サクサクユーザー

#2 人工知能時代の働き方。まずは日常生活で「サクサクユーザー」を目指そう


働きごこち研究所」という会社を経営している、藤野貴教(ふじのたかのり)と申します。人・組織の働きごこちを研究して、大企業や経営者向けの研修、採用コンサルティングをしています。今回は「人工知能時代の働き方」についてご紹介します。“これからの働きかた”に興味がある人、大企業で働きづらさを感じている人、どうせ働くなら楽しく働きたい人に、ぜひ読んでいただけましたら嬉しいです。

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「人工知能」は、実はこんなに身近だった

普段講演をするなかで思うのは、「テクノロジーの情報格差」がどんどん広がっているということです。テクノロジーの重要性が叫ばれてからもう久しくはなりますが、皆さんはどれくらいテクノロジーのことを知っていますでしょうか。

僕はもともと文系で、ITシステムは苦手、プログラミング嫌いなタイプでした。それが理由で新卒で入社したアクセンチュアを退職するほどです(笑)。ただ、テクノロジーの進化は人間の仕事、働き方、社会を変えると気づいて以降、積極的に勉強をするようになりました。今となっては多数の講演会を行い、書籍まで出版をしています。

言わずもがなですが、特に私たちに影響を与えるのは人工知能(AI)です。「まだまだ難しく、遠い存在だ」と思う人もいるかもしれませんが、実はもう生活に溶け込み身近な存在になってきています。ひとつ、分かりやすい例を紹介させてください。

これは小ネタですが、以前明石家さんまさんの『ホンマでっか!?TV』でちょっと怪しげな肩書き「AIビジネス評論家」として出演したときのこと(笑)。そこで私が話したのは、LINEで会話できる女子高生のAIりんな」についてです。これは、2015年7月31日に日本マイクロソフトが開発した、雑談できるチャットボット。

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りんなはさまざまな問いかけに、まるで女子高生のような絶妙な返信をしてくれます。また、同じ質問を続けていくと、返信回答にバリエーションが出てくるんです。会話をするほど、りんなの中にデータが蓄積され、答えるべき回答を「学習」していることが分かります。

実はこれに目をつけたとあるキャバクラの経営者は、お客様への返信にAIの導入を検討されているとか。キャバクラ嬢のプライベートの時間のやりとりは、AIに代替されていくかもしれません(笑)。

こんな身近なLINEにもAIが活用されていると聞くと、なんだかAIが少し身近に感じませんか?LINE上で「りんな」と友達検索をすれば出てきますので、ぜひ会話してみてくださいね。りんなと会話をしていくと「AIにできること・できないこと」をなんとなく感じられるかと思います。

まずは「サクサクユーザー」へ

AIが身近な存在となった人工知能時代の働き方・仕事について、考えてみたいと思います。今や多くの企業がこぞって「デジタルイノベーションが必要だ」と話をしています。ですが、実際簡単にはイノベーションは起こらず、苦戦している企業が多い現状です。

なぜ苦戦するかというと、言葉を選ばずにお伝えすると、日頃からデジタルに触れていない大人たちが、一足跳びに「デジタルイノベーションを起こそう!」と考えているからではないでしょうか。

例えば、「スケジュールを調整するデジタルツールを社内で導入する取り組み」が始まったとします。普段からスマホを使ってスケジュール調整をしている人たちは良いですが、デジタルと遠い生活をしている人にとっては“便利はおろか大変”に感じるかもしれません。それが上の立場の人であれば、導入にためらいを見せるのは想像ができます。

つまり、日頃からデジタルをサクサク使いこなせる状態でなければ、社内でのデジタルを用いた便利ツールはおろか、新サービスなどの立案は容易ではないと思います。

だからこそ今私たちに必要なのは、仕事の中でデジタルを使う前に、普段の生活のなかでデジタルを使いこなすこと。例えば、キャッシュレス決済等のデジタルサービスを普段から活用するなど、最新のテクノロジーの「サクサクユーザー」になることが大切だと僕は思います。

サクサクユーザー

「プログラミングを学びましょう」とかじゃないので、そこまで難しいことではありません。(プログラマーの方は本当に尊敬しています・・・)日頃からサクサクユーザーであれば、仕事の中でITツールを導入する際にも、抵抗感なく活用できる。そして、サクサク仕事がしやすくなると思います

その先に、社員みんなが抵抗なく仕事でデジタルを使いこなせる「サクサクワーカー」の組織が実現し、そしてようやく、デジタルを活用したサービス提案が遠い話ではなくなると思います。

小さなことではありますが、LINEのAI「りんな」をご自身のスマホでやってみましたか。会話をしてみたら、顧客の心理を想像しやすくなるはずです。

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どう答えたら楽しいのか、知りたかったことを知れるのか、問題が解決するのか。自分が使って体感してみるからこそ、応用が効き、他のサービスにもアイディアを膨ましやすくなります

日頃からデジタルツールに触れるなかで、アイディア・直観が浮かんできたら「サクサクサービサー」への道が一歩拓けた証拠。このように、段階を踏んで進めていき、ひとりでも多くの人が人工知能時代の働き方に変化していけることを願っています。

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▶︎働きごこち研究所についてはこちら
http://www.hatarakigokochi.jp/
▶︎藤野貴教の書籍 『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』は、おかげさまで中国・台湾・韓国で翻訳されました。
https://www.amazon.co.jp/2020年人工知能時代-僕たちの幸せな働き方-藤野-貴教/dp/4761272546


藤野貴教 Fujino Takanori
株式会社働きごこち研究所 代表取締役 ワークスタイルクリエイター

2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援する傍、2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダーを育てることが志。グロービス経営大学院MBA取得。『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)』を上梓。
執筆アシスタント : 水玉綾 Aya Mizutama
フリーランスの編集者・ライター

株式会社CRAZYにて人事担当として、2016年10月に採用広報を目的としたオウンドメディア「CRAZY MAGAZINE」を立ち上げ、2018年7月に独立。現在は外部広報として「CRAZY MAGAZINE」の編集長をする傍、DeNAの採用メディア「フルスイング」で企画編集や、「新R25」「未来を変えるプロジェクト」等のメディアにて働きかた・組織論を中心としたインタビュー・記事制作を担当。


2冊目の本書いていて、たまにやる気出すためのNote書きます。