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汝まだ街に入るべからず

不思議なことになっている。村上春樹氏最新作の『街とその不確かな壁』について変な文章を投稿して、100人くらいのフォロワーの方々に目を通して頂き、過分なスキをちょうだいしたせいか、ちょっとした心理的障壁ができてしまい、1ページ目に踏み込めなくなってしまったのだ。やはり人間の放つ量子波とは魔術的力があるようだ。丸善のビニール袋から取り出して無香の香りをひと吸いして、また本をしまい込む日々が続いている。さらには部屋にあった『騎士団長殺し』を読み返しはじめてしまった。微妙に最新作の圧がかかり一通り読破したはずの騎士団長の世界に逆戻りしつつ色褪せない物語世界にひと息つく。自縄自縛の魔術を破るために“御神酒”という銘柄の小瓶まで買ってきたが、タイミングがつかめず、前作品世界に押し流されている。いやこのままでは未読のエッセイまで読み込んでしまいそうだ。流行の熱が醒めたころ、壁の街に入れるのかもしれない。

自縄自縛魔術にかかってしまった。

■画像はナショナルジオグラフィックより。

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