夜更かしの哲学

夜更かしの哲学

わるい夢

男の子は、いつもより少し早く寝床に入りました。明日の学校に備えるためです。男の子は電気を消して、目を閉じました。

夢の中で、男の子は寝ていました。目を閉じていると、足あとが聞こえます。「真夜中で、みんな寝ているはずなのに」。男の子は不思議に思いました。

ぎゅっと瞼を閉じていると、消したはずの電気がちかちかと光っていることがわかりました。巨大な何かが、男の子が寝ている布団の前を横切っていきます。男の子は、怖くて怖くて布団の中で震えていました。

「お母さん、こわいよう」男の子は気がつくと、お母さんの部屋に入って立っていました。「もう、こわくないからね」お母さんは、男の子の頭を優しく撫でました。

夢から醒めました。意識がはっきりしてくると、お母さんは目の前から消え、男の子は、大人になった自分に気がつくのでした。




こない電車

あるとき、男の子は電車に乗っていました。進んでいるのとは反対の向きに座って過ぎ去る景色を眺めています。男の子はさっき駅のホームで別れた女の子のことを考えていました。街は、どんどん男の子から遠ざかっていきます。

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