成馬零一

成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010)宮藤官九郎(4)『木更津キャッツアイ』が描いた「地元」と「普通」

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。宮藤官九郎編の第4回では、初期の代表作『木更津キャッツアイ』を取り上げます。「地元」と「普通」を主題にした本作は、一部の識者からバブル批判の文脈で称賛されます。しかし、そこで本当に描かれていたのは、均質化した郊外と「普通」すら困難になりつつある時代の訪れでした。

『池袋ウエス

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010)宮藤官九郎(3)『三月の5日間』と『鈍獣』

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。松尾スズキの漫画的方法論と、平田オリザの現代口語演劇は、2000年代以降、劇団☆新感線やチェルフィッシュといった劇団によって拡大・発展を遂げます。その二極化を象徴するのが、2005年に岸田國士戯曲賞を同時受賞した、岡田利規『三月の5日間』と宮藤官九郎『鈍獣』でした。

90年台

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010)宮藤官九郎(2) 演劇とお笑い クドカンを育んだ小劇場演劇

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は、宮藤官九郎のルーツである戦後の演劇文化を論じます。新左翼の強い影響下にあった小劇場演劇は、80年代以降は学生運動を相対化する「笑い」に転じ、「身体の再解釈」という主題を得て、つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史、平田オリザといった才能を輩出します。

 小劇場演劇からキャリ

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 第三回 宮藤官九郎(1) 大人計画と松尾スズキ

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回より宮藤官九郎編が始まります。劇団・大人計画を主宰する松尾スズキによって才能を見出された宮藤。後に平成を代表する脚本家となる宮藤と、近年は純文学作家として評価が高い松尾の資質の違いについて、90年代に2人が脚本を共作した、ある深夜ドラマを手がかりに考えます。

 現在放送中

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テレビドラマクロニクル(1995→2010)番外編 宮藤官九郎 『いだてん~東京オリムピック噺~』とフィクションの最前線

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は番外編として、現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を取り上げます。宮藤官九郎作品の総決算的な意味を持つ本作が、大河ドラマの鬼門である「明治以降」をどのように描こうとしているのか、スポーツや落語を通じて、政治性抜きの「男の子の物語」を復権させようと

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テレビドラマクロニクル(1995→2010)堤幸彦(9) 『SPEC』(後編)  超能力から〈病い〉へ

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。9回に及んだ堤幸彦論は今回がラストです。「超能力(スペック)を使う犯罪者」という設定を取り入れながら、当初は『ケイゾク』の作風を反復していた『SPEC』ですが、主人公がスペックに覚醒したことで、物語は新しい展開を迎えます。

『SPEC』は2010年にTVシリーズ(起)が放送さ

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 堤幸彦(8) 『SPEC』(前編)ミステリーから超能力へ

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。『ケイゾク』の続編として企画された『SPEC』は、ミステリドラマにも関わらず、本物の超能力者が登場します。それは「謎」が存在する世界の終わり、インターネットカルチャーとニューエイジ思想が融合した、10年代の「圧倒的な現実」の投影でもありました。

2010年10月8日『SPEC

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 堤幸彦(7)『TRICK』小ネタ消費とカルト批判

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。『池袋ウエストゲートパーク』『ケイゾク』を経て、映像作家としての全盛期を迎えた堤幸彦。その次に手がけたのが、カルト批判をテーマにしたミステリードラマ『TRICK』ですが、その結末には、フィクションの衰弱と自己啓発の時代の到来が刻印されていました。

 2000年春クール(4~6

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『逃げるは恥だが役に立つ』――なぜ『逃げ恥』は視聴者にあれほど刺さったのか?そのクレバーさを読み解く(成馬零一×宇野常寛)(PLANETSアーカイブス)

今朝のPLANETSアーカイブスは、2016年10月から年末にかけて放送されていたヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』をめぐる成馬零一さんと宇野常寛の対談です。「恋ダンス」の流行でも話題を呼んだ本作が、いかにしてテレビドラマの文脈の中で優れた作品となりえたのかを論じます。(構成:橋下倫史/初出:「サイゾー」2017年3月号)
※本記事は2017年3月23日に配信した記事の再配信です。

▼作品紹

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成馬零一 テレビドラマクロニクル(1995→2010) 堤幸彦(6)『池袋ウエストゲートパーク』後編ーー堤、クドカン、窪塚洋介。それぞれのIWGP

ドラマ評論家の成馬零一さんが、90年代から00年代のテレビドラマを論じる『テレビドラマクロニクル(1995→2010)』。今回は『池袋ウエストゲートパーク』論の後編です。ドラマ版と原作小説を比較しながら、作品に関わった3人のクリエイター、石田衣良と堤幸彦と宮藤官九郎の影響を検討。さらに本作以降、窪塚洋介が背負うことになった時代性について考察します。

石田衣良からみた『IWGP』

 次に原作小説

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