Photo: Kiyoaki Sasahara

先日、7年ぶりにカメラマンの笹原清明さんに写真を撮ってもらいました。笹原さんは、私が19歳の時からずっと写真を撮り続けてもらっている、大好きなカメラマンさんです。

大学生のニキビいっぱいの顔でおしゃれとは百万光年離れたどスッピンの顔で（笑）代々木体育館でポラロイドとフィルムでまだインディーズで活動していたユニットのアーティスト写真を撮ってもらったのがはじめましてでした。

そして、メジャーデビューが決まった時の、デビューアルバムの写真も。
メジャーを離れることを決心した時のベストアルバムの写真も笹原さん。

出産してソロを始めることを決めた時の写真も。

ソロのファーストアルバムの写真も。

節目節目でいつもお願いさせてもらっていて、
今回が６回目。

気づいたら初めて撮ってもらってからもう20年の年月が経とうとしていました。

私も20歳近く歳をとって、それは笹原さんも同じで。
当たり前のことなんだけど、私だけじゃないんだなと思いました。
うまく伝わるかな、この感じ。

若い子どもたちをみていると、どんどん彼らにできることが増えていくのに、私はどんどん白髪が増えたりシワが増えたりして「老いて」いる。

とても飛躍した解釈にはなるのだけど、その事実はこれまでは夢物語だった「死」や「人生の終わり」が私にとっても決して他人事ではないのだな、ということを否応なく私に考えさせてきました。

そんな恐れのような、不安のような膜が心にいつも張り付いていた最近、昔より衰えている自分を昔の自分を知っている人に見られるのがなんだか恥ずかしく思っていました。

昔がどんなもんなんじゃい！という声が聞こえてきそうだけど、あくまでも自分比ということで！

そんな気持ちを抱えつつ笹原さんと再会したんですが、当たり前ですが笹原さんも、同じだけ年齢を重ねていて、

「あれ、私だけじゃないのか、みんな生きて、変化しているんだ」

ということに本当に当たり前のことなんだけど、気づきました。

そして、撮ってもらった7年ぶりの写真の中の私は私に

「これのどこがだめなのよっ！」と言ってきた気がしました。

いっぱい大変なこともあったけど、いっぱい嬉しいこともあって、今も悩んでいることも、不安に思っていることも、ちょっと怒っていることも、怖がっていることも、ある。

でも、ここまで生きてきた自分の集大成が、今日の私。

これで、全部いいんだって理屈抜きで思えて、
7年前よりも、さらに自分が好きになれました。

そして改めて、このアルバムの方向性が固まった時間でもありました。
写真が先ってどうなの？って思ったりもしたけど、
今の私には今の私を真正面から「見る」必要があった。

それを、笹原さんは私に最高の形で見せてくれました。
本当に感謝です。

そんな週末を過ごして、今週。

いよいよ21日、明日からWebマガジンをスタートします！

私が音楽という「夢」に手を伸ばすきっかけをつかんだのが20年前でした。
あの時のきっかけが、みなさんの多くと私をつなげてくれたと思います。

皆さんは、その頃何をされていましたか？

私のことを知っていただいている時間はきっとみなさんそれぞれですが、私が歳をとったように、みなさんもここまでそれぞれ歳を重ねてこられてきてきたと思います。

これまで私が歌ってきた中でも、音楽を通して本当にたくさんの人生と触れました。

出会ったお客さんの中には、この20年の間にお子さんが成人された方

心の風邪をひいていたけれど元気になられて笑顔でライブに来てくださるようになった方。

お母さんになられた方、お父さんになられた方。
おじいちゃんおばあちゃんになられた方、

天国へ旅立たれた方・・・。

本当にたくさんの方々がおられて、みなさんの色々な「人生」が私に大なり小なりの影響を与えてくれました。

全国の各地でのみなさんとのさまざまな出会いが今の私の一部でもあると思っています。

これまでみなさん一人一人にちゃんと伝える機会はなかったけれど。

みなさんともう一度ちゃんと繋がりながら作品を作りたい。そう思ってこのマガジンを立ち上げました。

だからこのマガジンは、何らかの形で私とみなさん双方でやりとりをしながら作り上げていきたいと思っています。

一緒にこのマガジンを作っていってくださる方、

そんなに言うならしょうがない、応援してやろうかな、と言う方、

この作品の成長していく過程を見守ってくださる方、

どうかよろしくお願いいたします。

このマガジンの売上を少しでも多くのミュージシャンと繋がりながら作るための資金にしたいと思っています。

そして、共に歳を重ねた仲間たちと出した音を詰め込んで、みなさんに作品としてお返しします。

少しでも、音楽が繋げてくれたみなさんとの出会いを大切に出来る時間を増やしながら、作品を作れたら幸いです。

一緒にそれぞれの人生を振り返り、自分らしい未来を歩んでいけますように。

山口春奈

シンガーソングライター
山口春奈

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