hayato katagiri

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夜更かしの哲学

わるい夢 男の子は、いつもより少し早く寝床に入りました。明日の学校に備えるためです。男の子は電気を消して、目を閉じました。 夢の中で、男の子は寝ていました。目を閉じていると、足あとが聞こえます。「真夜中で、みんな寝ているはずなのに」。男の子は不思議に思いました。 ぎゅっと瞼を閉じていると、消したはずの電気がちかちかと光っていることがわかりました。巨大な何かが、男の子が寝ている布団の前を横切っていきます。男の子は、怖くて怖くて布団の中で震えていました。 「お母さん、こわ

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    • クソライフ

      鬱屈としたクソライフ 今飲んでいるのはアップルジュース 昼食代ケチったせいで まだ腹が減っている 久々のSUBWAY ドリンクを断るのに気が引けて 飲みたくもないコーヒーをつけたから 安くもない 空腹にカフェイン気持ち悪い 街を歩いてみる 清潔な街 小綺麗な週末の人々 自分だけが似つかわしくない 夢もないければ希望もない やる気ない クソライフ クソみたいな自分 うまくやれる気がしない 生きる意味も感じない いっそあてつけで死んでやろうか

      • 「年寄りの家」から「いきいきセンター」に変わった話

        家の最寄り駅に、白地に黒い字でデカデカと「年寄りの家」と書かれた看板が立っていた。あまりにそのままな表現なので、私はその看板をとても気に入っており、毎日通学するたびに見ていた。 ところがあるとき「年寄りの家」と書かれた看板は、同じデザインのまま「いきいきセンター」になっていた。古臭い「年寄りの家」から今風の「いきいきセンター」へと名前が変わっていたのである。おそらく気にする人はほとんどいなかっただろう。 たったこれだけのことだったが、この出来事は私の心に深く残った。という

        • Late Night Philosophy

          Originally Written by Hayato Katagiri (2015) English Translated by Christopher Browne Bad DreamsThe boy went to bed a little earlier than usual. It was preparation for school the next day. The boy turned off the lights and closed his eye

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        • エッセイ集
          1本
        • 窓ぎわのひかり
          3本

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          さなぎ

          「おねえちゃん、いつになったら会えるのかな」  夕飯の席で下の娘がふと、思い出したようにそう呟いた。会社から帰ってきて、席に着いた夫はその言葉に小さくため息をついた。娘の一言は、夫の何か、溜め込んでいる深い部分を刺激したに違いない。白髪の混じり始めた、寡黙な夫は、溜め込んだそれを娘の前で顔に出さないように気をつけているらしかった。私だって、毎朝毎晩そのことを考えている。そのことばかり考えすぎて、居間でテレビを見ていても落ち着かない。洗濯機を回していても、料理を作っていても、

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