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「大人」になるためには...

先週の地元紙に、内田樹さんが『非婚化・少子化』について論説を書いていました。

内田樹さんのことは著書を読んだことがあるので知っていましたが、『子どもが必要だ』というその記事の見出しを見て、「ああ、この人まで政治家のような主張をするのか」とはじめは思いました。

しかし読み進めるとどうも予想とは違う。

私たちが「大人」になるために、『子どもが必要だ』という。
詳しく見ていく。

よく「非婚化」や「少子化」に危機感を感じさせるような言動をする人たちは、「年金制度の維持」や「資本主義の延命」を目論んでいる人たちである。

ゆえに若い人たちは、
「そんなセコい世の中に自分の子どもを送り出したくない」
「なぜにそんな人たちに子どもを作れと言われにゃならんのか」
と考える。

その結果、未婚化・少子化が進んでいるというのだ。

ただ、私たちの集団を途絶えさせないためには、私たちが、「人の道」をわきまえ、情理に通じた本当の意味での「大人」になることが必要である、という。

その真の「大人」になるために必要なのが「子育て」なのだ。

人は「子育て」を通じて、他者と家族を形成する困難さと喜びを感じることができ、内田自身もその経験をしたという。

未熟な親として、大人として子育てに取り組み、家族を自分の手で作る試行錯誤の結果、成熟した「大人」になれるというのだ。

だから『子どもが必要だ』という主張になる。

なるほど、そういうことだったのか。

ちなみに、金銭的理由で子どもが作れない問題について内田は、医療・教育の無償化など子育て支援を拡充する意見に賛成した上で、今回、思想の面からアプローチしている。

個人主義の台頭が要因だと僕は考えていたが、これは新しい視点だと思った。

これからの世代が子どもを望むのか望まないのかを心配するよりも、まず子育て支援を充実させることの方に気持ちを傾けるべきなのかもしれない。





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