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「日本人の精神の本流を取り戻せ!」〜『大國民讀本』を読む〜(1)


緒言「日本人の精神の本流を取り戻そう!」

人間は誰だって平和が好きです。平和は人々の最高の願いです。ところが世界の実情(じつじょう)は、争いと不安の中にあり、いつも動揺(どうよう)しています。世界は今、暗い雲に覆(おお)われたまま行き詰まっている状態(じょうたい)です。

これを取り払って、すべてを照らすのは、日本が神様から与えられた役割です。それをしなければ国を興(おこ)した意味がなく、日本という国の存在理由を否定することになります。

さて、最近の国民の意識(いしき)を見渡しますと、この世界的な使命(しめい)を忘れ、右や左に傾いていて、この先どういう方向に向かうのかよく分かりません。世の中がとても混乱しており、本当に不安になります。

せっかく義務教育を受けても、卒業してしまうと、熱心に努力し、正直で正義を尊(たっと)び、優しさと勇気を持って生きようとうとする心を段々(だんだん)失います。さらに上の学校に進むと、どうして親孝行(おやこうこう)しなければならないのか分からなくなり、自分だけよければいい、自分だけ儲(もう)かったらいいというような、自分勝手な考えに陥(おちい)っていきます。そうして、世のため人のために生きようとする心が失われていきました。

また、政治に関心のある者は、誰かを激(はげ)しく攻撃(こうげき)する演説を聞いたり、厳(きび)しく批判(ひはん)する内容が書いてある雑誌を読んだりすると、すっかり気持ちが、そのほうへ動かされてしまいます。やがて何が善くて何が正しいかの判断(はんだん)がつかなくなり、世を惑(まど)わす悪人たちは、思うままに力を振るうようになります。

そういうときに大切なことは、一人ひとりが自分の考えを持つということですが、困ったことにみんな浮ついていて、心を磨き高めるための話は聞こうとしてくれません。それなのに、心に悩みを持たない人は、一人もいないくらい社会が病んでいます。

ある人は右を振り返り、またある人は左をながめ、キョロキョロするばかりで、どっしりとした信念(しんねん)というものがありません。本当に残念であり、堂々(どうどう)とした日本国民は、どこかへ消え去ったのでしょうか。その原因は、すべての国民に、立派な日本人になるための「精神の本流(ほんりゅう)」が流れていないことにあります。

これは、日本のあらゆる問題の根本であり、とても重大なことです。もしも、このまま放っておけば、私たちは日本建国(けんこく)の大きな使命に立つことはできません。いつの間にか他国の思う通りに操られ、日本の国も国民の生活も破壊(はかい)されることになるでしょう。

私はずっと、このことを心配してきました。熱い心で国を救う大思想家が一日も早く現れて、すべての国民を指導し、進む方向を決めて欲しいと念願(ねんがん)しています。それは、私一人の願いではないはずです。

しかし、誰かを頼りにしていたら、もう間に合わないところまで危機が迫っていることを強く感じました。それで、この本を出すことにしました。どうか、いろいろな人に読んで貰(もら)いたいと思います。

この本を読んだら、今まで分からなかった疑問(ぎもん)が解け、国民が進む大道(だいどう)が見つかり、世の中が正される。日本国の使命に向かって、国民が誇りと品格(ひんかく)を取り戻せるようになる。そう願って、心を込めて書きました。

ただし、その願いを一冊の本にまとめることは簡単ではありません。本書がそのための入門書となって、信念を持って奮闘する立派な日本人が、一人でも多く育つことを希望しています。もっと詳しく学びたい人は、自分で調べて下さるようお願いします。

昭和2年1月25日    著者 林平馬

林平馬著『大國民讀本』の復刻版

▼『大國民読本』を読む 〜はじめに〜

上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。

「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。

ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。

戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。

昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。

親子一緒に学んでいただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。

意訳者 林英臣

『大國民読本』を読む 〜はじめに〜 より(一部追記)
林英臣

📕戦前の日本が良くわかる本 『大國民讀本』

昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。

林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。

これからnoteで紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。https://hayashi-hideomi.com/books

戦前の日本がよく分かる本 林平馬著『大國民讀本』を読む

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