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そこにコーヒーがあった【3】


『バイトとラジオとコーヒーショップ』


私が本格的にコーヒーを知ったのは、
20代の時でした。
教員採用試験に何度も落ち、
半日バイト、半日勉強という時でした。



バイトは病院周りの仕事だったんです。
車でのルート周り。
病院の検体を回収し、
報告書を渡すというものです。
車に乗り、いくつもの病院を周りました。
運転をすることが主ですね。


そんなとき、土曜日の午前11頃だったでしょうか?
NHK-FMから流れてくるJazzに
何故だか聞き入るようになりました。
女性DJの方は落ち着いた口調で曲を紹介します。
ルイアームストロング、アニタオデイ、
ビリーホリデー、ビルエバンス・・・。

サッチモ

Jazzの曲自体もそうでしたが、

・世の中が土曜日で開放感がある
・お昼までちょっと待ち遠しい時間
・おしゃれな感じ

というイメージをもっていたんです。
そう、運転しながらそんな感じを持っていて、
毎週土曜日が楽しみだったんです。



そんなある時、病院の近くに
コーヒー豆を売っているお店が
あることに気がつきました。

病院を出てきたその足で
お店に入ると、コーヒーの芳しい
香りが漂って来ました。
もうそれだけで、「あぁぁぁ〜♡」って、
なったんですね。
私のコーヒー体験の原点は、
この時でした。

さらにコーヒー豆には、たくさんの種類がありました。
聞いたことはあるけど・・・
え!こんな値段なの??
これ、どんな味がするんだろう?
初めて見る豆、どれも同じような気がするけど・・・
いろいろ説明が書いてあるな、
何といっても値段がこんなにも豆で違うんだ!!


その中から私は、
「エメラルドマウンテン」
を好んで選びました。
結構な値段でしたけれど、
ちょっと大人な感じを楽しんでいました。


家に帰って、電動ミルで粉にします。
「ガラガラ・・・ウィーン!」
豆が砕かれて細かくなり、
歯が空回りするようになるまで、
13数えました。

するとどうでしょう?
得も言われぬ、芳しい香り!!
コーヒーを飲むというより、
この香りを嗅ぐことに幸せを感じていたんです。
まして後ろから母の声。

「わぁー、よか香りのする!(熊本弁)」

自分もそうですけど、周りの誰かも幸せにする
(ちょっと大袈裟ですか?)
そんなコーヒーの、
そう、レギュラーコーヒーの
存在を知ることができたんですね。


それがバイトで結びついたんです。

土曜日とラジオとJazzとコーヒー!


この世の幸せ!!


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