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恋する主婦サポーターさとうかずみの物語 サッカー界には彼女を表現する語彙がない!!


信じられるだろうか?

サポーターとして一つのクラブを追うだけでも大変なのに、複数のクラブのサポーターをしている人がいる。しかも現地観戦派として。

三重から深夜バスで帰ってきて、
半日を仕事をした後に、
栃木SCの応援をして、
翌日からまた仕事。

そんなスケジュールも彼女にとっては普通である。

いやいや、それだけじゃなくて、2つともコアサポーター的な活動もしているのでゴール裏で巨大な大旗を振り回している。

そんな主婦がいる!


信じがたいほどのバイタリティ!
応援するクラブ、選手への深い愛情!

世の中には、1つのクラブの応援に専念せよと主張する人もいる。クラブへの愛は分散させるべきではない。1つの愛をすべて注ぐべきだという主張だ。

その是非はともかく。

愛情量が人の2倍あれば、2つのクラブを愛することが出来る。それだけ体力、精神力、気力も必要になってくる。不可能なんじゃないかとぼくも最初は思っていた。

しかし、現実に成し遂げている人が存在するのだ。

サッカー界には彼女を表現する語彙がない。

栃木SCとヴィアティン三重と船山貴之のサポーターとして

「かずみさん!!一体どうなってるんですか!!」

桑名駅前にある桑栄ビル。その中にある昭和風情たっぷりのカフェの中でぼくは叫んでいた。

もう一つの浮気な恋が判明したのだ。

と、書いてご本人に原稿を確認してもらったら「浮気な恋など一つもない!すべて本物の恋じゃ♡」(原文ママ)と突っ込まれてしまったので、謹んで訂正する。

もう一つの本気の恋が判明したのだ、と。

さて、彼女が栃木SCとヴィアティン三重を現地観戦していることは知っていた。彼女は、船山貴之選手を見るためにジェフ千葉にも顔を出しているのだという。松本山雅の時も通い詰めたため、松本山雅のシーズン記録雑誌などに載っているとも言っていた。

彼女には聞きたいことがたくさんある。

・栃木から三重に通うようになったのは何故なのか。

・一体どうやったらそんな時間が捻出できるのか。

・旦那さんの理解は得られるのか。

・何をどうしたら、栃木&三重&船山貴之サポという複雑な状況になるのか

彼女は単なる浮気者なのか、それとも恋多き女なのか。いやいや、そんな言い方だとちょっとイメージが悪い。

とはいえ、こういう状態の女性についてどうポジティブな表現をしたらしいのだろうか。

サッカー界には彼女を表現する語彙がない。


マルチ女子サポとか、新型コアサポとか、何か言い方があるような気もするが、現状では彼女を形容する表現はない。しかし、こういったサッカーの見方も大いにありだと思う。

一つのクラブを頑固なまでに応援し続ける方法もあるかもしれないが、それだけがサッカーではない。サポーターではない。そんな気がしている。

豪快かつ繊細。土佐の皿鉢のような彼女の話を是非聴いて頂きたい。

サッカーファンより選手サポ?

中村(ぼく):かずみさんといえば、クラブとして三重と栃木を応援していると同時に、船山選手の専属サポでもありますよね。そのへんからはじめましょうか。

かずみ(別名むぎちゃ、ボス。以下、かずみ):サッカーが好きというよりも、選手が好きという人は実はかなり多いと思う。サッカーが好きで見ているんじゃなくて、好きな人がやっているスポーツがサッカーという人。だって、船山って名前がついていたらどんなものでも買うもの(笑)。

「松本山雅からジェフ千葉からフロンターレまで。そういえばバナナ男にもなっていたのを思い出した。」

中村:なるほど。そういえばグッズって買ったことがないな……(笑)。石川直宏のユニフォームは欲しかったけど。確かに男性ファンは、グッズにあまりお金を使わない傾向があるかもしれないですね。

かずみ:そうそう、私みたいなおばちゃんサポを大事にして欲しいと思う(笑)。

中村:仰るとおりで……。ぼくのようにDAZN見てブツブツ言っているおじさんに比べて、現地派でグッズは必ず買うとなると金銭的な貢献度は高いかもしれませんね。選手サポ、個サポというような存在は珍しくないのは知っていますが、2つのクラブをコアサポ的に応援しながら、個サポもやっているというのは滅多にないケースだと思います。

かずみさんのようなサポーターがどうして生まれたのか是非読み解きたいです。お願いします!

かずみ:はい、私でよろしければ(笑)

サッカー初観戦は伝説のJリーグ開幕戦?!


中村:全然わけがわからないのですけど、どうやったらかずみさんみたいなサポーターが生まれるのでしょうか。一番最初にサッカーを見たのはいつですか?

さとうかずみ(別名むぎちゃ、ボス。以下、かずみ):一番最初はね、サッカー見てないのよ。見てたけど。

中村:は?

かずみ:Jリーグの開幕戦わかる?

中村:1993年、ヴェルディ川崎vs横浜マリノスの伝説の試合ですか?まさか現地にいたんですか?!

かずみ:そうそう。

中村:ものすごいプラチナカードだったと聞いているんですが。

かずみ:すっごい高かったよ。確か。私ね、前田さんのファンなの。

中村:前田さん……?前田遼一ですか?

かずみ:違う違う。開幕戦出てないでしょ。※前田遼一はJリーグ開幕時は小学校六年生

中村:うーん、ヴェルディにもマリノスにも前田という選手はいなかったような……。

かずみ:TUBEの前田亘輝さん。かっこいい……。

中村:え?!

かずみ:国歌斉唱をしていたのよ。TUBEのファンが集まっていて、私もミニスカ、ハイヒールで観に行ったのよ。座席もよくわかってないし、対戦カードも知らなかったんだけど。

中村:なるほど……。で、試合はどうだったんですか?

かずみ:見てないから、知らない。

中村:は?!見てないんですか?

かずみ:私たちTUBEファンは、試合が始まったら前田さんの出待ちに行っちゃったので、みんなすぐ帰ったの。

中村:そのためにン万円と言われたプラチナチケットを……。

かずみ:だって前田さんが国歌斉唱するなら行かなきゃでしょ!


開幕戦の国歌斉唱。前田さんが歌うところに頭出ししてあります。確かにすごい!

サカイクママとしてサポーターデビュー

中村:要するに、開幕戦は観に行ったけど、それはサッカーにはまるきっかけにはなっていなかったということですかね。とすると、サッカーにはまった切っ掛けはいつなんでしょう。

かずみ:うーん、私は9歳の時からジャイアンツファンなのね。だから、息子も野球プレイヤーになると思ってたの。それが13歳の時にサッカーを始めて、息子サポーターになったのが始まりかな。

中村:J開幕が1993年で、息子さんがサッカーを始めたのが2004年ですね。なるほど!サカイクママだったわけですね!!

かずみ:そうそう。開幕戦のあとも、巨人ファン繋がりでヴェルディ川崎を見たり、代表戦を見て、鈴木隆行と柳沢敦のツートップかっこいいとかは思ってたけど(笑)。

中村:やっぱり格好いい男メインなんですね(笑)

佐藤光将選手!横顔がやばい!


教員選手に導かれて栃木SCを見始める

かずみ:それでね、息子がサッカー部に入って、息子のガチサポになった時に、中学校の臨時職員に片野 寛理(ひろみち)がいたのよ。栃木SCって元々教員系のチームだったから。

中村:片野選手、存じ上げなかったのですが、栃木SCからキャリアを初めて、海外クラブなどにも所属した選手のようですね。(wikipedia)

かずみ:そうそう。そういう縁もあって、栃木SCを見るようになったんだけど、翌年すごいことがあったのよ(2007年7月のことらしい)。柱谷幸一が来て、栃木SCを完全プロ化したの。

それまでは教員なんかと兼業をしている選手が多かったのだけど、昼の練習との2部練を始めたので兼業していた選手は全員クビ。

中村:おお……。それはなかなかドラスティックな……。そしたら選手達はどこへ?

かずみ:栃木ウーヴァ(現栃木シティフットボールクラブ)に行ったり、そのままやめちゃったり。その時私は怒ったのね。今となってはわかるんだけど、当時は全然わからないから、愛着があったチームがバラバラにされちゃったし、やめなきゃいけない選手もいる中で、こんな残酷なことはないって。プロ化ってなんなんだって本気で思ってた。

中村:なるほど……。それは栃木SCの歴史を語る上で重要な出来事ですね。


栃木SCのゴール裏で大旗を振り始める

中村:栃木SCの試合はどのあたりの席で見ていたのですか?

※どの席で見ているかを聞くと、その人の観戦スタイルが大まかにわかるので、よくこういう聞き方をする。

かずみ:ゴール裏にはいた。でもまだ大旗は振っていなかった。10年前くらいにピンチヒッターで大旗を振って、そこからレギュラー化して今に至るという感じ。

中村:何かサポーター団体には入っていたんですか?

かずみ:栃木アヴァンソっていう私設の応援団があったのよ。もうないし、多分覚えてる人あんまりいないけど(笑)。

船山GO!船山GO!いかしたゴール見せてくれ♪


中村:栃木SCを応援してきて良かったことを並べてみるとどんなことがあるでしょうか?

かずみ:まずは、毎週末を楽しみに生きられるようになったこと。試合があるだけで生活の張りが違う!後は監督についての見る目が出来たこと。これは特に松田浩監督に出会ってからかなぁ。毎試合ネクタイとスーツで来てとってもジェントルマンなんだけど、メインスタンドを煽ったりとか、ベンチ蹴飛ばして退場になったりもするの(笑)。

中村:ギャップが凄いですね!!

かずみ:そう(笑)。松田浩には、監督を見るっていう楽しさを教えてもらった。後は、船山貴之に出会えたこと。

中村:来ましたね……(ちょっと緊張している)。

かずみ:私、船山貴之のことなら、三日三晩語れるんだけどどうする?(笑)

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※8月はヴィアティン三重の観戦記も一本出ています。
あと峰麻美による大阪紀行が最高です。「昭和の女、ヤンマースタジアムで平成にカチコミをかける


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中村慎太郎 旅とサッカーを紡ぐOWL magazine

作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。

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