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お箸を使って食事をしてほしい!のニーズに答える微細療育

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お箸を使って食事をしてほしい!のニーズに答える微細療育

幼児さんで年中、年長さんになってもなかなかお箸が使えず、スプーンや手づかみで食事をしている、というお子さんは少なからずいます。

そんな時、親御さんとしては「周りの子と比べて遅れているのが心配」、「小学校までにはお箸が上手に使えるようになってほしいけれど・・・」などのようにさまざまな不安を抱かれるのではないでしょうか。

また、そのようなお子さんを預かる保育、教育現場の先生方や、療育施設の職員さんも、日々どのように課題に取り組んでいけばいいか、お悩みになることも多いと思います。

今日は、お箸の微細療育について、実践している内容をご紹介いたします。


5領域との関連性

児童発達支援、放課後等デイサービスでは、R6年度より、計画書に5領域との関連性を明記するよう厚生労働省より通達がありました。

5領域とは、
1.健康・生活
2.運動・感覚
3.認知・行動
4.言語・コミュニケーション
5.社会性・人間関係
を指し、個別支援計画において立案している目標および支援内容に関して、5つの領域のどの領域について指しているのかを計画書の中で明らかにする必要があります。

今回ご紹介する「お箸の微細療育」は、
1.健康・生活 (食事は日常生活動作:ADLの一つであり、生活の中で最も重要な要素であることから、この領域に該当すると考えられます。)

2.運動・感覚 (お箸を上手に扱うには握力、手指の巧緻性などの運動的要素、または手指の感覚を通して情報のフィードバックと動作の修正が必要になるため、この領域に該当すると考えられます。)

3.認知・行動 (お箸はこのように扱うもの、という認知の形成や、お箸でつかむ対象に応じてお箸の使い方や力加減などを調整する過程は、情報を認知的に処理して行動に変換する必要があるため、まだその形成が弱いお子さんに対しては繰り返し微細療育を行うことによって認知的処理のトレーニングを行っていることにもなるため、この領域に該当するものと考えられます。)

上記3領域に該当するものと考えています。
ご参考になさってください。

お箸の微細療育の進め方

ペン→スプーン→トング→補助箸→箸の順序性

もちろん、どんな子どももいきなりお箸を持てるようにはなりません。
上手に扱えるようになるには、順序性があります。

ペン

まずは、ペンやクレヨンなどを使って、殴り書きでもいいのでお絵描きができるかを確認します。
食事と関係ないのでは、、、と思われるかもしれませんが、ペンが扱えないと、スプーンの扱いもできず、その先のお箸の操作もできません。
お箸にたどり着くまでの土台とお考え下さい。

スプーン

次にスプーン
食事の場面を観察してもよいのですが、療育現場などでは食事を提供していない場合もあると思います。
そのような場合には、瓶などに紙粘土を詰めておいて、それをほじくりだすようにしてもらいます。
子どもは意外とこういう作業を楽しんで、集中して取り組んでくれます。ほじくりだす、という動きは意外と力を使います。
力が弱い子は、握力を鍛えるいいトレーニングにもなります。

トング

次にトング
上の部分がつながっていて、閉じる動きは自分で行い、開く動きはばねの力で補助してくれます。
物を挟んでとる、という動作の練習になります。
この時はさむものは、柔らかいものから硬いもの、軽いものから重いもの、球体(例えばピンポン玉)や立方体(例えば積み木)など、さまざまなものを用意します。
はさむ力が弱く、はさみ損ねてしまう場合は、握力がまだ弱い状態です。
そのようなお子さんには、先ほどのスプーンのほじくり動作に戻ったり、鉄棒にぶら下がるような粗大運動をさせたりしながら、身体全体の力を高めていきます。

握力は、全身の筋力指標ともいわれます。
握力が弱いということは、全身の筋力も弱いということととほぼ同義で、逆に言うと全身の筋力を鍛えることは握力を高めるためになるということです。

トングがなかなか上手にならないな、、、と思ったら、全身の筋力トレーニングに振り切ってもいいかもしれません。
鉄棒のぶら下がりが5秒くらいできるようになってくると、トングも上手になってきます。

補助箸

商品名は出しませんが、穴の開いているお箸に指を入れるスタイルの補助箸は、わたしは推奨しません
一見、きれいに持っているように見えますが、穴に指を入れることで、しっかり保持していなくても手から離れにくく、指にぶら下げている状態になっていることが多いです。

また、お箸の先の開閉も本来の力の入れ具合とは真逆の方向に力を入れることでお箸を開閉させています。同じような力の入れ方でお箸を使おうとしても、手から零れ落ちてしまいます。また一から、お箸を使う時の力の入れ具合を学習しなければいけません。
とても、非効率です。

私のおすすめはこちら。
お箸の上に着けるだけ、そして100円!!(税抜き価格)

トングのような感覚で、物をつかむことができます。
トングと違って、お箸を使うので、先が細くつかみにくいです。そんな時は、お箸の先に輪ゴムを巻き付けると滑りにくくなり、成功体験を得やすいです。

そしてレベルアップしてきたら持てたクンはのけて、これに変えます。
鉛筆に着けるグリップです。

これを、上のお箸(人差し指と中指で動かすほう)に装着します。
それぞれのくぼみに、親指の腹、人指し指の腹、中指の横の部分をあてて持ちます。
そしてそれをもって箸先を開閉するように練習します。

お箸を持った時、空間があかずにすぐに握り持ちになってしまうのですが、それもこのグリップを装着することで解消されます。

握り方にも順序性がある

ペンやトング、スプーン、お箸の持ち方握り方にも順序性があります。

まずは掌が下になる、順手の握り持ち
次に、掌が上になる、逆手の握り持ち
親指と人差し指で持つ、二点持ち。(手をバキューン:銃の形にして持たせるので、バキューン持ちとも呼んでいます)
そして最後に完成形の、親指、人差し指、中指で持つ三点持ちです。

特に療育を進めていく中では、握り持ちから二点持ちに切り替える時が一番苦労します
子どもにとっては、握り持ちの方が遥かに持ちやすいからです。

バキューンにしてごらん、と言いながら手の親指と人差し指を伸ばして銃の形をつくらせ、曲げている三本の指を前から抑えるようにして補助し、進めていきます。


今日は、お箸の療育について、お話してきました。
少しでも、お役に立てば幸いです。

ご覧いただき、ありがとうございました!
また次回、お楽しみに!!

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