見出し画像

劇場版『あぶない刑事』、あぶないどころじゃなかった

NetFlixで劇場版『あぶない刑事』を見つけた。
劇場版シリーズの第1作である。劇場公開は1987年。来年には8年ぶりの新作が公開されるらしい。

1987年となると、生まれる前の作品である。当然、テレビドラマの放送にも間に合っていない。これまで再放送を見たこともなく、舘ひろしがカッコ良さそうというイメージしかない。正直にいうと、『太陽にほえろ』とごっちゃになっている部分すらある。

それでもまあ有名なシリーズだし、全部で100分くらいだしと思い観てみたら驚いた。もう、拳銃撃ちまくり、爆発しまくり、舘ひろしと柴田恭兵演じる二人の刑事は上司の命令を無視しまくりである。ちょっと今のテレビでは放送しづらいシーンも多いし、刑事が急に空港で事件の関係者をよく分からない廃墟(?)の部屋に連れて行き、食料やワインを準備し、華麗に(?)話を聞き出そうとする。あと、スピード違反の車をパトカーが追いかけていると、急にロケット弾が打ち込まれる。リアリティやシリアスさを期待してはいけない。

しかし、シリアスさのかけらもないところが面白かった。
「こんなことはありえない」「現実味がなくて入り込めなかった」という意見もあるかもしれないが、フィクションなのだから、現実味がなくたって面白ければいいではないか。

とにかく画面に刺激が多い。なのに登場人物に緊迫感がない。
だから、ありえないくらいドンぱちしていても、そんなものかなと思ってしまう。

ええじゃないか、ええじゃないかとでも言わんばかりに銃弾を撃つ。
その銃弾も、後輩刑事が警察署からこっそり持ってきたものだ。しかし、「おいおい、どんな管理してるんだよ」とは思わず、そんなもんかとみれてしまうのだから不思議だ。

ネタバレ(これだけ昔の映画にネタバレも何もないと思うが念のため)になるが、最後に容疑者を射殺した後も、特に遺体の保全などをせずにさっさと帰ってしまう。いやいや、重要参考人も容疑者も全員死んでしまって良かったの?と思うが、二人の刑事は何も気にしない。

でも、こちらもあの浮ついた雰囲気に浸っているからか、「犯人も死んだし、一件落着」と思えてしまうから、やっぱり不思議である。

そして何より驚くのが、2024年に『あぶない刑事』シリーズの最新作が8年ぶりに公開されるということである。ドラマ含めて長く続くシリーズだし、劇場版も何本も公開されているが、現代に無理に即した内容になっていないか逆に心配してしまう。

この時代、上司の目を盗んで銃弾をあるだけ持ち出し先輩刑事に差し入れするなんてありえないし、参考人を空港で半分拉致するように連れ去り自白させようとしたらえらいことである。しかし、あぶない刑事なのだ。所定の規則通りに手続きをふみ、しかるべき役職者の許可をとってから行動していてはらしさがなくなってしまう。

これまでみたことがなく、8年ぶりの新作公開のニュースもあまり関心を持っていなかったが、劇場版第1作をみると「え、大丈夫なの???ちゃんとあぶないの???」と新作の内容が気になってしょうがない。

1987年の『あぶない刑事』はあぶないどころではなかった。
2024年の『あぶない刑事』は、ちゃんとあぶないのだろうか?劇場公開が待ち遠しい。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?