#74 ドライフルーツがしんなりする前に
いつもの河原で軽く新年の挨拶、くらいに思ってたら案外しっかりセッティングしてもらっちゃってなんだかかたじけない限りのハシビロコウ。
バンドメンバーの落花盛はこんな時とっても頼りになる仕切り上手のお調子者だ。
ハシビロコウは結局全部お任せしてしまう。
小洒落た立ち振る舞いも心地良い浮輪鈴女(うきわすずめ)達を前に、未だ堅苦しさを解けきれないでいるハシビロコウもほろ酔い気分。
それにしても世の中すっかり変わってしまった。
元々ほとんど友達がいないハシビロコウだったが、細々と年始の挨拶程度には続けてきた数少ない友達とのお決まりの社交辞令を取り交わす際にでさえ、暗黙の了解的に自主規制が挟まるようになった。
「コロナが落ち着いたら」という言葉を口にするたび耳にするたび、ハシビロコウはなんとも言えない切なさに見舞われる。
はじめのうちは、通り一遍の意味にしか捉えていなかったけど、、、。
結局のところそれはやはり都合の良い逃げ口上に過ぎないのではないのか、などと根暗に考えてしまうようになった。
そうでなくても普段から付き合いの悪いハシビロコウ。
全部自業自得なのに、年末年始は何かとブルーな気持ちに陥りがちなシーズン。
ブルーなのは体毛だけしとけ、ってね。
なんて言いながら、こうやって仲間達がいるだけ幸せだと思わなきゃいけないよな、って改めて感じ入る。
それにしてもやはり、、、女子がいると肴もシャレてくる。
ドライフルーツ、まだ蓋取らないのかな。。。。早く食べたいぜ。
…to be continued
ハシビロコウバンド物語
「第七十四話 ドライフルーツがしんなりする前に」
初出 2022.1.21
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?