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カテコラミンの作用と投与量による病態判断

リハビリの前には、投薬状況を確認することが大切であり、

薬剤がどのような意味をもっているか把握することも重要です。

今回は、心血管系作動薬のカテコラミンについて、その作用と投与量における病態判断について紹介していきます。

それでは、本日も学習していきましょう!




カテコラミン系


カテコラミン系の薬剤は、急性および慢性心不全の急性増悪の治療に不可欠です。

昇圧・心拍出量増加・心拍数増加といった循環系改善の作用を備える心血管作動薬で、CCUやICUで多く使用されます。

循環器疾患、特に外科術後の場合は循環動態が不安定な場合が多く、強心薬や血管作動薬などの薬剤が多く使用されています。

リハビリにおいては投与量によって「離床を促さない」場合もあります。


①エピネフリン(ボスミン®)

心停止時の補助治療、急性低血圧またはショック時の補助、心肺蘇生時における第一選択薬として最も大切な薬物です。

他の昇圧薬が無効な場合に選択されます。

②ノルエピネフリン(ノルアドレナリン®)

急性低血圧、ショックによる循環不全の場合に使用されます。

また、塩酸ドパミンや塩酸ドブタミンの効果が劣るときなどに、昇圧と心拍出量増大を目的として使用することがあります。


※エピネフリンとノルエピネフリンを薬剤投与時は、救命治療が最優先されるときであり、離床とは無縁の時期です。



③塩酸ドパミン(イノバン®、イノバン®0.3%シリンジ、カタボン®、プレドパ®)

急性循環不全(利尿を得られない場合を含む)に使用され、投与速度により作用が異なります。

低用量(0.5〜2.0γ):
腎血流及び冠動脈血流上昇し、利尿効果
(ドパミン受容体刺激作用) 
腎動脈や腸間膜動脈を拡張し、腎血流増加

中用量(2.0〜5.0γ):
心筋収縮力増大、心拍数増加(β作用)

高用量(5.0〜10.0γ):
末梢動脈収縮、腎血管収縮、血圧上昇(α1作用)

各施設により投与量における離床範囲は異なるため、医師の指示に従って離床進める。



④塩酸ドブタミン(ドブトレックス®、ドブポン®0.3%シリンジ)

心拍出量改善を目的として、心不全や心臓術後、急性心筋梗塞に用いられます。

強い強心作用を持ちますが、末梢血管収縮はなく、むしろ拡張させます。

他のカテコラミン系薬剤に比べ、心拍数の増大や血圧上昇が少ないのが特徴です。

また、虚血性心疾患の心不全状態に投与されることがあります。

この場合、心筋酸素消費量を少なくする方向にはたらくため、離床に関しては主治医に相談します。

心筋収縮増大作用は、塩酸ドパミンの4倍、心拍数増大作用は1/8となります。


※塩酸ドブタミンや塩酸ドパミンを高用量で使用している時は、「離床を積極的には促さない」状態です。

まとめ

・投薬状況(薬剤・投与量)によって循環動態をある程度は把握可能。
・離床を促す時は投薬状況を把握しておく。
・エピネフリン、ノルエピネフリンの投与時は救命治療が優先される。
・塩酸ドブタミン、塩酸ドパミンを高用量で使用している時は、離床を促さない。低用量で使用しているときも主治医の指示に従って離床する。


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今回の記事は以上になります。

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