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#11 少年期編 〜コーヒー好きの発見①〜

コーヒーとは不思議なもので、子供が大人になるにつれて好きになるものNo.1の飲料といっても過言ではないと思う。

現在、私にとってコーヒーとは日々の楽しみの一つだし、色々なコーヒー豆を見ると一人でテンションが上がり、つい買いすぎてしまうなんてこともしばしばだ。でもそれは昔から、というわけではない。

「小さい頃から、私コーヒー好きでした。」

なんて人に生まれてこの方会ったことがないし、そんな人がいたらきっと苦い経験をしてきたのだろうと、うまいことを言ってしまうかもしれない。

幼い頃の私もバヤリースオレンジ愛好家と言っていいほど、あのオレンジジュースが大好きで、家には常備されていた。

そうでなくてもジュースとコーヒーを比べて、コーヒーを選ぶことなど、ありえない選択だったのだ。

当時学校から帰ってきて、早々にオレンジジュースを飲み

「この一杯のために頑張っているんだよ。」

などと、おっさんみたいなことを言ってた私からすると、ジュースを捨てコーヒーの道へ進むことなど、邪道とさえ思っていたのかもしれない。

でなければ、きっとあの黒くて苦い汁を啜ってカッコつけているだけだろうと。

非常に失礼なこと極まりないのだが、その程度の認識だった。

その認識がまさに根底から覆ったのは、高校に進学した年の冬の出来事だった。

家族で年末の買い物に出かけた際に、半日では済まなかったので途中適当な店に入って食事を済まそうとした。

時間も時間なので軽食でいいか、と入ったカフェで衝撃の光景を目にするのだ。

なんと、カップの上にクリームが大量に乗った何かを、美味しそうに飲んでいるお客さんがたくさんいたのだ。

聞けばあれは“ウインナーコーヒー“と言うコーヒーの仲間らしい。

「今まで私の思っていたコーヒーのイメージはなんだったのか。」

という疑問を抱く同時に、

「ウインナーとはなんだったのか。」

という、非常にややこしい問題が浮上してしまった。

後に、父から「ウィーン風の」だからウインナーだよと教わり、なるほどなと納得するのだが、あのクリームの疑問は解決していない。

それまでコーヒーは苦い汁を啜る苦行だと思っていた私にとって、あんなオシャレで優雅なコーヒーの飲み方は、想像の遥か上空だったのだ。

ちなみにコーヒー牛乳という甘いヤツもある。あれはあれで美味しいのだが、もはやテコ入れをしすぎて別番組になったテレビ番組くらい別の飲み物にメタモルフォーゼしているので、あれは今回の話とは一切関係ない。

これは、ちょっと飲んでみたい。

とその時に、人生で初めてかもしれないコーヒーを飲んでみたいという気持ちが湧き上がった。

そして注文をして出てきたウインナーコーヒーは、まさしくおしゃれコーヒーだった。

いつの間にこのど田舎は都会に変貌したのだろうと驚愕しながら一口飲み物、また驚愕することとなる。

なるほど、上のクリームは飾りじゃないのか。下のコーヒーの苦さは凄まじいが、クリームと合わさってとんでもなく美味しく感じる。

そもそもこのコーヒー自体苦いは苦いのだが、豆を煎ったことがわかるほどの香りと、その香ばしさからくる苦味は、もしかしてコーヒーって美味しい飲み物かもしれない。

やるじゃないかコーヒー、あんたはすごい飲み物だったんだね。今まで美味しそうに飲んでいる人を変な人たち扱いしてごめんよ。

などとコーヒーとコーヒー愛好家たちに謝罪し、そのおいしさを見直すことになったのだ。

それから様々なコーヒーを自分で飲むようになる。ちょっとしたマイブームだったかもしれない。

一人で店に行ったり、買ってきたコーヒーを自分で淹れたりと、手のひらを返したようにコーヒーにのめりこんでいった。

あんなに好きだと豪語していたバヤリースから、早々コーヒーに乗り換えていったわけだが、その後大学生、社会人となってもコーヒー熱は冷めることなく私の人生のパートナーとも言える存在になっていった。

その過程で、またまた驚きと感動をもたらすコーヒー店に出会うこととなるのだが、それはまた次のお話にしようと思う。

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