先日Facebookの通知が出ていたので
閲覧をしていると
ショート動画がタイムラインに流れてきた。

その動画は女子高生が自転車に乗って
お兄さんから何かを受け取るという
なんということのない内容だったので
画面をスクロールしようとしたのだが、
よく見てみるとそこには”弟”と書かれていた。

どういうことだと思い音声を出して
もう一度その動画を見てみると
確かに女子高生と思って見ていた人の
声は男性のようである。

しかし、服装はどう見ても女子高生なのだ。

このギャップが面白くて
このような動画が流行っているのだろう。

そう思いその時はスマホを閉じたのだが、
私の中で引っかかっていたあるワードが
突然浮かんできた。

それは「女性も女装をしている」というものである。

最近しばしば記事の話題に出てくるように
私はフェミニズムをテーマにしたような本を
時々読んでいる。

男性として生きている中で
自分がなぜこう考えるのか、なぜこう行動するのか
を考えた時に
その心理の裏側に少なからず女性に対する
感情があることに気が付いたからである。

今回頭に浮かんできた「女性も女装をしている」という
ワードが一体どの本に出てきたものなのかは
記憶していないのだが、
間違いなくフェミニズムを取り扱う本の中に
書かれていたワードである。

では、この言葉が指し示すものとは一体何かというと
「なぜ女性だけがスカートを履くのですか？」という
質問の答えになると私は思っている。

子供の頃に誰しもが一度はこの疑問を感じ
大人に問いかけたことがあるだろうが、

「男の人がスカートを履いても似合わないから」

そのような答えが返ってきたのではないだろうか。

実際、私も子供の頃保育園の先生に
この質問を投げかけた際に
この答えを教えてもらった記憶がある。

だが、この答えに対し心の中で完全に腑に落ちたかというと
Noである。

自分に似合わない服を着ている人は
世の中山ほどいるし、
そもそも似合う似合わないというのは
個人の価値観に過ぎないからである。

そもそもスカートというのは洋服であり、
もともと用を足すときに見られないように
隠すような目的があったと言われている。

男性の場合は立ったまま用を足せるが
女性の場合、何かに座らなくてはならない。

今の時代のようにトイレがしっかりと
整備されていなかった時代には
人に見られるリスクがあるので
機能を考えてあのような服になったのだろう。

よく知られている話だが、ハイヒールも
その頃の名残で生まれたものだと言われている。

先ほど書いたように当時はトイレの整備が
進んでいなかったので
かかとの低い靴を履いていると
スカートの裾に汚物が付いてしまうから
あのような形になったらしい。

ある意味この時代には女性だけがスカートや
ハイヒールを履くことは
とても合理的な理由であったと言える。

だが、今の時代は当然ながらそのような理由は
全く当てはまらない。

つまり、女性がスカートを履く機能上の
理由は一つもなくなったのである。

では、なぜいまだに女性だけがスカートを履くかというと
かつて存在していた合理的な理由によって生まれた
女性らしさのシンボルマークを身に付けるためである。

これはある意味で女性も女装をしていると
言うことができるであろう。

私が偶然目にしたショート動画に出てきた
男子高校生(高校生かどうかはわからないが)は
スカートの制服を着ており、
ぱっと見た目はどうみても女性にしか見えなかった。

だが、これは間違いなく”女装”である。

最近女子でもパンツスタイルの制服を
選ぶことができる学校が増えてきたが
それはまさに女性が女装を強制されることが
無くなってきたという証であり、
逆にいうと男性が女装をすることが
認められるということではないかと思うのだ。

実際、男性的なシルエットのジャケットを
女性がファッションとして取り入れることは
多くなっているし、
女性もある意味で男装を楽しんでいるのである。

これこそある意味でジェンダーを問わない
社会の形ではないかと私は思う。

その形に近づいているからこそ
私が目にしたショート動画は多くの人に
支持されているのだろう。

そんなことを思いながら
週末恒例の洗濯ものの山と向き合っていると
妻が職場で着ている事務服が出てきた。

それは当然のようにスカートである。

ちなみに妻の職場に男性で事務をしている人はいるが
その人は当たり前の様に作業服らしい。

女性が女装を強制される場所は
どうやら学校だけではないらしい。

この手の問題は色んな考え方があるので
誰もが納得するベストアンサーを
出す事は難しいというのは理解している。

しかし、せめて強制されるような環境は
無くすべきだと私は思う。

今はまさにその過渡期。
モヤモヤすることは色々あるが
いい方向に向かってくれると嬉しい。