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【カナダ留学】近現代美術館AGOで感じた現代アートのメッセージ

私は美術館、特に近現代アートが大好きです。

トロントのダウンタウンにあるAGOという大のお気に入りの美術館で、今kawsとキースヘリングの期間限定展示をやっているので、旅行も終わり、学校とインターン探しも落ち着いたので、ついに念願、行ってきました。




ニューヨーク旅行を通して感じたこと


ニューヨーク旅行を通して、感じたことが2つあって、
1つは、地に足つけて、丁寧に毎日をしっかり生きることを大切にしようと思ったのと、

それからもうひとつ、テストだったり資格だったりのための、義務的で薄っぺらい勉強じゃなくて、
もっと広い視野を持って、自分の興味の赴くままに、いろんなことを深く知りたいと思いました。


美術館の楽しみ方の変化

今までの私の美術館を回るスタイルは、
基本的にふらーっと見回って、ビビッと来たものの前で立ち止まって、じーっと見つめて、なんとなく自分の中に湧き上がる感覚を感じる、みたいな、
すごい抽象的で感覚的な鑑賞の仕方でした。

だから絵の説明をじっくり読んだり、作者についてしっかり調べたり、そういう分析的な、深い鑑賞の仕方はしてこなくて、

でも、ニューヨーク旅行を終えてから、何事も、そのバックグラウンドを知ったり、込められてる意味を知って体験する方が、何倍も楽しめるなって思ったので、

今日は、じっくりひとつひとつの説明を読みながら、理解しながら、作品を見てまわりました。

この周り方は、すごく深く鑑賞できる分、ひとつひとつに感じることが多すぎて、まじで疲れるので(笑)、

今日はkawsとキースヘリングの展示だけまわりました。


現代の悲しい社会をポップなキャラクターで表現しているkaws

kawsのキャラクターって、フォルムも色遣いもめちゃめちゃポップで、ぱっと見は明るいエネルギーに溢れてるように見えるんです。

でも、実際にキャラクターたちを見てみたら、めっちゃうつむいてたり、顔を覆っていたり、ただならぬ闇を感じます笑



kawsとは

KAWS(本名:ブライアン・ドネリー Brian Donnelly)は、1974年にニュージャージー州のジャージーシティで生まれました。小学生の頃からグラフィティ(主にスプレー缶を用いて公共の場に文字や絵をかくこと)に取り組み、10代で「KAWS」というタグ(グラフィティー・アーティストが使うサイン)を使い始めます。

KAWSは1990年代にニューヨークへ進出し、グラフィティによって少しずつ名前が知られるようになりました。

https://kaitoriart.com/blog/kaws

1999年、KAWSはバウンティ・ハンターという日本のブランド会社からの依頼で日本を訪れます。このときに制作したのが、いまや彼の代名詞にもなっている目が×印のキャラクター「コンパニオン」です

https://kaitoriart.com/blog/kaws


目が❌印なのがkawsの作品の特徴になってます。


美術館の説明やネットでの情報をちょっとずつ拾いながら、私がみた作品を振り返りたいと思います。

最初は、ミッキーマウスをモチーフに作られているらしい、kawsの代表的なキャラクターであるコンパニオンですが、

顔を手で覆うコンパニオン
うつむいてる

このうつむいて手で顔を覆っている感じ、つらい、悲しい、マイナスオーラ全開ですよね、笑

このタイプの作品は2010年のkawsの個展で公開されたらしいです。

現代を生きる人々の、つらい、悲しい、顔を覆ってしまうようなどうしようもない状況を投影しているようです。

でもなんとなく、私の感想としては、これを見て、さらに辛くなる、というよりは、

みんな辛いよね、でも大丈夫、みたいな、

共感してくれる、寄り添ってくれる優しい動物みたいな、そんな感じがしました。


次は、



コロナ禍でロックダウンしていた社会を表現している絵たちです。

私はコロナが一番ひどかった時受験生だったんですが、

当時はコロナがどんなものかだれもわからなくて、この檻に入れられたような生活が永遠に続くんじゃないかって絶望しかけてた、当時の人々の心境を思い出しました。

これが、何十年も経ったら、コロナ禍の状況を描いた作品です、みたいな感じです鑑賞されるのかなって思ったら、なんか不思議な気分でした。

また、kawsはいろんな作品とコラボしています。


kawsが人気になった理由として、いろんなブランドとコラボしたり、有名なキャラクターをフューチャーしているからとネットにかかれてました。

kawsは結構日本に来てるらしくて、日本のことも美術館の説明にちらほら出てきてたんですが、シンプソンズのエリアの横に、

日本で、シンプソンズみたいな風刺漫画がこんなに人々の生活に取り込まれているのは奇妙だ、

みたいなことが書かれてて、ちょっと気になったので調べてみたんですが、

アメリカの一般的な中流階級の家庭事情をシンプソン一家に要約して表現されており、それはそのライフスタイルを皮肉ったパロディとなっている。シンプソン一家(英語版)はホーマーそして妻のマージ、息子のバートと娘のリサとマギーの5人で構成されており、架空の町であるスプリングフィールドに住んでいる設定になっている。そして、彼ら一家を通してアメリカの中流階級(労働者階級)の文化および社会状況を風刺的かつ強調して描き出したものになっている。

シンプソンズって、結構シビアな問題を描写してたり、残酷描写や性描写がストレートらしくて、アメリカだと大人向けアニメとして認識されてるらしいです。

カートゥーンネットワークとかで放送されてるアニメとか、たしかによくよく考えてみたら結構えぐいことやってたりしたなとか思って、

アメリカのアニメだから、当事者意識をあんまり持たずに、生活には関係ないただの娯楽として、客観的に俯瞰的に見てるのかなーとか思ったり、

そういうアニメとかの娯楽の内容に関しても、もうちょっと深く考えるべきなのかなーとか思ったり

もやもやしてました。


ちょっと書き出したら止まらなくなりそうなので、あとはダイジェストにします笑

親子
木シリーズ
こんな輝いてるのに顔を覆ってる


kawsは、ポップなアートが、現代問題を考える入り口になれば、と考えているそうです。

それこそ現代アートが存在する意味であり、多くの現代アート作家が意図していることなのかなと思いました。


黒人カルチャー、エイズ、資本主義への反抗を表現しているキースヘリング

キースヘリングは、kawsと同じくアメリカニューヨークのアーティストで、ストリートアートの先駆者とも言える画家であり、エイズの合併症により、31歳で亡くなっているそうです。

私的に、キースヘリングはkawsよりも衝撃的でした。

kawsが、なんとなく暗い世の中を、やわらかいタッチのキャラクターでぼんやり表現している感じなのに対して、

キースヘリングは、割と荒々しいタッチで、それも表現したい社会問題を、割とグロテスクに直接的に表現していました。


まず私が入ったのが、「アンチ資本主義」を表現している作品のエリアです。

作者が生きていた時代、アメリカではレーガン政権のもとレーガノミクス 新自由主義が展開され、富の不平等が急速に拡大していた時期でした。

レーガノミクス(英語: Reaganomics)とは、1980年代にアメリカのロナルド・レーガン大統領がとった経済政策の総称である。命名者はABCのブロードキャスターであるポール・ハーベイ(英語版)。経済活動に関する規制の撤廃と緩和による自由競争の促進、通貨供給量に基づく金融の引き締めと緩和・戦略防衛構想(SDI)の推進などによる軍事支出の増大・大規模な減税による供給面からの経済刺激を主張する政策を遂行した[1]。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/レーガノミクス#:~:text=レーガノミクス(英語%3A%20Reaganomics)と,キャスターであるポール・ハーベイ%E3%80%82



貪欲なビジネスマンを描く際によく使われた、資本主義の豚を描いているそうです。

資本主義の豚が、資本主義の産物を吐き出したり、直接的に人間を傷つけたり、人間が資本主義の産物に溺れたりしてる様子が描かれてます。

まさに今のアメリカを形作ってる、弱肉強食社会が急速に進んでた時代なのかなと思って、

私はカナダで、個人主義社会ゆえに今にも死にそうなホームレスの人を日々目にしているので、共感できる部分はありました。

でも、私はビジネスを学んでいて、それはまさに資本主義に基づいているので、

んーなんとなく、資本主義を悪とする感じにはまっすぐ共感はできませんでした。

でも、富だったり幸せだったりを生み出すためにビジネスをやっていても、その裏には敗者になっていく人がいて、

ビジネスをやるなら、ちゃんとそういう裏の部分にも目を向けないといけないなって、この絵を見て思いました。


別のエリアに入って、めちゃめちゃダイレクトに性描写がされてて、だいぶ衝撃を受けました。


日本は、性に関して、マイナスなイメージだったり、タブーみたいな雰囲気を持ちすぎ、みたいなのを聞いたことがあるんですが、

たしかになと思うことは日々ありつつ、けどさすがにキースヘリングが意味したいことはまだお子ちゃまの私には理解できませんでした笑


けどそのあと入ったエリアで、キースヘリングはエイズ拡大を止めるための作品をたくさん発表していたと知って、

だから性描写に関する作品も多いのかなと思いました。

エイズが拡大した当時、エイズは同性愛者や薬物使用者にのみかかる病気だと考えられ、予防や治療が充分に行き届いてなかったそうです。

ヘリングは、自身の影響力を生かしてエイズに関する正しい知識を広めるとともに、資金を集めて被害者への支援を提供していたそうです。


なぜ私は現代アートに惹かれるのか?

改めて、私が現代アートに惹かれるのはなんでだろうって考えてみました。

まずシンプルに、私はビビッドカラーとか、ポップなアートが好きで、そういう部分を持ってる現代アートに、自然と自分の感性が反応する感じがあります。

ビビッドカラーがシンプルにかわいいって思ってるし、だから私の服とか身の回りのものはビビッドカラーで溢れてるんですけど(笑)

たぶんその裏には、ビビッドカラーが持つエネルギッシュな感じが、自分を鼓舞してくれて日々を頑張るスパイスになったり、

シンプルに私のパッション❗️的なパーソナリティに合致してるから、自然と選びたくなるのかなとか思ったりします。


それから、今回kawsとキースヘリングの作者が意図する内容をじっくり味わいながら作品を鑑賞してみてわかったこととして、

現代アートは、私たちが今まさにぶち当たってるような社会問題だったり、日々の悩みだったりを表現していて、

シンプルに「共感」できるからこそ、自然と引き込まれていってるのかなと思いました。


ただ【好き】から入る

kawsが、現代アートが社会問題を考えるきっかけになれば、みたいなことを言ってたと思うんですが、

まさに私はその道を今たどってるなって思って、

現代アートだったりポップアートが、シンプルに可愛い❗️って思って興味を持って、

そうやって好きになるからこそ深く知ってみたいって思って、いろんな問題についても考えるようになって、

別に深く考えないといけない義務なんてないし、何も知らん奴が美術鑑賞するなみたいな、そんなことを思うタイプでは全くないんですけど、

シンプルに、なにかを好きになって、そこからもっと深く知って、それについて考えてって、普通にめちゃめちゃ面白いことだと思うんですよね!インタレスティングって感じです。笑

だから、これからも、なんかこれ好きだなーって思ったことを、深く掘り下げていきたいなーって漠然と思ってます。



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