僕が自閉症者として一番悩んでいるのは、

聴覚過敏ではなくて、フラッシュバックだった。

嫌な事を再体験してしまい、

頭痛や息苦しくなることが高頻度である。

いつだって、もしものことを考える。

あの日、あの選択をしていなければ　　　　　　あの日、あの道を進んでいなければ
あの時、ちゃんと、助けを呼べていたら

もっと違う人生だったかもしれない。

自分の脳内には後悔の文字が、

幾千万もの数埋まっている。

自閉症とトラウマに直接的な関係はない。

でも、トラウマを持つ程の経験を

不幸にも持ってしまったら？

自閉症者の場合、

その特異的な記憶方法によって、

フラッシュバックの頻度は高まり、

苦しみは長く続いてしまう。

これは自閉症者にとってひどく残酷な事だ。

だって自分の意思とは関係ない。

いつまで苦しんでいるんだ？
良い加減前向けよ

そんな心無い言葉を、

痛みのない人生を送って来た人間は

植え付けてくる。

それは僕を救おうとした言葉なのかもしれないが、少し無責任だと思わないのか。

この世界には、様々な暴力の被害者がいる。

言葉の暴力を含め、あまりにも多くの。

自閉症者はそういう経験を持つ人達が多い。


この症状だけは、何しても抗えない

辛いものは辛い

薬を飲んでも治らない

一生付き合っていくものなのか。

いつかこの痛みは、

いつか思い出のような花束に

なるでしょうか。

ずーっと同じことを反芻してしまう。

これも自閉症のせい。

今は信じるしかない

辛いけどね。