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そこにコーヒーがあった【4】

『机の上のコンビニコーヒー』


私は小学校の教員を22年間やりました。

そして23年目。
今はコーヒーの焙煎を職業にしています。
ちょっと早めの退職をして、個人事業主になったんです。
ずっと好きだったコーヒーを、
いつも感じていたい!
思い切って、公務員から飛び出しました。

焙煎をしていて、ふと思うんです。
「学校に朝行く時、よくコンビニコーヒー買ってたなぁ。」
って。

本当にコーヒーが好きだったんですね。
初めの頃は、缶コーヒーを買っていました。
あの甘さが、朝の寝ぼけた頭を
起こしてくれていました。

そのうち、コンビニで
レギュラーコーヒーが
飲めるようになると、
そちらに移りました。
本格的なコーヒーが、なんと100円で
飲めるんですから。

でも、私は通勤にバイクを使っていたんです。
雨の時も、カッパを着て。
寒い冬の朝も、完璧に防寒して。
そして、朝のコンビニコーヒー!

「えっ?!バイクでしょ?」
って思いますよね?
そう、バイクだけれど
コンビニコーヒーを
買っていました!

学校に一番近いコンビニで、
冷たくなった手に息を吹きかけながら、
カップをセットします。

ボタンをピッと押すと、
「ウィーン」とミルが動き出します。
そしてカチッと音が鳴ると、
・・・しばらくして温かいコーヒーが
紙コップに注がれていきます。
本格的ですよね。蒸らす時間も
あるんです。
その時にほんのりコーヒーの
香りがするんですね。
室内の暖かさも手伝って、
コーヒーの香り〜。
もうその瞬間で、
外の冷たい風を切って、
顔をしかめて、
指先に痛みを感じながら・・・。
そんな状態を忘れてしまうほどでした。

それを、コンビニの袋に入れて、
こぼれないようにいろいろ
思考錯誤して、学校まで
運びました。

・・・だから、冬の寒い朝でも、
バイクだって、
コンビニコーヒーなんですね。


私の職員室の机の上には、
いつもコンビニコーヒーの
カップが乗っていました。


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