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イベント「#編集者ライターのキャリア 」で答えきれなかったご質問へ回答してみる

先日の11月13日に登壇させていただいたイベント「編集者・ライターキャリアの未来をともに考える」で、参加者の方々からSlido宛にもらったご質問に、時間が足りず答えられませんでした。すみません。

ということで、このnoteでまとめてお答えしていきます。推敲なしで書いているので荒いところはご容赦ください。

自走が必要なメディアに放り込まれた未経験者は、何から手をつければよいでしょうか?

ウェブメディアが置かれている環境への解像度を上げることだと思います(ウェブじゃなかったらすみません)。

オウンドメディアやペイドメディアという概念、ビジネスモデルの取りうる選択肢、自分たちが運営するメディアの領域と近いプレイヤーはいないか……など、とにかく「記事や企画を作る前段階」を固めることじゃないでしょうか。

初心者向けの本や、ウェブ上の解説記事などを、ざーっと読みこんで「何をすべきか」「何が出来るか」と、「何をしてはいけないか」を心得ておくと動きやすくなったり、息がしやすくなったりするはずです。

こういう本を手にとってみるでもいいです。「デジタルを活用したマーケティング施策」としてメディア運営なさるなら、デジタルマーケティングへの知識も必要でしょう。

「メディア運営」が未経験なのか、「ライター」や「編集者」が未経験なのかによって分かれますが、おそらく前者だと思って答えました。

未経験から何をすべきか、という話では、執筆でお手伝いしたクラシコムさんの創業ヒストリーが、たぶん応用きくので参考まで!

モリさんの因数分解の話はとても理解できるけど、実際放射線状に広げて見つけたところにどうやって接点を持ち、ビジネスまで発展させてるのか? 「知り合いに声をかけて」「紹介」だと、結局、人脈勝負になってしまいます

「どうやって接点を持ち、ビジネスまで発展させてるのか?」は、まさに編集の仕事の一つだと思うんです。アイデアも同じですが、遠い点の共通項を見つけて結びつけるときに面白さが拡張しますよね。

で、たぶん「自分が持っている点」が何かを知って、それが「結び付けられるのはどこか」を考えると見えやすくなるんじゃないでしょうか。

ほら、無目的にする異業種のミーティングって、あんまり仕事にならないことがあるじゃないですか(思い込みもありますが)。「自社の持つこの技術を、御社の持つ開発力とつながると、すごいものができると思うんです!」って言われたほうが、なんかできそうな気がしません?

このあたり、僕は広告クリエイターの方がとても上手だと思うので、小霜和也さんの本がおすすめです。

お二人が関わるメディアは、編集ライターとしてどのように関わってグロースしていますか?

記事単発のご依頼の場合は、グロースまではタッチできないのが事実だと思いますので、SNS拡散など出来ることをする、というのが実状です。

編集の場合なら、企画会議はもちろんですが、「何をグロースさせるのか(させたいのか/させるべきか)」を言語化して、そのためにあり得るコンテンツやサイト導線などを考えて、グロースを図ります。

ロールモデルにしている編集者・ライターはいますか?

未経験の自分を教え、導いてくれた上司や先輩からは、いつも学ばせてもらっています。「あの人ならどう考えるかな……」という意味でのロールモデルは、ちょっと思いつかなかったのですが、クラシコムの青木耕平さんと佐藤友子さんには、考え方や話し方などで、大きな影響を受けているなとよく感じています。

誰が、というのはないのですが、雑誌編集者の逸話とかも大好きです。とかく「編集とはなにか」をそれぞれが持っていて、誰からでも学ぶつもりで読んでいくようなイメージです。いっぱい良い本があります。

ライターとしては、吉行淳之介さん、江國香織さん、平松洋子さんの文章が大好きなので、意識しています。

メディアに固定の読者、ファンをつけるには、どんな要素が必要だとお考えですか?

まずは「そこでしか読めないと思えるようなもの」が、ちゃんとあることだと思います。

僕はメディアだと、たとえばHEAPSが大好きなのですが、代替が思いつかないのでファンとしかいえないし、未だにブックマークから訪問してます。

逆質問ですが、いま、固定で見ているメディアや、ファンだなぁと思うメディアはありますか?なんで、そこを見ちゃうんでしょう?

その自分の気づきが、たぶん、「要素」として挙がるんじゃないでしょうか。もし一つもなければ、その施策に腹落ちしないまま手を動かすことになるので、長続きしないかも…?

今後やってみたい仕事。そしてその理由を教えてください

基本的には、だいたいなんでも「面白そう!」ってなるんですよね。

あんまり自分で「これやってみたい!」がないので、お声がけいただけるものには「僕に声をかける理由があったのだろう」と、取り組んでいくつもりです。

このスタンスは、上坂すみれさんと吉田尚記さんの掛け合わせを参考にしていて。でも、お二人とも面白いわけですし、その中からでも突破力が出てくるわけなので、たぶんそんなふうにしても「自分らしさ」って表れるんだと思っています。

あ、今は、アニメ関連の宣伝のお仕事で、ミニアニメなどの脚本書かせていただいたのが本当に楽しかった!この関連の仕事はもっとしていきたいですね。あとは、ラジオまわりのお仕事も、何か接点があれば!

お二人にとって「良い記事」とはどんなものですか?また、その「良い記事」を生み出していくために意識していること、ポイントは何ですか?

そのメディアが果たしたい目標に大きく貢献できているのが「良い記事」です。だから、「この記事で何がしたい?なぜ、これが必要なんだろう?」っていう勘所を外したくないとは、いつも思っています。

僕は元からウェブメディア出身で、その考えがほとんどベースなのが大きいかもしれません。いわゆる独立した「ライター」として仕事をしているというよりは、あくまで「メディアから派遣されてきた外部ライター」というスタンスなんでしょうね。

私もどちらかというと「ご縁」で仕事を受けてる派です。長谷川さんは仕事を受ける・受けないの判断をするとき、どんな基準をもっていますか?

・スケジュールが空いているか
・具体的な仕事の範疇
・提示された予算が仕事内容と(感覚的に)合っているか

この3つくらいしかないです。僕は料金表も持っていないんですが、それはメディアによって予算が違うからです。金額が倍になったからといってクオリティが倍になったり、スケジュールを優先したりするわけじゃありませんからね。

メディアが設定している全体予算と、僕に依頼する記事にかけてもいいコストのバランスでお声がけが成り立つはずなので、基本はそのまま受けることが多いです。

ただ、「もうちょっとだけ欲しい」とか「頼めそうな余地がある」とかを感じたときには、金額面なのか、作業面なのかを、聞いてみるだけ聞いてみる、ことはします。たとえば、「CMSへの入稿」をおまかせできるだけでも、僕の時間が1時間〜2時間くらいは作れますから。

なので、仕事の打診を受けたら、勝手な体感値ですが(取材中は無理なのでのぞいて)3時間以内くらいには可否のお返事ができているはずです。目に付けば、可否の返信だけはとにかく即レスするようにしています。

「これ受けたら自分の名刺になる!」みたいな感じもあんまり今はないですね。正直、ウェブメディアだと、「どれが名刺になるか」は、ホントわかんないなっていうのがあって。

たとえば、PV数なら大手メディアよりもグッと少なくても、その一発の記事の印象が良くてさらにお声がかかることもあるし、逆に大手メディアの看板力が新規のビジネス媒体で安心材料につながったりすることもありますし。

今、編集やライターとして携わってみたいメディアあるいは事業会社(オウンドメディアある無しに関わらず)があれば、教えて下さい。

先日はじまった某メルマガメディアは面接を受けたのですが落選してしまった……(笑)、でもあれは僕のスキル不足でした。

飲料メーカー、調味料メーカー、お菓子メーカーといった、飲食まわりのメーカーさんはお仕事してみたいです。僕が食に興味があるので、開発の裏側とか生産工場とかも大好きなので。カンブリア宮殿の「湖池屋」とか「キッコーマン」とかの回、めっちゃ面白かったな。

自分の記事・コンテンツの価値を何ではかって、どうやってそれを単価につなげていますか?

すみません、計ってませんでした。仕事をした相手から喜ばれていたら嬉しいな、と思っています。あえて言えば、「おかわり発注」が有るか否かでしょうか。

単価については、上述の通りです。「この仕事をしたことがあるから値段を上げろ」っていうのは、ライターへの仕事依頼のモデルを考えると現実的じゃないと思うので。

ただ、たとえば本人にSNSの拡散力があって、「ツイートしたら1万RTはいきます」とかになれば、それは「本来1万RTさせる施策をするのにいくらかかるのか」を鑑みて、上乗せして「プラン化」することはできるんじゃないでしょうか。

インタビューのスキルを上げるために、やったことを教えてください。

高校1年生のときに、高校3年生で好きだった先輩と、吉祥寺のエクセルシオールの2階で、放課後にいろんな話をしたのが、僕のスキルの基礎です。

そうやって「対面で異性と話す」という緊張感を乗り越えられたら、大学生時代からはよく「サシ飲み」ばっかりしていました。とにかく、酒ばっか飲んでました。でもその経験があってよかったなーと今は思っています。スキル云々の前に「話すのが好き」なんですよね。たぶん。

「インタビューを成り立たせる」という意味では、メディアに転職して入ったときに、当時の上司だった、年吉聡太さん、松尾仁さん、米田智彦さんの取材に同行した時に得た体感のコピーです。

1ヶ月の仕事量を教えてください。

何をしていても「仕事」になる職業でもあるので、毎日が仕事です。

記事の納品は、平均すると10本から15本くらいでした。だから、2日から3日に1回は何かしらの〆切があるんだと思います。

ライティングのスピードはどうすれば上がるでしょうか?

数をこなすことと、構造を知ることです。

数はミスなり何なりにすぐ気づけます。書き終わったら語尾のかぶりなどがないかをチェックすれば、ほぼ初稿は出来上がります。

構造は、僕が仕事をするウェブメディアの記事は、ある程度の「構造的なパターン」がありますから、だいたい取材をしながら、その構造に入れ込みながら話を聞くことが多いです。そうすると不足点がない状態の書き起こしが手元にあるはずなので、あとは取材時に思い浮かべていた構造の通りにはめていきます。

参考になるかはわかりませんが、インタビュー記事なら僕はおおよそ4時間から6時間くらいで出来上がってます(文字起こしはのぞく)。

上阪徹さんの本にも、たしか似たようなことが書いてあった気がします。読んで、そうそう同じ、って思った記憶。

今後のライターのキャリアで、最も求められていることを一つ述べるとしたらどんなことですか?

ライター側から、メディアの可能性を拡張できるサポートができると、きっともっと重宝されるはずです。

こちらも参考に。あー、そうだよなー、って僕は思いました。

できないとやばいなー。

私は今大学生です。noteで色んな方の記事を要約しながら紹介することを記事にしています。これを仕事に置き換えたときに文章を綴るという行為と人物を紹介するという行為、この2つを最も兼ね備えた職や進路はどのようなものがありますか?

色んな方の記事を要約してnoteに載せています。この経験は職能でいうと、「文章を綴る」と「人物を紹介する」に置き換えられると考えます。この2つを最も活用できる進路はありますか?

というご質問だと思ってお答えします。

ごめんなさい、厳しいことを言いますね。まずはテクニカルライティングの本を読んで、わかりやすい文章構造について学ぶことをおすすめします。なぜなら、文章がつづれているか、というと、今はまだちょっとあやしい気もするからです。

なので、今はそれを武器にすることを、あまり考えないほうがいいと思います。ただ、「得意で興味がある」と捉えておくことは、すごく良いはずですから、保ち続けていきましょう!

それと、記事の要約は、「人物を紹介する」ことと同義ではないと、僕は考えます。人物紹介って、つまり、結婚相談所で間を取り持ってくれるような人の役割ですよね。その人のことをひとつの記事から判断するのって難しいですから、このスキルは「まだ持っていない」か、あるいは「コピーライティングを誤っている」のだと思います。

もし、「文章を綴る」と「人物を紹介する」を兼ね備えたのなら、転職市場や求人市場は、真っ先にわかりやすく出てくるのではないでしょうか。ただ、そこはもっと営業的な対面スキルが必要そうですから、直接的には難しいかも……悩ましいですね。

ということで、今は大学生とのことであれば、それぞれを「好きだ」「楽しい」と思えるなら修練を続けつつ、僕はまず就職してみるのをおすすめします。企業で仕事をする経験は、逆に、あなたのライター的なキャリアを拓いてくれるかもしれません。僕も最初に3年間、企業勤めをした経験が、とても今にも生きています。

もしかしたら、その仕事が性に合って、ライティングはずっと続けていけるライフワークになるかもしれません。僕は、それはそれで、とても幸せなことだと思います。

当日の様子は下記より!

Twitterモーメントはこちら。

参加者の方もnoteでレポート書いてくださって嬉しい限り。ありがとうございます!読んでます!しゃべったことで心にピンときたことが文章に残されているの、めっちゃ嬉しいもんだな……!(いつも聞いたことを残すほうの仕事なので)


イベントの概要はこちら。

ご参加くださった皆様、ありがとうございましたー!


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