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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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#Ravel

Ravel Sonatine Movt. 2 (2)

以前この楽章の冒頭部分のなんちゃって分析をしたことがある。今回は終わりの部分である。

Un peu plus lent qu'au débutのところから。

この4小節はcis のペダルの上で鳴っているのだが、小節ごとに細かくモード(旋法)が変っていくところがミソである。小さくて見えないかもしれないが、C#エオリアン、C#のメロディックマイナー上行、C#のフリジアン、C#の5度下から始まるハー

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Ravel "Gaspard de la nuit" Movt.2 "Le gibet"

別にハロウィーンがらみということもないのですが、「絞首台」であります。

ラヴェルの「夜のガスパール」も音楽的発見の尽きせぬ泉でありますが、第二楽章の「絞首台」のほんの数小節を見てみます。音はこちら。

20小節目から。原曲はこの部分で転調するので最初の部分は変ホ短調の調号がありますが、見にくいので取っ払って、シャープ系で書き直してみました。上の三段がピアノを単純化したもの、下の大譜表は和音を整理

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Mussorgsky "Pictures at an Exhibition" 1. Gnomus

ムソルグスキーの展覧会の絵の2曲目のGnomus(小人)の終わりのところはcon tutta forza で一気呵成にvelocissimoで駆け抜ける。右手左手の単音・ニ旋律だけだが、効果的に書いてある。基本的にはこの5小節は主和音のEbmで、あとはコアになる音への修飾に過ぎないとみればいいのか。(青が和声音、赤が修飾音、緑は経過音)

これをラヴェルはどうオーケストレーションしたか。

まず、

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Ravel Le Tombeau de Couperin "III. Forlane" (2)

RavelのForlaneの続きです。9小節目からで、わかりやすくゆ~っくり弾いたものがこちら。

9小節目からは、まずEmの和音でスタートするものの、いきなり低音でC#のバスを鳴らします。これは将来的には18小節目にG#メジャーに解決しますが(下の譜例)、これはD#m7b5を間に挟み半終止を意図していると思われます。10小節目からはF# minor、のちC# minor と解釈するのが妥当と考え

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