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インパクト・スタートアップとは何か。Forbes JAPAN巻頭取材を受けて。

本日発売のForbes JAPAN9月号の「インパクト100特集」で、慎泰俊さん(五常・アンド・カンパニー)、水野雄介さん(ライフイズテック)、前田瑶介さん(WOTA)、 星直人さん(ユニファ)、高橋祥子さん(ジーンクエスト)、岡島礼奈さん(ALE)、松田崇弥さん(ヘラルボニー)と共に表紙及び、インパクト・スタートアップについての巻頭取材をしていただきました。

https://forbesjapan.com/magazines/detail/140


インパクト・スタートアップってなに?

Big Society Capital(英国の社会的ファイナンス組織)のページに掲載された記事によると以下のような定義があります。


A startup whose purpose is to contribute to solutions that create posituve change - and over time enables and evidences strong impact performance through proportionate impact practice.

https://bigsocietycapital.com/latest/what-is-an-impact-startup/ 

日本語訳すると、前向きな変化を生み出すソリューションに貢献することを目的とし、そして時間をかけて、適切なインパクトの実践を通じ、強力なインパクト・パフォーマンスを成し遂げ証明しようとするスタートアップを指します。

普通のスタートアップと異なるポイントも以下のように整理されています。

1)創業者の動機と意図が「インパクト」目線
2)期待される・達成されるパフォーマンスが何か
3)「インパクトの実践」(impact practice)を行っているか

なぜインパクト・スタートアップが必要なのか?

こういったスタートアップの必要性が上がるのは、資本主義の転換が叫ばれているからだと考えます。
従来の資本主義での企業価値は、利益を中心とした時価総額から来ています。一方で、世界的な潮流として、資本主義が株主に対する短期的な利益を最大化する思考に陥ってしまうことで、長期的な世界に対して損害をもたらしているのではないか。という声が多く出ています。例えば、米国で最も強力なビジネスCEOからなる団体のビジネス・ラウンドテーブルなどでも「企業の目的に関する声明」という公開書簡が出ています。

そういった背景のもと、世界的に、短期の利益を最大化するだけではなく、長期にわたって、企業に対して「長期的に、どのような役割を果たすのか?」を明らかにするよう求める動きが起こり、その指標として「インパクト(=その組織や活動がどんな影響を社会に与えるのか)」を評価することが重視されるようになってきています。

新しい資本主義とインパクト・スタートアップ

私は岸田政権が掲げる「新しい資本主義実現会議」の民間有識者として昨年から会議に参加をしています。新しい資本主義ってなに?多くの方から質問をされるのですが、私の考える新しい資本主義の「新しさ」は、

これまで社会における「お荷物」とイメージされやすかったイシュー(社会課題)を 「経済を成長させる起爆剤のひとつ」と捉え直し そこへ取り組む挑戦者を積極的に支援していくことではないかと考えています。

従来は「社会課題解決」の主体は、日本においては「官」が担うと考えられていたと思います。一方で、社会のニーズは分散化、個別化していることで、複雑性をましており、「官」だけがそれらを捉えてサービスを提供することは難しくなっていると思います。
だからこそ、社会課題を解決する「民」の力がより大きくなる必要があると考えています。

私たちREADYFORがクラウドファンディングなどを通して、積極的に支援をしているNPOなどのソーシャルセクターの皆さんたちは、まさにその力がますます必要とされているプレイヤーであります。そして今回提唱されているインパクト・スタートアップもその一役を担う存在になるべきだと考えています。

一方で、スタートアップは株式会社であり、通常は短期的に株主利益を最大化することが求められているという中で、「社会性」と「事業性」の二兎を追うために、どのようにステークホルダーとコミュニケーションをする必要があるのか、その答えの一つが、「インパクトの可視化」であるのではないかと思います。

社会的起業家との車座対話https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202204/27kurumaza.html


「社会性」と「事業性」の二兎を追う私たちのチャレンジ

今回巻頭インタビューに登場するスタートアップの皆さんは、まさに二兎を追うことをどのように実践するのかを日々最先端で考えている方々です。
インタビューにもありましたが、何社かはすでにインパクトの可視化や、社会性を判断するために作られた米国のB-Corpなどのガバナンス認証を取得している動きもあります。ただ、まだこれぞというフォーマットができていないことで、各社それぞれ実践している状況です。
今回の取材が発端となり、取材を受けたスタートアップを中心に、実践のノウハウをため、発信するコミュニティを始める予定です。

また、こうしたインパクト・スタートアップが増えていくことで、お金の出し手となるインパクトを重視した投資を実施する「インパクト投資市場」がこの数年で大きな波になってくると考えています。

READYFORとしても、インパクト・スタートアップの一社として、そして、市場原理の外側にお金の流れをつくるインフラなることを目指す企業として資本主義社会のアップデートを牽引していきたいと思います。

個人としては、この動きを通して、「社会性」も「事業性」も両立するインパクト・スタートアップがこれから起業する若い方々にとって、起業する際の新しい潮流になっていったら嬉しいなと思います。

我こそは、というインパクト・スタートアップの皆さんも、そしてインパクト投資側に興味がある皆さんも一緒に新しい波を作っていきましょう!


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