留学日記『ミッテランさんありがとう!』編

今年の4月か5月くらいに、『東大世界史の良問20題で今の世界が分かる』みたいなタイトルの本を読んだ。

Le nationalisme, c'est la guerre.

そこに出てきたこの一節。

元フランス大統領、フランソワ・ミッテランが、1995年1月17日にストラスブール会議場で、EU議長国の長としてその目標を発表した演説の中で使ったフレーズ。

「主権国家、それこそが戦争だ。」

最初はピンとこなかった。
単体の主権国家と、複数体の間で起こる戦争、これがイコールで結ばれるはずがない。

でもこの演説が、フランス大統領によるEU議会でのものということを踏まえて合点がいった。

なんだろう、こういう政治家とかの発言や、歴史上の人物の格言は意味が分からんものが多いのに、初めてすごい納得できた気がして鳥肌が立った。

主権国家は領土を持つ。領土を持つということは境界線が必要になる。また、そこに必ず他者の存在を意識する。主権国家体制を引く限り、他者との対立は避けられないのだ。国際秩序を保つための体制が、実は最も国際秩序を脅かしているものの根源だったとは。

だからこそミッテランは、欧州各国の主権を制限して共同体を成すEUの議会の場で、主権国家体制を批判し、EUを正当化する意味を込めてこの言葉を使ったんだ!と。

話は変わるけど、UCLAでの交換留学生活が始まって早5日目。

いろんなアイデンティティを持つ人と関わる中で、ミッテランの言葉がふと頭に思い浮かんだ。

LA全体のことは分からんけど、UCLA周辺のことで言えば、圧倒的にアフリカ系アメリカ人が多い、インド系、ヒスパニックと続いて、中国人やフィリピン人を中心としたアジア系。まさかの白人はそれと同数かそれ以下っていう印象。日本人は今のところほぼ見てない。こんな感じでとにかくいろんな人がいる。

ルームメイト7人のうち、全員「アメリカ人」だけど、ルーツはイングランド、インド、モロッコ、韓国、などなど。

パンデミックあたりからアジア人差別が過激化しているニュースを見ていたのもあって、正直人種のことに関しては多少気にしていた部分があって、空港からUCLAまでの道中では特に周囲の目を気にしていた。

ところがどっこい、なんか全くそういう壁を感じない。
まだ5日目だし、差別意識の強い人は少数ってことを踏まえても、すごく予想外の感覚。

人種だけじゃなくて、言語の面でも。
LAでのぼくの英語力は間違いなく最低レベルなので、誰と話すときでも絶対に聴き取れない、喋れない、ついていけない、がある。
でもそれを感覚的になのか、経験からなのか、すごく上手に理解して、こっちが全く不安にならないように合わせてくれる。

あとあと、良いのか悪いのか、大阪で独り暮らしをしている感覚とほぼ変わらない。
文明の発展のおかげですごい時代に留学しとるんだと思うけど、日本の情報も絶対手に入るし、日本食も食べれるし、日本の友達や家族と連絡も取れるし。
甘えすぎ、英語力伸びんやん、せっかくの留学期間なのに、とかそういうことは別として、良い意味でも悪い意味でもアメリカはすごく身近な存在になっていると思う。

気づけば世界は恐ろしくボーダーレスで、海外ってよりお隣さんって感じで、地球上のどこにおっても変わらずただそこに人間がおるだけ(なんかちょっと意味わからんけど)、っていう状況なのに。

Le nationalisme, c'est la guerre.

戦争含め国同士の対立を生むような大きい問題って、もちろんいろんな理由があるし、そこには人種とか言葉とか極めて文化的な側面も含まれると思うけど、大体のことって、
Le nationalisme, c'est la guerre.で説明されちゃうんじゃないかな、と。すごい政治的な、国家レベルの側面が大きいな、と。改めて思った。

ほっとけばこんなにフラットなのに、主権国家体制がそこにボーダーを引いてしまったことでみんな喧嘩し始めたんだなーって。
ミッテラン凄いな良く気づいたな。当たり前のことみたいだけど、たぶんものすごい盲点なんだろうなー。

主権国家体制を批判したいわけではない!少なくとも自分の浅はかな知識では無理!
それがなかった時代でも戦争はあったし。有か無かって話ではない。

けどなんかもったいないな。

だけこそ!無理やりつなげた感あるけど!
やっぱり歴史を学んで現代の国際政治を考えたいと!決意を新たにしました。

いつかこの、
え、なんか全然壁無いんだけど!
海外って海外ってよりお隣さんだった!
外国の人って外国の人ってよりただの人間かも!
っていう我々現代人の感覚が、「主権国家」を代表する皆さんにも伝わるようなことがしたいなとも思いました。


UCLAでの交換留学生活が始まって早5日目。

なんだか大きなことになってしまったけど、まだ5日目!まだ帰りません!

別にこれといった出来事があったわけでもないし、たった5日間を仰々しくnoteにまとめるのもどうかとは思う。

でも5日間でこれだけのことを感じるくらいの経験と成長はしてる!

人生を変えるとまではいかずとも、確実に将来の自分の糧になるような1分1秒を、ここで過ごしているような気がする!

てことで暇があるときに感じたことは綴っておくことにする。

その第一弾でした。

2022.9.20
留学日記『ミッテランさんありがとう!』編


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