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蘇生

2022.9.19 Mon

忘れ物を取り戻しに行こう。

もう諦めていた憧れを、希望を、叶いもしないと思っていたことを実現させよう。そして、この冴えない現実を夢みたいに塗り替えればいい。

新しい環境、新たな出会い、新しい挑戦。

ずっと続けてきたこと、夢中だったことの優先順位がいつからか変わっていて、仕事にこなすだけの毎日。

そこに抗おうとした。でも、できなかった。

だから、終わりを作った。

終わりがあれば、期限が決まれば、そこまでなら頑張れると思ったから。

だけど、憧れには悔しさが残った。でも、これで終わり。吹っ切れていた自分がいた。自分の中で、終わらせようとしていた。


「お前にキャプテンをしてもらいたい」

今年の三月、監督に言われた言葉を、最近何度も思い出してしまう。

人生で初めてのキャプテン。純粋に嬉しかったと同時に、
「自分で大丈夫なのだろうか」
「今シーズンやりきれるだろうか」
そんな不安があった。

仲間に相談し、決断して引き受けたキャプテン。
だけど、責任を背負うだけの力は自分にはなかった。

目標としていた試合まで続けたけれど、自分のサッカー人生のすべてを出し尽くせたとは思えなかった。

覚悟なんてなかった。

これでサッカーと本気で向き合える時間は最後だということを、本気で受け入れきれなかった。自分の甘さが最後まで出た。

「監督はどんな思いで俺をキャプテンに指名したのか」
「本気でやるという覚悟と責任が自分にはあったのか」

何度も思い返してしまう。
このまま終わってしまっていいのだろうか。

まだ終わっていない。
まだやれることがある。
だってまだ、シーズンは終わっていないんだから。

もう一度ピッチに立ちたい。
キャプテンマークを巻いて、チームのために戦いたい。

こんなキャプテン、間違いなく失格なのはわかっている。
でも、もう一度頑張りたい。


いつか、必ず終わりが来ることを今は理解している。
永遠なんて存しない。よくわかっている。苦しほどに。

だから、だからこそ、今この瞬間、まだサッカー選手であり、このチームの一員である今この瞬間を全力で熱く、プレーしたい。

2022シーズンはまだ、終わっていない。

叶いもしないと夢を見るのはもう辞めにすることにしたんだから
今度はこの冴えない現実を夢みたいに塗り替えればいいさ

(Mr.Children「蘇生」)

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