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目玉焼きがうまく焼けない

 タイトルの通り、目玉焼きがうまく焼けない。

 最近、立て続けに失敗している。今朝は卵を2つ使って作ったが、お皿に移し替えるときに片方の黄身が崩れた。幸いトーストがお皿で待ち構えていたので損失は出なかったが、失敗は失敗である。

 目玉焼きの失敗には種類がある。殻が入ってしまう、君を崩してしまう、火を入れすぎて半熟ではなくなってしまう。失敗パターンは様々だ。

 僕が一番気になる失敗は、薄くびろーんと広がってしまうことだ。それも、均等にではなく、砂場から流れ出す水のようなやつ。

 目玉焼きなのに、目玉の形ではなくなってしまうあれだ。そして、広がった白身をヘラで集めなんとか綺麗な形にしようとしているうちに、黄身に触ってしまう。

 初めて触る時は意外と大丈夫なのだ。ゴムベラがちょんと当たってしまう、しかし崩れない。おお、案外いけるじゃん。誰しもがそう勘違いする。

 しかし奇跡は続かない。2回目か3回目には刺激に耐えきれず黄身が溢れ出す。こちとら無駄な血を流したくはないというのに。

 トーストの準備ができていればいいが、そうでなければフライパンでの待機時間がのび、こぼれだした黄身が熱々のフライパンの肌で無惨に焼かれ、固まっていく。そうして、目玉焼きではない何かが出来上がる。

 丸みはなく、神経細胞のように突起がある。目の玉となるべき黄身は涙のようにこぼれだす。なんだこのアメーバは。美味しい朝ごはんを作るつもりが、アメーバを生み出してしまった。

 改善の糸口はどこにあるかといえば、そう、フライパンだ。

 世の中には色々なフライパンがある。目玉焼きを簡単かつ美しく作るには、小さいフライパンがいい。できれば、直径10cmくらいのやつ。白身が広がりづらく、よくわからない形の目玉焼きになることはなくなる。アメーバとは永遠にさよならできる。

 しかし、我が家では使えない。コンロの火が大きすぎて、小さなフライパンを使うと油にまで火が回ってしまう。賃貸焼きを作る予定はいっさいないのだ。そのため、径の大きいフライパンしか使えず、アメーバ発生の温床となる。

 どうにかできないものかと、なじみのご飯屋さんで相談してみると「それはどうしようもないね」と救いのない答えが返ってきた。「鮮度の悪い卵じゃ、綺麗な目玉焼きにはならないよ」とも言われた。

 しかしである。都会のど真ん中で、鮮度のいい卵を仕入れることは難しい。例え買ってきた日に使ったとしても、その卵が新鮮かどうかとはまた別だ。比較的新鮮であるだけなのだ。

 そう思うと、コンロの火がバカデカくない家に引っ越すか、鶏を飼える家に引っ越すか、鶏農家の隣に引っ越すかしか解決策はないのである。

 もうしばらく、アメーバ型の目玉焼きと仲良くやるしかなさそうだ。 

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