おとなの読書感想文

〈おとなの読書感想文〉水

どんな好物でも、疲れて胃がもたれているときに
カツ丼は食べられないし、白がゆに梅干しかな、と思うもの。
本も同じで、純文学から絵本、マンガ、推理小説や実用書など、その時によって手にぴったりなじむものが変わったりします。
これこれ、これが読みたかったという、いわば読書のシンデレラフィット。

この本を何かに例えるならば、水でしょうか。飲めばさわやかで、飽きることなく体にすーっと染み渡るようなエッセイ

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〈おとなの読書感想文〉ババちゃん

子どもの頃、「ババちゃん」と呼んで親しんでいた人が、自分の母親の母親であることを知ったのは、何歳くらいの時だったでしょうか。
世に言う「おばあちゃん」=ババちゃんということはわかっていた気がするのに、それと母との関係を結びつけて考えることはできていなかったのです。

ババちゃんは孫のわたしをとてもかわいがってくれました。
何か悪いことをしたとしても、怒られた記憶はほとんどありません。
ただ、ある時

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〈おとなの読書感想文〉のりくん

のりくんがあの頃書いていた文章は、天才的だった。

クラスの文集が出来上がると、わたしと家族はのりくんの作文を読むのが楽しみでした。
今でも印象的で覚えているのが、おおよそ以下のようなものです。

マグロとサーモンと穴子といかとネギトロと納豆巻きとシメサバといくらと玉子とかっぱ巻きと茶碗蒸しと数の子とヒラメと甘エビと赤貝と鯛とあら汁を食べました。

それからウニとカニとしらすとトロとラーメンとプリ

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<おとなの読書感想文>ことばのふしぎ

突然ですが、外国語は得意ですか?
人には誰しも得手不得手があるもの。わたしは、どちらかというと苦手な方だと思います。

グッドモーニング ミズ カワサキ、アイム ファイン センキュー アンドユー?
のあいさつから始まる英語の授業が、学生時代どうしてもおもしろいとは思えなかった。

もちろん、語学を学ぶことそのもののおもしろさを否定するわけではありません。新しいことばを覚えることは、新しい表現の世界

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<おとなの読書感想文>根をはる

押してだめなら引いてみろ、とよく言います。
物事に働きかける時、確かに押すばかりが方法ではなくて、引かなければ開かないドアもあるはずです。
ところが、押すでもなく引くでもない働きかけ方もあるのだということを、この本から知るのです。

「からくりからくさ」(梨木香歩著 新潮社、2001年)。
祖母が残した古い家に、孫娘の蓉子と3人の下宿人が住んでいます。
各自個性はバラバラですが、一緒に生活するうち

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