文章のとびら

大人は楽しいよ 【#2 3歳の頃の自分に手紙を書いてください】

文章の書き手が繋がる輪っか「tap」の共同マガジン。
3歳の私に手紙、というお題が出た。

こんにちは、30年後のあなたですよ……なんて書き出そうとして、ふと気づいた。

さんじゅう……30年? 30年って長っっっ!

今年は、平成30年。
平成が終わりを迎えようとしているこの年に、33歳になる。

妹が平成生まれなので、職場で後輩に「平成生まれです」と言われることにさほど驚きはなかったが、平成を

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「心を動かす文章」のヒントはゴスペルにあった 【#1 これまでにもっとも強烈だった音の記憶はなんですか?】

私は本当は、歌手になりたかった。

歌うのが好きな子供だった。
父は学生の時にバンドをやっていたこともあり、ギターが趣味だった。
家でもよく弾いていて、それに合わせて一緒に歌ったりしていた。

歌うのは楽しい。歌を歌う人になりたいな。
「歌手」という職業を認識する前から、そんなことをぼんやり考えていたように思う。

でも、私は、「大人」になってしまった。

中学、高校、大学、と進むにつれて、あるこ

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音の記憶。夜明け前。

夜の部屋にやわらかな音が聞こえる。

太く大きめの音は夫の寝息。小さくて細いのは、今布団に下ろしたばかりの小さな息子の寝息。

母になった体には、細切れ睡眠でも深く眠れるホルモンが出る、なんて聞くけれど、夜中の授乳はそうは楽じゃない。それでも、私の体からにじみ出るものをぐにゅっぐにゅっと飲んで寝入っていく様は、疲れに見合うだけの満足をもたらす。

2つの寝息に私のため息を混ぜて、私は夫の隣に横にな

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