【小話】犬の気持ち猫の気持ち飼い主の気持ち
カメラを向ければ動物の気持ちが分かる。
そんなアプリを生み出そうとしている会社での会話。
「先輩。犬の感情パターン、これでいいですか」
「見せてみろ。……うーん。もう少しバリエーション増やした方が良いな」
「足りないですか?」
「うん。あと数パターン、飼い主大好き! みたいなのを増やせ」
「分かりました。そうすると猫のも増やした方がいいですか」
「おんなじ数で調整してるから、そうだな」
「猫は、何が足りないですか」
「罵倒だな」
「罵倒」
「うざい、うるさい、面倒臭い、が足りない」
「口悪くないですか? 大丈夫ですかね」
「大丈夫。猫好きはそれくらいないとむしろ安心しない」
「そんなもんですかね」
「そうそう。猫好きってのは難儀な生き物なんだよ」
「……そういえば朝から気になってたんですけど、先輩その顔の傷」
「ああ、これな、うちの姫にやられちまってさ」
「奥様ですか?」
「猫様だ」
「……猫好きって、難儀な生き物ですね」
「本当にな」
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