたけれど、1年生の時はすごく悩んでいました。北海道にインターンに行ったからこそ、「大学で勉強しなくても社会に出られるんだ」と感じていて、大学で勉強していることがどう今後役に立つのかとすごく考えてしまいました。最初の1年間は、「この授業を受けていても意味ないんじゃないか」といったことを思いながら過ごしていました。
 でも結局、別に役に立つとか立たないとかいう問題ではなくて、今は自分が興味を持っていることを勉強することが大事だと思いました。そうすることによって色々な考え方をできるようになると言うか。自分の勉強したいことをたくさん勉強するのが大学生なのかなと思いました。

挑戦したこと

 私は発展途上国の教育にも興味があったので、将来そういう方に進もうかなとも考えていました。でも自分が何かしても変わらないのかなという思いもあったから、とりあえず(途上国に)行ってみようかなと考え、大学2年の夏ザンビアに一か月間行きました。 ザンビアに行って思ったのは、結構みんな幸せなんだということ。お金がないなりに、毎日音楽聴いてダンスして。結局、どこに住んでいてもその人たちなりの生活や幸せがある。じゃあ私は何をしたらいいのかな、何ができるのかなと悩んで帰ってきました。

ーザンビアへはボランティアで行ったんですか。

 Workawayという、どこかに行きたい人と受け入れたい人を繋げるサイトを利用しました。 働く代わりにご飯と住む場所を提供してもらえるので、かかったのは交通費くらい。ザンビアの視覚障害者の子たちがいる学校で1ヶ月働いていました。

ー他にザンビアでの経験で印象に残っていることはありますか?
 
 ザンビアの人たちは障害者に対する考えがまだあまりないというか……あまり興味がないのかもしれない。 障害を持った子たちに対して差別とかがそんなにありませんでした。でも、それにしては街に障害を持っている人を全く見かけない。小さい頃に障害を持って生きていく分には問題ないのかもしれないけれど、大人になった時にその人たちが生活をしていく場所がないのかな。気にしてないからこそというか。それか、日本もそうだったと思うんですが、働けないと意味がないという考え方があると思います。

 だから、町ごとに持っている問題点や必要なものは全然違うなと思いました。ただ単に学校を作って教育を、という支援もいいけれど、もっと細かく見ていったら、その場その場で必要なものがある。これからそうした細かいことをどう見つけていこうかな、と思いました。


ー今やっていることについて教えて下さい。

 今は日本の文化を紹介する仕事でアメリカに来ています。日本の文化に興味があったから、そうしたことを伝えるのっていいなと思い、英語も勉強したかったので参加しました。
 お客さんも色んな人がいるから面白いです。「ありがとう」などの言葉を教えるだけのことも多いけど、それは(お客さんが)日本に興味を持ってくれた最初の一歩で、これからもっと興味を持ってくれるかもしれないし。

 あと、アメリカに来てアメリカ社会の現実を知りました。貧しい町と都会の格差がすごく激しい。あと、色んな人種の人が住んでいる国なのに、差別とまではいかなくても「自分たちは自分たち」と思っている人が結構います。

  ▲フロリダ、Kissimmeeでのカヤック

ー今までの大学生活で大変だったなと思うことはありますか?

 「何のために勉強してるんだろう」と悩んだことが一番辛かったかな。そうすると勉強する気にもならなくて、授業を受けていても楽しくなかったです。だから成績もどんどん悪くなっていってしまいました。

ー悩んでいる状態からどうやって抜け出しましたか? やったことなどあったら教えて下さい。

 その悩みに関しては、1年間くらいずっと考えて、結局「やっぱり自分のやりたいことを勉強した方が楽しいし充実してるな」と思ったから「自分のやりたいことを勉強しよう」という考えになりました。

あと、ザンビアに行ったときやアメリカに来たときも、行く前はすごく嫌でした。やっぱり自分の家にいた方が落ち着くし、「行きたくないな」って思っていました。でもそういう時は「行ったら何か得られるものがあるよね」って考えました。あと、その時に思い出したのが中学校の時の先生の言葉です。先生が離任式で「(新しい学校に赴任した時は)全然違う環境で分からないことも多いけれど、その違和感が良い」と言っていて。(聞いた時は)「違和感なんて全然良くない」って思っていたのだけれど、(自分で)色んなことを経験して、「違和感が何かを得るための最初のステップ」だと思いました。何かを始める時には絶対に違和感を感じるし、嫌だな、不安だなと思うけれど、それがないとその先に得られるものはない。大学生になって、先生の言っていた意味が分かりました。


ー「失敗」についてどう思いますか? 人によって「失敗は成功のもと」と思う人や「失敗は怖い」と感じる人もいるなど捉え方は違うと思うのですが、ほのぼのさんはどう感じますか?

 
 私は、失敗しても「まあ仕方がないかな。それが運命だから」って思うことが多いかもしれないです。例えば、大学受験の時もほとんど不合格だった時、「この大学は自分が行く運命じゃなかったんだな」って思いました。どの失敗に対しても、「仕方がないよな。他に私が行くべきところがあるのかな」って思います。


ー自分に影響を与えた、支えてくれたコンテンツがあったら教えて下さい。

 
 パウロ・コエーリョが書いた『アルケミスト』という本です。そこに、Maktubというアラビア語が出てきます。英語で言うと、「It is written」。「もう書かれている」みたいな意味。私のすること、したいことは既に決まっているから、自分の好きなようにしなさいという感じかな。これを読んで、自分の思うようにやることが運命、今やるべきことだと思いました。その方が楽しいし(笑)

ー今後やってみたいことがあったら教えて下さい。

 
 日本の伝統文化が気になっています。伝統工芸品など色々なものがあるから、それを知りたいし、見たいです。日本はそれぞれの文化に対して専門的な人がいる。そういうものをもう少し見ていきたいです。
 あとは、「私はこういう人です」と言えるくらい自分の考え方をちゃんと整理したいです。自分が何を思っていて何をしたいのかまだ分からないから、整理したいと思います。 

ーありがとうございました。




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