コロナ後

私はレゲエが大好きである。

中学生のときにMINMIさんに喰らってからというもの、ジャパニーズレゲエを聴き漁り、湘南乃風、PUSHIM、Fire Ball、REDSPIDERと突き進み、「はーレゲエ最高ー」みたいな音楽遍歴を辿って来た。
ああ懐かしの2000年代レゲエ…。
私は多分人生をもう一度やり直してもレゲエを聴くと思う。
それくらい好きだ。

年に二回はライブに行っていた。
ライブグッズも買い、タオルも買い、部屋に飾って幸せだった。
何故過去形なのかというと、あいつのせいである。
憎いあんちきしょう、新型コロナウイルスとかいう奴の。

密を避けるためにライブが全部中止になった。
ライブは娯楽であり、不要不急であると結論付けられた。
理屈は分かる。
コロナにもかかりたくない。
でもやっぱり悲しかった。
だって貴重なストレス発散の場だったから。
余計にストレスのたまる時期に楽しみを取り上げられ、私は嘆き悲しみ小説を書いていた。
家で出来るし、私にとっては要だし急だったから。

そうして数年経ち、すっかりその生活になれてしまった。
ライブに行かなくても配信や音源を聞くことで満足出来る身体になり、小説も長編ばっかり書くからとにかく時間が必要で、読みたい本もたくさんあるし、定額配信サイトに課金するようになって、ドラマや映画も見たいし。
休みなんてすぐ終わってしまう。

体力も落ち、お出かけには大義名分が必要と思い込み、世間が自粛を終え、イベントも解禁するようになっても私は家に引きこもり、誰に強制されることもなく不要不急の外出を避けていた。

お出かけするにも誰かと。何かの用事があるときに。
友人と遊んだり、帰省をすることは不急ではあるかもしれないが私にとって要だと判断し、それくらいはしていた。
でも、それしかしていなかった。

だから、世間で魅力的なイベントが行われていても、「まあ、行けないな」と勝手に諦めていた。

でも、今年の秋。
私は友人と居酒屋で会話をしていてようやく気付いた。
「あれ。このままだと私は再びライブに行けないまま一生を終えてしまう
」と。

私は多方面に興味があり、美術館にも博物館にも個展にもレゲエのライブにも行きたい。
緑も好きだし、海も空も好き。
だから実は引きこもっている時間なんてないのではないかと。

更に、引きこもると確かに抱えている小説は捗るのだけれど、行き詰ることが多い。
新しい刺激がないから無限に同じような悩みをループして、答えのない迷路に迷い込んで出てこれなくてそこでお茶とか沸かし始めちゃう。
もちろん小説を読んだりドラマを見たり配信を見たりすることは外的刺激だけれど、それだけでは弱い。
自分で見たいジャンルや展開のものばかりを選んでしまうから。
外に出た時につきものの「予想外」の「トラブル」がないから。

だからもう、今後はガンガン外に出て、刺激を取り込んで行く予定である。
コロナ前に「敷居が高いかも」とか「他に興味ある人いないし、一人で行かなきゃいけないかも」とか遠慮していた場所にもガンガン行く。
一人だって別に行けるし、向こうが敷居を下げてくれることなんてない。

手始めに先日「キボリノコンノ展」に行って来た。
やっぱり行って良かったと思った。

というわけでようやくレゲエのライブも解禁したいと思う。
残念ながら今年は行きたいライブが関西なので、来年から張り切って参加したい。
自主的自粛期間が長すぎて出遅れた。
世間には楽しいことがいっぱいある。
今後は乗り遅れないように生きていきたい所存である。

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