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ミュージカル「ファントム」感想

 ミュージカル「ファントム」を観てめちゃくちゃ面白かったし配信間に合って興味あったら観て~!の感想です。今ギリギリで書いてる。間に合うか!?

観たやつ

 私が観たのは国際フォーラムCの3階席で2023年9月7日の木曜、昼と夜両方を一日で観てきました。そう、Wキャストの両方を観てきました!いやーこの観劇方法最高だった。即比較できる。最高。場所も良いし!あまりによかったので配信を買う予定です。興味持った人は配信買え~!

とりあえずライブ配信用のリンクつなげておきます。

ちなみにアーカイブはないのでリアルタイムで観なきゃいけません!
そこはアーカイブも許してよ……なんでそんな意地悪するの……。


ファントムってオペラ座の怪人とどう違うの?

 今回の「ファントム」は小説「オペラ座の怪人」が元になったミュージカルです。そうするとミュージカル「オペラ座の怪人」とはどう違うんだ?となるかと思うんですが、脚本・曲がかなり違います。そもそもミュージカル「オペラ座の怪人」も「ファントム」もどっちも古くからのタイトルらしい。
 雑にまとめると、ミュージカル「オペラ座の怪人」も「ファントム」も同時期に制作されていたけれど先発で「オペラ座の怪人」が発表されてしまい、同じテーマを取り扱ってしまったため「ファントム」側のスポンサーが離れ立ち行かなくなり、その後時期を観て脚本等を売って「ファントム」が演じられるようになってきた、という流れのようです(wiki知識)

小説の「オペラ座の怪人」を読んだことがないのでどちらが設定に忠実なのかは私にはわかりませんが、劇団四季版と映画版のオペラ座の怪人と今回のミュージカルを比較すると大きな違いがあります。それは「ファントムのキャラクター性を深堀りするか否か」! というかファントムの設定を深堀りするにあたって設定がちょいちょい変わってます。そうなるとファントムがクリスティーヌに執着する理由も、オペラ座に居座った理由も、クリスティーヌへのアプローチ手法も、かなり変わってきてるのです。あ、もちろん使ってる楽曲も違います。
個人的には今回の「ファントム」の方が好きでした。ファントム、ちゃんと同情できる存在だったんだ……。


テーマは恐らく「親子愛」

 ファントムの脚本自体がそうなのかはわかりませんが、本作を観てこの作品のテーマは「親子愛」なんだなと感じました。母と子もあり、父と子もあり。すごく好きなテーマだったな。


ストーリー

 公式にストーリーが掲載されていたので引用します。

19世紀後半のパリ。
オペラ座の地下深く、醜い顔を仮面で隠し、闇の中で生きている青年エリック。彼は、その姿を目撃した劇場の人々から怪人「ファントム」と呼ばれ、恐れられていた。

歌手を夢見る楽譜売りのクリスティーヌは、オペラ座のパトロンの一人であるシャンドン伯爵に歌を認められ、オペラ座で歌のレッスンが受けられるよう、支配人のキャリエールを紹介してもらう幸運に恵まれる。

だが、クリスティーヌがオペラ座を訪れると、キャリエールはすでに解任。新支配人のショレが、妻のカルロッタをプリマドンナに迎え入れ、権勢を振るおうとしていた。

そんなショレにキャリエールは、ファントムがいる地下には近づかないよう忠告するが、ショレは一顧だにしない。そして、訪ねてきたクリスティーヌの若さとかわいらしさに嫉妬したカルロッタは、彼女を自分の衣裳係にしてしまう。

そして偶然、クリスティーヌの清らかな歌声を聴いたファントムは、ただ一人彼に深い愛情を寄せた亡き母を思い起こし、秘かに彼女に歌のレッスンをするように。ファントムの勧めに従い、コンテストで歌声を披露したクリスティーヌは実力を認められ、『妖精の女王』のタイターニア役に抜擢される。

シャンドン伯爵はクリスティーヌを祝福し、彼女への思いを告白する。そんな二人を絶望的な思いで見送るファントム。

ところが『妖精の女王』の公演初日、クリスティーヌはカルロッタの陰謀で声が出なくなってしまう。ファントムは失意のクリスティーヌを、自分の住処であるオペラ座の地下へ連れていく。

しかし、それがやがて彼を悲劇の結末へと向かわせることになる――。

STORY

オペラ座の怪人を知ってる人はこれを見るだけで違うことがわかるかと思います。



本作は再演作品

 初演は2019年版があり、本作は再演になります。私は初演を観てないので詳細はわかりませんが、初演を観ていた友人いわく、再演の方がキャラ解釈が深まって面白くなったとのこと!これはぜひ!見た方が良い!!


本作はWキャストが多い

 主役ファントム(エリック)とシャンドン伯爵(ヒロインの恋人役)、悪役ポジションのカルロッタがWキャストになってます。途中出てくる少年エリック役は今サイトを見たらトリプルキャストだったらしい。すご!
こんな感じでキャストが複数いるので、キャラ解釈が魅力的です。どれも外れなし!
本来はクリスティーヌ(ヒロイン)もWキャストだったらしいですが、公演前に体調不良でダウンしてしまい、Wキャストだったものをすべて一人の役者が演じています。咽喉が強すぎる。すごすぎ。

ファントム(エリック)の違い

 どのオペラ座の怪人を見ても同情なんて一切しないし「ただの歌うまいストーカーおじさんだな」としか思えなかった私が今作では同情したし泣きまくった。加藤和樹エリック(以下加藤エリック)と城田優エリック(以下城田エリック)でもやはり差がありました。

 加藤エリックは成人した男性で引きこもり陰キャオタク感溢れてた。クリスティーヌに接する時がオタク感出てたんですよね。面白かったし、どもりがうますぎるし、陰キャの再現がすごいし、本当に良いキャラでした。母親への愛を求めてクリスティーヌの歌声に惹かれるのですが、その恋もたしかに母親への思いは下地にありつつも、オタクくん、恋しちゃったんだね……っていう印象。

 城田エリックは体だけ成長した子供でした。加藤エリックと同じくどもるし、暗いのですが、クリスティーヌ以外への接し方がものすごくクソガキ感溢れてた。城田エリックは母親を追い求めてクリスティーヌを追い求め、恋焦がれている感情もクリスティーヌ自身に恋してると言うより「母親を取られたくない」という気持ちを感じました。
この「体だけ成長した子供」感が強いのが歌声なんです。歌がうまいのは当然として、成人男性の歌声すぎて逆に普段のセリフが違和感がある。でも演技はなんか違う。……あこれ意図的!?と気づいてこう解釈できたのがすごくよかったです。っかぁ~!おもしれえ!

どう!?全然違くない!?これが~~Wキャストの面白さ!!

シャンドン伯爵の違い

 オペラ座の怪人では幼馴染役の伯爵ですが、ファントムでは偶然クリスティーヌの才能に気づいてスカウトしただけの人です。そこから恋人になる。このキャラもキャストで印象が異なっていて結構面白かったのですが、大野拓朗伯爵(以下大野伯爵)と城田優伯爵(以下城田伯爵)で演じています。おっまえ城田優!?ナンデ!?友人曰く、キャストが足りずにご本人がやるか~って感じだったらしい。ええ……?(困惑)

 私は最初、加藤エリックと城田伯爵の時に見たのですが、城田伯爵の王子!イケメン感がすごい!でも色々な女の子に手を出してそうな王子の印象ありました。クリスティーヌに対して「一目ぼれだったんだ。本当だよ?」と言うシーンがあるのですが、「それどの女の子にも言ってきたんだろうな……」と思ってしまった。なんか軽薄な印象がある王子だったんだよな~!でもかっこいい!

 城田エリックの場合は大野伯爵になるのですが(当然ですが)、大野伯爵の時の誠実感。女の子に囲まれてるけど仕事なんだろうなと思うし、前述した「一目ぼれ」発言も、本当にそうなんだろうなと信じてしまう感じ。誠実さが溢れていました。優しそうで純朴なやり手のパトロンって感じ。ここでもこんな違うんだ……。


キャラクターが個性的

 悪役であるカルロッタはとても面白いキャラクターですし、その夫のアラン・ショレはただ妻が大好きなだけの人ですし、ファントムのキャラ解釈もオペラ座の怪人の中で観たことがない解釈ですし、ゲラール・キャリエールに関してはいろいろ思うこともありつつも良いキャラでしたし、キャラクターがすごく好きでした!もちろん、可愛いクリスティーヌも大好き!



みんな歌うまい

 やっぱミュージカルってねえ!歌うまくないとねえ!ここで歌ってる人たちは本当に歌がうまいので聞いてて満足感があります。演技うまいし!歌うまいし!最高だな!
歌下手で許すのはキャラ解釈でそのキャラが歌下手な場合なんだよな。作中に歌下手キャラがいますが、ひょうきんな歌い方をすることで歌下手を表していました。いやでも歌うまいんだよな。


演出が面白い

 最初のワンシーン観た時の正直な感想が「ディズニープリンセスじゃん!」だったんですけど、可愛くて純粋で周囲に好かれてて歌がうまい女の子が、ファンタジックでカラフルな街中でみんなと一緒に歌うのがめちゃくちゃ可愛かったんですよ~~。オペラ座の怪人モチーフの時って結構シックな色合いにすることが多いので、かなり驚きました。今思い返しても可愛かったな~。

そう、なんか思い返すと面白い演出ってのが多かった。門のような縁取り背景に映像技術を使って表現したり、部屋の壁面だけ用意して小部屋を演出したり、ライティングも音嵌めしてたり、1つ1つは見たことがある演出なのですが、全部集めちゃうんだ~!?という驚き。面白さ。かなり好きな演出でした。どれどれ誰がやってるんだ……城田優(主役キャスト)かよ!!!!!多彩すぎない?






~~~~ネタバレするよ~~~~






二幕ストーリー

一幕のあらすじはすでに前述してある通りなので二幕ストーリーを自分なりに書いていきます。

クリスティーヌを地下に攫ったエリック。そんなエリックをゲラールは咎めるがエリックは反発し、二度と来るなと脅す。ゲラールは帰るフリをし、隙を見てクリスティーヌに自分がエリックの父親だとともに自身の過去を語り、逃がそうとする。
クリスティーヌはエリックの顔を見て理解を示そうとするが、エリックの素顔はやはり恐ろしくクリスティーヌは逃げ帰ってしまった。絶望したエリックもクリスティーヌを求めて地上へのぼろうとしたところ警官に囲まれ撃たれてしまう。
ゲラールはエリックをかばい、自身が父親だと告白。父と子の情を確かめあい、「最後の瞬間はあなたがとどめを刺してくれ」と願うエリック。そして一旦地下に戻ろうとするもクリスティーヌに出会い、警官にも出会い、追いつめられるエリック。ゲラールに「約束を果たしてくれ」と願い、約束通りにエリックを撃つゲラール。クリスティーヌはエリックの最後の瞬間を共にし、仮面を外し、キスを送った。


気になりポイント

結構多いので箇条書きにします。

  • お前がすべての元凶やないかい被害者面するんじゃねえゲラール

  • あれだけ「大丈夫怖くない」って言っときながらエリックの素顔を見て即逃げるクリスティーヌ

  • 父と親子の情を確かめ合って感動ポイントをこなしたすぐ後にクリスティーヌに出会うと直前の情緒を忘れて「僕のだぞ!」って大絶叫するエリック

  • エリックに対するクリスティーヌの感情

でもねえ~!こいつらクズだなとか切り捨てることができないんですよねえ~!

ゲラール

 すでに結婚していた身なのに情熱に任せてエリックの母親であるダンサーに手を出し子供ができても対処しない父親。でも母親が失踪したら即探すし、地下に閉じ込めてはいたけどちゃんと養育してるし、エリックが歌手としてうまくなったってことはゲラールは歌手のいろはを教えたということなのでちゃんと父親してたよな~って思ったキャラ。頭の片隅で「いつか見捨てる」と思ってたことはクズだけど、でも人間って自分の身が一番大事だもんね……。最終的には息子の願いを守っていたので好印象です。良い父親ではないけど、愛情を持って接していたのがよく伝わってきたので。

クリスティーヌ

今まで挫折とかうまくいかなかったことがほぼ無かったんだろうなと思えるキャラ。愛があればなんでもできる!そう思ってたんだろうね。世の中そんな単純じゃないんだよってことが理解できてよかったね……。逃げ帰った後に「信頼してもらったのに!謝りに行かないと」って愕然とした顔で言ってたのも良かったです。自分の愛を過信してたんだろうな。
「話し合えばなんとかなる!」というお花畑理論の世界でしか生きてなかったんだろうなと思えるのでこのあたりまでは納得なのですが、最後のシーンで撃たれたエリックを抱きしめながらわが子に対する子守唄っぽい歌を歌い、エリックが死亡した時に仮面を外してキスをするのは母親くらいの感情持ってないと難しくない!?もしくは特大恋愛感情持つとか!どうやってそこまでの感情になった!?死んだからか!? 感動的なシーンだけど解釈が難しかったです。小説読めばわかるようになるのかな。

エリック

 役者によってこうも解釈違うんだ!?と驚きましたが城田エリックの場合だと、父親を手に入れたから母親も手に入れたくて「僕のだぞ!」発言したってことか……?とはなりました。加藤エリックの場合もそうなのか……??わからねえ。情緒不安定すぎて追いつけない。でもこの情緒不安定さがエリックって気もする。だって普通の精神してたらこの事件起きてないもん。






まとめ(ネタバレなし)

 本作は”観てよかったミュージカル”にランクインしましたしブルーレイが出たら絶対欲しいですし再演したら今度は良い席で観たいし、本当に素晴らしい作品でした。最高だったな~!配信前に間に合った!じゃあ配信チケット買ってきます!興味持ったら買ってくれよな!アーカイブないけど!


配信について

 配信観ました!しかし重要シーンのカメラワークがクソです!見せるべきシーンをもっと映してくれよ。特にラストシーンをアップで映さなかったことは恨みます。でも音は結構良い気がする。

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