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ショート・ショート・ショート② _〆 (゜゜〃)

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ショートショートショート①の、おかわり②。 100文字程度のショートショートを気の向くままに載せていきます。
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記事一覧

(ショート・ショート・ショート)

セラピーは君だけだ。この病気の治療法は何だったか。君の髪、君の手、君の唇、君の心、どれもが恋しいこの病気はいつの間にか俺の一部となっている。ああ、早く、早く、君は俺のセラピーだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

君の幸せを知りたい。君のことが好きだから、その心に幸せを持っていて欲しい。私と一緒に、だなんて贅沢なことは言わない。でも、でも、勝手に期待しちゃうのは私の心の幸せ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

寒い、外気が冷たい、心も寒い。手はかじかみ、歯が音を立て、鳥肌が立っている。その時、ふいに暖かい風を感じた。脚を向けると、そこには過去に捨ててきた大切な存在が僕を見守ってくれていた。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

俺には守りたい、いや守るべき家族がいる。妻とも娘ともあまり会話をしなくなったが、俺は一家の大黒柱だ。家に帰ればニコニコする。仕事先でどんな事があろうとも、家には絶対に持ち帰らない。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

僕にだって感情はある。もう諦めて表に出さないだけ。だけど、ねえ、大声ってどうしたら出るんだっけ。だって、本当はね、この錆びついた扉の鍵をムリヤリにでもこじ開けてみたいんだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

手を伸ばすと、消えてしまう。そんな光景を何度も何度も夢に見た。過去に一度だけ、それに触れたことがある。それは不敵に笑いながら、するりと僕の指を通り過ぎていった。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

あの頃のアタシはそんなものに興味がなくて、ただガムシャラに遊んでいた。あの頃捨ててきた、大切な時間。ばかなアタシは当時切り捨てたそんなものが愛しくて、そっと拾う。遅くなって、ごめんね。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

おとーしゃんはすごい。ぼくよりずっとおっきくて、つよくて、なんでもしってて、かっこいい。だけど、ぼくにはいっこだけ、おとーしゃんにまけないものがある。おかーしゃんは、ぼくのものだ!!

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

知ってるかしら、あなたが落とした服を私が拾って洗ってること。知ってる、私が寝坊した朝はカップスープを淹れてくれる優しさ。喧嘩なんて日常茶飯事。だけど、だけどね、あなたは私の好きな人。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

嘘をつくのに慣れてしまった。自分だけじゃない、周りだってそうだ。ある時彼女は、適当に、無難に、平和に事を運ぶ自分を叱った。まるで美しい花が舞うように、僕の世界にヒーローが現れたんだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

私は扁平足だ。長い時間歩くと足の裏が疲れるし、靴の踵は斜めにすり減る。それでも私は散歩が大好き。さて、今日も2つも前の駅で降りてしまったのはおそらく、わざとだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

ふと、水槽のテトラと目が合う。小さなテトラは何食わぬ顔で泳いでいる。羨ましいとさえ思える呑気なテトラが僕の指を避けた。もしもこの水槽を出たら、テトラはどれだけ大きな世界を知るのかな。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

部屋の白い壁に、双葉が生えてきた。それは次第に蔓を伸ばしてくる。気味が悪くて抜いてしまおうかとも思ったが、思いとどまる。壁に飾っている俺の絵を大切そうに抱いているように見えたのだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート

(ショート・ショート・ショート)

若い頃の僕には変わった特技があった。もう昔の事で、今の僕にその術はない。懐かしい記憶は僕をあの頃へ連れ戻す。歳をとるにつれ失くしてしまったその力が恋しくて恋しくてたまらないんだ。

_〆 (゜゜〃) #小説 #ショートショートショート