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【ネタバレあり】二人きりの物語。劇場版Fate/stay night[Heaven's Feel]第一章感想

先日ネタバレなしのオススメ記事を上げました。

そして年末にAbemaTVや地上波でも第一章が放送され、間もなく第二章公開というタイミングで、ネタバレ込みの第一章の感想を投稿します。

わたしがFateシリーズに出会ったのは厳密に言うとプリヤが先ですが、「stay night」をまともに観たのは2014年のUBWアニメ。ハマった当時は「UBWアニメは観たから、セイバールートを無料プレイして、あとはHF劇場版まで待とう」とか宣っていました。

しかし、セイバールートを始めて間もなく原作の面白さにハマってしまい、Fate/stay night[Realta Nua]、Fate/hollow ataraxiaと立て続けにプレイし、気が付くとそこは沼の底でした。

3ルート中、HFが一番好きです。あのどうしようもなく閉じていて逃げ場のない世界と、最後に残った救いに心を鷲掴みされてしまいました。

そんなHFを、熱心な原作ファンで実力のあるアニメーターである須藤さんが監督を務めアニメ化する。この劇場版の最終章を見届けるのは、私の数少ない生きる目的の一つです。(割とマジ)

よって例のごとく長文となりますのでご容赦ください。

本テキストは劇場版公開時に書いたもの(未公開)に加筆修正したものになります。
第一章からHeaven's Feelに初めて触れる方のためにも、第一章で語られていない原作ネタバレに関しては極力配慮しています。

視聴前の不安、全てが杞憂だった。

結論から言うと最高でした。

凄まじい情報量にただただ圧倒され、とにかくスタッフさんの愛と熱と気合を感じました。
心の中で何度「ありがとうございます」と言ったかわからない。

公式より全三章という情報が公開された当初、私の貧困な想像力ではあの長大な物語を劇場版三本(6時間=UBWのおよそ半分)の尺にどうやって収めるのが想像もつかず、不安と期待が入り混じった気持ちでいっぱいでした。

しかし、蓋を開けてみれば全くの杞憂でした。

「原作の魅力はそのままに、劇場版アニメに最適化した形に再構成する」
「今だからこそできるHFを一から作る」

インタビューで散々語られていたこの言葉に嘘はありませんでした。

HFが持つ魅力とストーリーの軸をぶらさず、見事に一本の劇場版アニメとして成立させている、と感じました。

多少のオリジナル展開やカットはあったものの、その目的や意図に納得できるものばかりでした。上手く時間軸をいじったりして、映像として印象的に見せているので、映像作品としてとても完成度の高いものでした。

たとえば桜がギルガメッシュと鉢合わせるのは、原作だと士郎がランサーに刺される前日の出来事。それをあえて同じ日にする事で、二人が同時に聖杯戦争に巻き込まれていくことをより印象付ける映像となっています。

正直な事を言うと、初見の時は気になるところが多少ありました。しかし視聴回を重ねるうちにそれらはむしろ減っていき、何度見ても新しい発見があるという映像の重厚さに今もなお驚かされています。

第一章のテーマと、第二章に向けての期待

第一章は副題「presage flower」の通り、これから待つ過酷な運命の前兆や桜の今後を予感させる話です。もとあった暖かな日常は崩壊し、問題が何も解決しないまま終わってしまいます。

初めて見たときは「えっ、ここで終わり!?」と思いましたけど、インタビュー等で語られていた第一章のテーマを思えば、これで良かったと思えます。

逆に、物語が動き出すのはこの先からなので、二章では主題歌もアップテンポで、めまぐるしい展開を予感させるもので、今から期待しかありません。

もしかしたら、この劇場版で初めてHFに触れる方は「この先どうなるの?」と不安かもしれませんが、いち原作ファンとしては太鼓判を押せるものなので、この先安心してドロドロした人間の感情と、ド重い展開に飲まれることを楽しんでほしいと思います。

もしかしたら、先が気になって仕方ない人も、そのまま劇場版で駆け抜けた方がいいのかもしれません。その方が、プレイ前と後での感想を楽しめて二度美味しいと思う。くそ、心底羨ましい。プレイ済みの人間は記憶を消せないからな!

あと、ゲームと違って映画は再生を止められないので、感情と展開の濁流に押し流される新鮮な悲鳴を聞かせてください。我々原作プレイ済みにはもう味わえない感情を……ください……(ゾンビ)。

あと、ネタバレなし記事の方に書いた「こういう人に刺さる」に当てはまる人は、感情をぐらぐら揺さぶられる覚悟と、泣いてもいいように涙を拭く用のバスタオル持参で劇場に向かってもらえれば幸い。(多分ハンカチじゃ足りない)

さて、それでは本編の感想にうつります。

あくまで「士郎と桜の物語である」ということをしっかりと示した日常シーン

HFでは、聖杯戦争は主題ではなく、あくまで士郎と桜の二人が話の中心に据えられます。それは冒頭が士郎と桜の出会いから描かれていることでハッキリと示されていました。

私はここで既に感極まってしまい、初見にして既に涙が出てしまいました。笑

涙の理由はいろいろあるんですが、まずひとつは須藤監督のこだわりと愛を感じること。

桜と士郎の出会いは、他二人のヒロインとは違い、聖杯戦争開始の一年半前。原作ではシナリオの都合上、回想シーンとして断片的に描かれますが、こうして時系列で見せることで、それを視聴者にしっかりと印象付け、桜に感情移入させるこれ以上ない導入だと思います。

そして、傷を負った二人のおだやかな日常の姿。

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少しずつ目に光が戻っていく桜と、その存在に日常の温かさを感じている士郎。二人を見つめる藤ねえの視線。

そして、この日常がいずれ崩壊するという事実。

ストーリー的にもメタ的にもいろいろな気持ちがこみ上げてきて泣いてしまいました。

特に桜が成長していく様を時間軸通りに観ることができたおかげで、元々桜は好きでしたが、より「一人の女の子」として思い入れが増しました。

この日常シーンは、リアリティを持たせるためにカメラをほとんど動かさず、音楽もほとんどなし、衣擦れの音などのSEをこれでもかと入れている。

そのおかげで、初見では没入感がすごかったですし、体感時間もとても長く感じられました。ずっと続けばいいのに、とすら思ってしまった。

そんな中で、中学時代の小動物のような桜が、進学して穂群原の制服を着て士郎の前に現れた時、妙に綺麗に見えてドキッとしてしまったんですよね。色っぽいというか。

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これは初見時だけの感覚だったんですが、未だに忘れられません。もし私以外にもそう感じている人がいたら嬉しいなあ。

これって「妹のような存在だった桜を異性として意識し始める」という士郎の感情とリンクしている。この心境の変化は、今後肝になる部分なので、すごくいい演出だなと思います。

これ、原作だと士郎が「最近桜はキレイになった」みたいな事を最序盤に言うんですけど、実はそれは共通ルートで何度も読むことになるシーンなので、桜ルートにたどり着く頃にはそこの意味合いが割と薄れて来るんですよね。飛ばしちゃいますし。

しかし、それがこうして映像化されることによって、より感情移入した状態でHFのお話に入っていけるようになったのはとてもありがたいなと感じました。

他にも、キャラの仕草や原作にないシーンなど、細やかな演出に目を見張りました。

たとえば桜がリボンを触る何気ない仕草。

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これは原作知ってると「ああ〜〜〜そのリボン………」ってなるし、知らない人も「なんでリボン触るんだろう」っていい感じに気になりますよね。地の文にはなかったんですが、桜の癖として上手い演出だなって思います。

あとアルバム。

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最初は切嗣と藤ねえ、そして慎二、そして桜。士郎の周りにいる人が移り変わっていく様。ここは慎二の描写的にも外せないので後で改めて言及します。

また、UBWの時との背景美術や光の感じの違いも印象的でした。特に日常シーンでは、UBWに比べると衛宮邸がリアルで寂しげな雰囲気なんですよね。

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他にも日常の中での演出として特に印象的だったのは、士郎の帰宅シーン。

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一度目はあかりの灯らない暗い玄関、漂う冷ややかな空気。切嗣がいなくなって、藤ねえも自分より帰りが遅いから、自分が帰ってきても誰もいない。

桜と出会う前の士郎の孤独が、とてもよく伝わってきました。原作の地の文で、知ってはいたけどこうして映像にされると、心に来るものがあります。

それが二度目は違ったものになる。

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暗かった玄関には明かりが灯っていて、自分より先に帰り、出迎えてくれる人がいる。明るい居間、暖かな空気。

桜が手伝いに来ることによって、孤独だった日々が少しずつ暖かなものに変わっていく様子が伝わってきます。

この帰宅のシーンのおかげで、士郎にとっての桜がどんな存在かがとてもわかりやすく示されていたと思います。

同じアングルでシーンを繰り返して少しずつ変えている。ベタな手法ではありますが、短い尺で変化を示すには効果的ですよね。他にも、桜のたたんだシャツとか。

士郎の歪み、見えない火傷
日常の終わりを迎えて

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そしておだやかな日常パートも、いずれ終わりを迎えます。暖かな日常は炎の色に舐め取られ、時間を現在に引き戻す。

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土蔵でストーブの修理をしていた士郎。上手くいかずに思わず寝そべり、居間から響いてくる桜と藤ねえの何気ないやりとりに頬を緩ませる。

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しかし、そこで士郎の脳裏を過る、あの赤い記憶。

この演出、本当にやられました。士郎と桜の幸せな日常と、士郎の抱えた歪みの対比を非常に上手く表現している構成だと感じました。

士郎にとっては、穏やかな日常は夢で、それは自分が享受してはいけないモノ。そしてこの記憶は夢の終わり。行き止まり。

「お前だけが幸せになるなんて許さない」
「お前の罪を忘れるな」
「生き残った意味を思い出せ」

あの火災でただ1人生き残った己に対する罪悪感が手を伸ばして引き止める。

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「ああ、またか」

この台詞の、腹の底から冷えるような静かな声。いつも、ぞっとしてしまうんです。平坦だけど決して棒じゃなくて。例えるなら空虚、なのにあまりに内側に押し込めたものが多すぎる。あの一言に、士郎の歪みがめいっぱい詰まってる。

穏やかな日常に没入していればいるほど「さあ、現実が始まるぞ。目覚める時だ」と引き戻してくるような力がある声な気がします。

杉山さんはこれを、どんな感情で読んだんだろう……と思ってしまいます。

士郎自身は辛かった記憶を乗り越えていると思っていますが、その実は、しまい込んで、飲み込んで生きているだけ。そして、生き残った事を罪だと断じ、生き残ったからには何かを為さねばと強迫観念を抱いている。

炎の中で救いを求める人を見捨てると同時に、己の心の中身も失くしてしまったから、救われるときに夢見た理想を空っぽの心に詰め込んで、目に映るすべての人を助けたいと、そうあらなくてはと思っている。

しかし、心に深い傷を負った人間にとって、穏やかな日常はそれを癒す救いであり、舐め取る炎の夢は、絶望の象徴のはず。

であれば、もっと悲観的であってもいいはずなのに、もっと苦しそうでもいいはずなのに。士郎においてはそうならない。

士郎はそういった火傷の痛みを、全て心の奥底、あるいは裏側に押し込めて、さもそれが当たり前のように受け入れている。懐かしいとさえ思っているようにも見える。

自らへの救いを享受できず、幸せを感じられない。人間らしく振舞っている、日常を楽しく過ごすフリをしている機械のようなもの。

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その後、桜に起こされ目覚める士郎。しかし桜に起こされたことを差し引いても、このとき見ていた夢を想うと、このあまりに穏やかすぎる表情は、また違ったものに見えてくるのではと思います。あの夢を見たあと、こんな風に起きられるのかと。

穏やかな日常を遮る炎とあの一言で、士郎の歪みをこれでもかというくらいに表現していて、私はもうそれがあまりにしんどすぎて、死ぬかと思いました(言葉にするのを諦めた)。

ダイレクトに伝わる
共感すらできてしまう慎二の感情

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慎二の描写は原作ともこれまでのアニメシリーズのどれとも違っていました。一挙一動にフォーカスされてて、慎二が士郎への感情を拗らせていく過程がよくわかりました。

特に士郎に道場の片付けを押し付けるシーンなんかは慎二の表情から怒りや虚しさが見えて、良改変だと思いました。慎二の劣等感や士郎に対する執着が、非常にダイレクトに伝わってくる。

先にも書きましたが、例のアルバムのシーンに映る慎二の表情はピュアなんですよね。あんなに士郎の一挙一動に苛立ってた奴が、こいつこんな顔するの?え、実はこいつ、士郎のこと好きなの?みたいな。

中学時代、士郎と仲が良かったということが示されることで、慎二の背景と感情がよりわかりやすくなっています。

慎二は一見ただのクズに見えるけど、実際はただ人間らしいだけ。士郎視点から描かれるから気付きにくいだけで「異常なのは士郎、慎二の方が普通」。

決して、最初からクズだったわけではないんです。士郎と友達になったきっかけも、他人のトラブルに首を突っ込んで厄介ごとを押し付けられた士郎を気にかけたからだし。

魔術だって、素養(魔術回路)がないだけで、実は誰よりも勉強してるし、知識はかなりあるんです。

慎二に関しては、中の人のキャラ理解もすごい。慎二役の神谷さんは、舞台挨拶で慎二について非常に熱く語り「作品理解はFateファンにはかなわないけど、慎二については俺が一番理解している」とおっしゃっていました。あまりに熱く語るので時間が押したのを今でも覚えています。笑

私も神谷さんの慎二の演技は非常に熱を持って演じられているなあと感じられて好きです。ライダーをやられて臓硯に怯えるところの悲鳴なんか最高ですね…。(悪い顔)

慎二の士郎や桜への感情や魔術に対する気持ちは今後かなり重要になってきます。特に2章以降はがっつり描写されるそうなので、大変期待しています。

余談ですが、スピンオフ漫画「衛宮さんちの今日のごはん」の21話(3巻収録)は中学時代の慎二のエピソードです。HF1章で慎二沼に落ちた諸氏はぜひ読んでほしい。原作既読組にはしんどいし未プレイの方にも慎二の補完としてオススメ。

ここまで、メインの三人に関することをがっつり語りましたが、他にも須藤監督とufotableありがとうポイントはたくさんあります。

パーフェクト「衝撃の麻婆」

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まあ言うまでもないですよね。

あのシーンを、シリアスの中から浮きすぎないレベルでほどよくギャグに、しかし重要な情報が開示されるシーンとして描いてくれた。最高のバランスです。パーフェクト。花丸あげちゃう。

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あと後ろ姿だけだけど魃さんかわいい。ブックレットかパンフに設定画載ってた。かわいい。あれで代行者とか聖堂教会はどうかしてる。強そう。流石にあのシーンの為だけにゆかりんを呼ぶにはゆかりんがビッグネームになりすぎたよな。(魃さんはCV田村ゆかり)

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あまりにも嫌そうな士郎の表情とかも最高です。この泰山の麻婆に対する苦手意識はもちろん、セイバーには無理矢理にでもご飯を食べさせようとした士郎が「一緒に飯を食うなんて死んでもごめんだ」と言うほど、言峰に対しては苦手意識を持っているんですよ。

他にも汗を掻く言峰というレアな描写とか、そのカソックってジッパーだったの?みたいな新発見とか。(カソックは本来33個のボタンがついています)

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パンフの一問一答で「言峰はいつも麻婆食べてるんですか?」って質問した人に1000兆円あげたい。おかげで「言峰は普段は教会で粗食を心がけています。麻婆はたまに衝動的に食べたくなるだけ」という神(原作者)のお言葉を頂くことができた。

私生活が限りなく謎だった言峰ですが、普段、教会で粗食を心がける、人間らしい生活をしているとのことで、料理とかもするんですかね。ヤバイです。性根は破綻者なのに、表向きどこまでも道徳的というか敬虔であろうとするところ、本当に好き。萌えすぎて死ぬ。ありがとう(消滅)

(口調がおかしいのは言峰綺礼が好きすぎるためです)

ライダーさんが理想的

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まずライダーさんが、セイバーと戦うシーンで、血を吸った相手である綾子を「そっ」と壁にもたれさせるんですよね。

UBWだとよくわかんないまま退場したし、人間の血吸うし、怖い女の人かな?と思いきや「え?実はいい奴なの??」と思わせるこの仕草。

正直ライダーさんの内面を知ってる身としては「ライダーさんならそうするよね……わかる……すき……」。最高です。

あのシーン、原作では公園なんですが、開けたところよりもああいう路地裏の方が、ライダーさんの戦いやすい場所だろうということで変更になったそうです。それを聞いてさらに「ありがとう」となりました。

あと、最後に士郎を助けに来たときの本気ライダーさんの闘い方が、速度で翻弄するのもそうなんですけど、個人的には「短剣で真アサシンを突き刺してぶん回して投げる」という戦い方が、ライダーさんのちょっと大雑把な性格が出てて好きなんですよ。

確か原作の地の文でそういう戦い方だった記憶がある。あのシーンめっちゃ好きなんで映像で見られて大変満足でした。

ランサー盛られすぎ問題

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ランサーvs真アサシン、めっちゃ尺が長い。
予告映像で積車の上で戦ってる時点で覚悟はしてましたが、予想以上のボリュームにびっくりしました。

実際、ランサーは原作だとすごくあっけなくやられちゃうんですよ。でもそれがものすごく派手に盛られててほんとびっくりした。

ufotableのランサーものすごく筋肉質なので、初見の時は、興奮と萌えと笑いと戸惑いで過呼吸になり吐くかと思いました。隣の人には迷惑をかけてしまったかも。特典ポストカード交換してくれたのにすみません。

そして公開後しばらく、この盛られすぎランサー戦の「ファンサービス」以外の意図がわからず「供給ありがとうございます(半ギレ」「いやでも、高潔なサーヴァントがあっさり死ぬのがHFの醍醐味なのに、なんでこんなに盛ったの?」という、キャラ萌えと原作厨の間で葛藤する日々が続きました。

しかし、何度も観るうちに、120分の映像の山場としてはこれくらいのボリュームがちょうどいいと感じるようになりました。第一章は、全体的に平坦なので、日常パートとのバランスが取れてる。それも込みでのあの盛りっぷりだったのかなあと納得するようになりました。

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まあ、今でも直立着地とランナーだけは笑うけど。

ちょっと気になったところ

一応、気になったところについても書いておきます。

非常に些細なところなんですけど、まず臓硯ですかね。慎二の前から立ち去るときに既に蟲の姿を現している。原作だとこの時点ではまだ善良なおじいちゃん面だった気がするんですけど。

「あくまで最初は桜のおじいちゃん」感がもうちょい欲しかったなあと。

OPで蟲蔵も出るし、Zeroでも臓硯が出てくるから、そこのミスリードはもはや必要ないのかもしれない。多くの蟲が霧散するように立ち去ったり、蟲の群れから現れたりする演出は、確かに不気味で臓硯らしいんだけど。

ぱっと見はふつうの爺さんだけど中身はおぞましいものが詰まっている、みたいなギャップが臓硯の魅力だと思っていたので、「何故他人の肉体で命を繋がなければいけないのか」という部分が伝わりにくいように感じました。

あと尺がないので仕方ないのですが、真アサシン絡みがもうちょいほしかった。

何で突然流暢になったのかはまあ、知っていればランサーの心臓を食べたことによる自己改造からだとわかるんですが、初見の人は気付かない人もいたのでは?

また、最後の路地裏での臓硯との会話とか、二人の願いの共通点がもう少しわかりやすいとよかったなと。二章で掘り下げられるんですかね?

あとイリヤ関連は二章でやるらしいので割愛します。ぴーひょろろーのリズ可愛いです。

あと、尺が足りず泣く泣くカットしたシーンはたくさんあるそうです。

アメリカの映画は200分とか平気であるのに、なんで日本のアニメ映画は120分なんですかね???劇場の都合ということもあるんでしょうけど、なんとかなりませんかねアニプレさん……?

正直、この重厚で圧のすごい映画をもっと見ていたかったです。

最終章までやったら、ディレクターズカット版としてカットした部分も入れた完全版ボックスが欲しいです。ゆーふぉならやってくれると信じてる。

以上が第一章の感想になります。
この先は、近日公開の二章に関して触れておきます。

二章以降に期待するもの

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さて、もう間もなく第二章ですが、原作だと大体この辺までやるのかな、という予想はついています。しかし、どうやらアニオリもあるらしく、またやばいものが来そうな予感がものすごいです。

とりあえず期待しかないのですが、特に期待するのは事前に二章に回されると話されていたイリヤの掘り下げですね。

あと、PC版準拠の空気感と展開。エロだけでなく慎二と桜の関係なども。

私自身は全年齢版しかプレイしたことありませんが、HFだけは吸血描写に違和感があり、物足りないと感じたので、HFだけでもPC版をプレイしたかったんですよね。でもうちには環境がないので諦めていました。

劇場版ではPC版の雰囲気を極力再現しようという試みが行われているように感じます。一章でもイリヤの「首を刎ねてから犯しなさい」や慎二の「まだヤり足りないから手離したくないのか」など、PC版のセリフが取り入れられていますし。

よって二章以降も、PC版にできるだけ準拠した展開やセリフになってくれるのかなと……期待しています。PG12だしネ。

あと、他にも。ネタバレ配慮すると多くは語れませんが、アーチャーのアレとかね。セイバーオルタとか、バーサーカーのアレとか。

それと外せないのは凛。魔術師然とした凛がufotableの映像で描かれるのは初めてなので、凛の心理描写も期待しています。凛絡みに関してはほんと、原作プレイ時にだいぶ心を抉られたので、エモい展開が好きな人たち、ご期待ください。

「lost butterfly」の意味するところ

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ついでなので語りますが、二章サブタイトル「lost butterfly」の意味について。何が蝶で、何が堕ちる、あるいは失われるのか。

以前某所で「蝶は桜を意味してる」という解釈を読んだのですが、私はそうじゃないと思うんですよね。

何故かというと、桜は一章のサブタイで「花」だと示されていると私は解釈しているからです。

そして須藤監督は比喩表現をよく使いますが、比喩を使う人はモチーフをそう簡単にブレさせる事はしないんじゃないかと思うんです。

また、須藤監督は桜を「水中を漂うクラゲ」にたとえています。一章の「花の唄」ジャケットでも、水中で膝を抱えている桜が描かれています。

花やクラゲ…それらと桜に共通するのは「自ら動かない」と言ったニュアンス。

対して蝶は「自由に飛び回れる」。

つまり、花にとっての蝶=桜にとっての士郎だと思うのです。よって堕ちるものは、士郎。あるいはその理想。というニュアンスが込められていると思います。

花である桜は自ら動くことができない。
対して蝶は自由に飛べるもの。
花はいつも、蝶を見上げています。
花にとって蝶は次元が違うから羨んだりしない。そして、花にとって蝶は憧れで、美しいもの。

確かにlost、失われるという意味では、桜も二章で辛い目に遭いますが、どちらかといえば桜は………なので。

多分他にも色々な意味が込められているんだと思うんですが、先の展開を知っているだけの浅学な一オタクとしてはこの程度が精一杯です。

第二章公開まで、あと数日となりました。原作プレイ済みでも予想できない展開が数々ぶつけられると思うと今から楽しみです。おさらいしたりしつつ、死なない程度に生き延びたいです。

◆2/20追記
2章の感想、キャラ考察等はこちら。



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