町のお風呂屋さんで聞いた、知らないあの人の「おやすみなさい」
「湯沢町のひとは自宅にお風呂がない」
この夏に引っ越してきた新潟県の湯沢町。
数ある温泉宿でも知られている越後湯沢があるところ。
「この町のひとも、温泉をひいている"町の公衆浴場"に通うことが多いらしい」と友人が教えてくれた。
(経済的にもやさしくて、掃除をしなくていい楽さがあるんだとか)
普段はシャワーですませていたわたしも、
そろそろ湯船につかりたくなってきた、、とさっそく行ってみることにした。
今回のお風呂屋さん「江上温泉」(参照:江神温泉)
受け付けをすませて脱衣所に入ると、先客が3人くらいいた。どうやら地元の方のよう。
「3日連続で煮物よ〜」
「〇〇さんとこの娘さんが〜〜」
どこにでもある世間話を3人のうちの2人がしていた。
当時金髪ロングのわたしは明らかに浮いていたので、
さっさと脱いでお風呂場にいこうとせかせかしていた。
そのとき、
世間話をしていた一人が帰り支度ができたようで、出入り口の扉をあけてこう言った。
「おやすみなさい〜」
すると、会話をしていたもうひとりと、
すこし離れた場所にいた女性も口をそろえて「おやすみなさい〜」と返した
わたしは一瞬どきっとした。
ここはお風呂やさん。わたし(たち)はすっぽんぽん。
こんな状況で、まったく知らないひとたちが繰り広げる「おやすみなさい」を聞くことはあっただろうか...?
驚きと一緒に、こころがきゅんとなった。
(参照:江神温泉)
その後、熱々のお風呂につかりながらわたしは心の中で唱えていた。
「おやすみなさい」
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言いたくて仕方なかった。
風呂から上がり、別の誰かがまた知らない誰かに「おやすみなさい」というたびに、こころがきゅんきゅんした。
時はきた。ドライヤーもすべて終わらして、さあ後は帰るだけ!となったので、出入り口のドアに手をかけて脱衣所に向かってこう言った。
「おやすみなさい」
直前まで世間話をしていた別の二人組の女性が、会話をやめて返してくれた。
「おやすみなさい〜」
はずかしくて、彼女たちの顔をみれず扉をしめてしまったけど、そこから家に帰るまでずっと心がじわ〜っとしてた。
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最近、家族以外のだれかに、面と向かって「おやすみなさい」って言ったかな?
東京で暮らしてきた時間が長くて「知らないひとには話しかけない」が当たり前だったし、
一人暮らしをしていた時は防犯の意味でも、ご近所さんやアパートの人とは滅多に話さなかった。
けど、心のどこかでおはよう、おやすみって言い合える相手がほしくて
それが、一番無防備な"裸のせかい"で成り立っているのが、
あまりに新鮮で素敵すぎた。。。
さようなら、よりも、おやすみなさい、の方がそのひととの距離を近く感じる気がして、おやすみなさいって(また明日ね)って続きがあるように聞こえたりもする。
もっと、おやすみなさいって言いたい。
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いじょう!
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わたしが今回入ったお風呂やさんはこちら
(友人のもんちゃんこと門田くんは、ここの管理人をやるために福井から移住してきたそう)
管理人のツイッター👉@inabigi
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こんな時代なので、挨拶するときはマスクをすることを心がけてます!✌️
文 ちゃんはる @chanharutosake
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