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多くの人が行き交う場所 来た人と同じだけ 誰かがどこかへ去っていく 影が浮かび上がらせる どこかへの道 その先には何があるのだろう 求めているのは ここではない場所 手の中にあるのは キオクノキロク それを胸に抱きながら 僕らの道も続いていく 例えそこに道がなかったとしても

布団の中の懐中電灯のように ぼんやりとした光がその丘をつつんでいた あたたかくて シチューのにおいがするような やわらかい光 その光に魅せられて 人があつまる おいしそうなにおいと あたたかいひかり だけど近づけば近づくほど その光は遠くなる まるで母などいなかったかのように

ぽつぽつとすれ違う丘の上で やがて見知らぬ顔見知り 月の光の影の中 だけどそれは誰もがおなじ 皆のポケットには キオクノキロク 光は踊り 影も踊る 瞬くotavaの下で ぱちりと乾いたシャッター音が響いた 「100個見つかった?」 そう訊く彼に 「もう少し」 僕はそう答える

その丘の片隅に 一抹の光が生まれた 人々はそこに集い 他愛もない言葉を交わす 「いつか消えさるものだから」 一時間後、消えていく光を眺めながら 彼/彼女は呟いた それはまるで予言のように 僕の心にこだまする ポケットの中にある キオクノキロク 大丈夫 まだ熱は失っていない

メーは言った 「それがないと生きることは出来ないんだ」 まるで6月のアメのように キオクノキロクはココロをしめらせる 気がつくとメーは いたる所から顔を出していた 彼らは同じようでいて だれ一人として同じではないのだ 僕はメー(たち)にいつまでも見送られながら 先へと進んだ

その丘には たくさんの光が集まっていた 大きな光も 小さな光も 一様に耳をそばだてながら 声紡ぐ者は 皆へ語りかける まるで甘いお菓子のように あるいは綺羅びやかなドレスのように 光はそこで宿り木を得る 再び光るための小休止として 僕はその声を聞きながら 丘の奥へ向かう

暗くて長い 一人ぼっちの道 その道はあまりにもぬるく冷たくて すり減った靴底 消えかかった道しるべ 途切れる意識に 一歩一歩を確かめながら キオクノキロクが足元を照らす まるで過去が 未来を指し示すように そうしてある時 光に気がつく 丘のむこうにみえる ぼんやりとした光に

お椀のようなため池の中で 彼女は釣りをしていた 「一体何が釣れるんだい?」僕が聞く 「普段は男よ。でも今日は違うみたい」 フーは分福茶釜に糸を垂らすと くいっと竿を引いた 現れたのは キオクノキロク タヌキとどんぐりは 嬉しそうに目を交わす いつだって物語は そうして生まれる

キオクノキロクは記憶の断片 紙に移った炎のように すぐに消えてしまうその断片を おき火のように 永くキオクに留めておく為に 「これは君のかい?それともタヌキの?」 「変わらないわ」フーは言った 「どちらにしても中身は同じだもの」 僕は目を細める そこには確かな温もりがあった

「ほら、お守り」その小さな人形は僕の不安を和らげてくれた。 焚き火のユラユラゆれる炎ではなく、星のように瞬く光のように。 見送りに来てくれたつっきーの姿は今日は暗い。 「でもまたすぐに明るくなるよ。そう思わない?」 僕はうなずいた。 そうして、旅が始まる。迷いの森を抜けて。

夜空に浮かぶ海月の光 それはかつて知っている誰かのようで 知らない誰かのようでもあった 耳を澄ますと 確かに聴こえる微かな音楽の調べ 静寂は2分42秒  そうして僕は歩き始める 手にはどんぐりがひとつ それは最初のキオクノキロク https://note.mu/nkgw_next/n/n303364dc7640?magazine_key=ma083cd70a1ab

迷いの森には、『ざわざわする人たち』の囁き声が聞こえてくる。 『なんでどんぐりなんだい?こっちの栗は甘いし美味しいよ?』 いたる所から聞こえてくるその囁き声は、僕を不安にさせた。 焚き火の薪がぱちりと鳴った。 マフラーで体をすっぽり覆いながら、僕はいつまでも火を見つめていた。

「キオクノキロクを探すんだ」あぶらなめ氏はそう言った。 「誰でも持っているけど同じものは一つも無い。君はそれを採りに行くんだ」 君はくれないのかい?と僕は聞いた。彼は目を細めて 「代わりにこれをあげる。きっと役に立つよ」と言った。 そうして一番お気に入りだった帽子をくれたのだ。

北斗七星が輝く夜に、ある紳士がこう言った。 「君はこれから100個のどんぐりを探しにいかないといけない。」 触手を操り僕に渡す。「最後のどんぐりを持っている人に、これを渡すんだ。」 そうして僕は旅に出た。 100個のどんぐりを探すため、彼から貰った『ちくわペン』を手にして。

Searching for 100 Acorns

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300

【続き絵企画!】 もう一つやってみたかった企画がこの企画『Searching for 100 Acorns』です。 絵本形式の物語で、ちくわがどんぐりを探す旅に出る、もう一つの物語です。 ちくわは誰と出会い、その先に何が待ち受けるのか!? 謎と不思議の冒険が始まるよー!