見出し画像

一流の経営者に共通する「支出先の選び方」とは。

税理士として様々な経営者さんに関わるなかで、気付いたことがあります。それは「年商1億円を超える方には共通点がある」ということです。
シリーズ「大きく成長する財務戦略-年商1憶を超える経営者の共通点-」では、一流経営者の方々が身に着けている財務力を私なりに紹介していきます。今回のテーマは「支出先の選び方」です。


節税対策で車を買う人は多い

誰でも税金は払いたくないもの。
よく経営者さんから「節税目的で車を買おうと思うけれど、どうだろうか」という相談を受けます。節税のために中小企業の社長さんが車を買うことは一般的に知られていて、それが念頭にあるのでしょう。
私も時折自動車ディーラーの方と会うことがありますが、よく勧められます。
「仕事にもプライベートにも使えてお得ですよ」
「節税になりますよ」
「事業のための投資にもなりますよ」
といった提案を受けていると、買いたくなる気持ちも分かります。

節税にはなるけれど、確実にお金は減っている

私は車の購入に反対というわけではありません。確かに車の購入費は大なり小なり経費として計上できるので、節税にはなります。節税目的で規模の大きな支出をするならば、日常生活で使う車は一番最初に候補として上がってくるでしょう。
しかし忘れがちなのは、「収支はマイナスだ」という事実です。車の購入に支払った金額を、節税した金額が上回ることは基本的にありません。
それなのに「節税」「仕事で使う」「プライベートでも使える」程度の感覚でこれほど大きな支出を決断してしまう方が非常に多いように感じます。私が接してきた一流の経営者の方々は、車を買うにしても収支を厳密にチェックしていました。

回収できる支出なのか?

大切ポイントがあります。それは投資回収の考え方です。「その車を買う支出は回収できる『投資』なのか、それとも回収できない『浪費』なのか」の視点 です。
例えば、車を得ることで移動時間を削減する効果が期待できるとします。確保した時間を有意義に使って利益を拡大し、車の減価償却の期間内で積み上げた利益が車の支出を上回るのであれば、車の購入は価値がある投資だと言えるでしょう。逆に支出の回収が見込めないならば、財務戦略の観点では買うべきではないでしょう。

大切なのは投資回収の考え方

投資回収の考え方を身に着ければ、仮に車を買うとしても「何を」買うべきなのかが決まってきます。車の購入によって大きな利益確保が見込めるならば、ベンツやテスラのような高級車も視野に入るかもしれません。一方で得られる利益が小さいならば、マーチやノートが適切、もしくは買わない方が良い、という結論もあり得ます。
私の場合、移動時間はメールの返信やタスクチェックといった仕事に充てたいので、タクシーを多用しています。運転に手を取られるマイカーは私にとっては有意義な投資ではないのです。
ちなみに電車を使わないのは、タクシーによって短縮できる移動時間で仕事をすれば、タクシー代と公共交通機関代金の差額を超える利益を確保できるからです。

まとめると、冒頭の問いに対する答えは「コストを回収できるなら、車を買うのもあり」です。年商1億円の経営者の方々に共通しているのは、自分の経営判断によって生まれるコストと利益を明確にして天秤にかけているところです。逆に事業拡大に苦戦する方々は投資回収の観点が薄く、その場その場の刹那的なメリットに左右されているように感じます。

費用に拘れば時間管理術が身に付く

私も経営判断をする際は、生み出せる利益を計画します。一度決めて支出したら、計画した利益を上回るべく一瞬一瞬の時間の使い方にこだわってきました。それは、わずかな時間でも、それを捻出するためにどれだけのお金とエネルギーを費やしてきたかを実感しているからです。
人と会う時も最大限生産的な時間になるよう意識しています。限られた時間内で自分が提案できることを全て伝えようと努力しますし、できるだけ相手に伝わるようにコミュニケーションにも繊細になります。

支出先に拘れば、利益に拘れるようになります。
利益に拘れば、時間管理に拘れるようになります。
時間管理に拘れば、コミュニケーションなどの様々なスキルも磨かれます。

「支出先を厳密に検討する」
と言うと固くて息苦しく感じるかもしれませんが、幅広い自己成長に繋がります。そして経営者が成長すれば企業も成長するものです。少なくとも私は一流経営者の方々の姿勢からそのように学んできました。
皆さんもぜひ、参考にして頂けると嬉しいです。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?