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飢餓海峡

水上勉原作・「飢餓海峡」



前半退屈しつつ見ていたら俄然後半から面白くなってきた

これ…横溝の悪魔の手鞠唄の青池源治郎と恩田幾三の一人二役や松本清張の砂の器と同じく、戦後の混乱や引き揚げに乗じたこの時代にしか成立しえない犯罪ですが、実際にこの時代には戸籍を捏造して生きていった、いかざるを得なかった人があまたいるのだろうなと

しかしこの物語はそういうトリックだけで終わらない

同じく水上勉の五番町夕霧楼や金閣炎上でも感じた(この二つは原作も読んだ)、人間に対する深い信頼がこの物語にも終始一貫している(同じ題材の三島の金閣寺とは全く趣が違った)

娼妓や犯罪者や貧しい人々、全ての登場人物に向ける水上勉のまなざしは常にあたたかく、それが水上の作品が単なる推理小説に留まらず名作に押し上げている理由なのだろうと思った

そして三國連太郎はワンショットで映ってる場面は上背も相まって洋画かと見紛うような日本人離れ具合

あと、八重が東京で働いてるときのシーンで「BAR どん底」ってのが近所に映るんだが、あれはあの「どん底」なのか?!

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