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泥と空白と。

変わらないと思う。全てが。生きてきたことや、感じてきたことはすでに、逃避のために分析され尽くしていて、余暇、惰性の中を漂っているだけだ。   「都会の中の緑を感じられる小道を抜けていくといいですよ」webサイトに書いてあった文句に惹かれたと言ってもいい。僕は、この泥濘から引き上げてくれる何かを探していたのだ。地下鉄の階段を上り、クリーニング店とコンビニの隙間の100mにも満たない道。そこにはただ、平日の昼間に、石段で首を垂れた浮浪者の臭いと、用済みになって放っていかれたファ

    • ジョーカーとして共に生きる

      私は中村文則氏の著作を推理小説やミステリーだと思ったことはなかった。しかし、今回この読書感想文を書くために一言一句読み、深く考えたことで、そういったジャンルに当て嵌めようとすること自体が間違いなのだと気づいた。あえていうならば、これは純文学推理哲学書だ。  私は今回の作品を読んで、モノとモノの境界線は実は曖昧なのではないかと強く感じた。モノとは物質的な物ではなく、タロットカードとトランプ、マジックと占いとギャンブル、勝ちと負け、女と男、善と悪、生と死 サディズムとマゾヒズム

    泥と空白と。