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根拠なき不安

昨晩妻と話していたときのこと。

子供たちは早々に眠りについたので
特に邪魔が入ることもない。

こういう時私的には未来の話、楽しい話を
したいと思うタイプなのだが、
妻はどちらかというとこういうときに
不満や不安などネガティブな感情が
溢れてくるタイプ。

10年以上も夫婦をしていると
あらかじめどのような話が出るかは
薄々予想がつくものなので、
心の中で構えを崩さず妻の話を聞いた。

すると、私の予想を少し外れた話題が
妻の口から出てきた。

妻が働く会社では最近新規事業を進めており
その新規事業で取り扱う化学物質が
自分を含め勤務している人に影響しないかを
心配しているという内容であった。

妻は大学こそ文系を出ているが、
高校卒業までは理系の科目を履修していていたらしい。

なので、ある程度化学の知識も持っていると
思っていたのだが、
昨日の妻の不安を聞いていると
私はその科学的根拠のなさに驚いてしまった。

完全に想像と思い込みだけで妻は不安を抱え
このままこの職場にいてもいいのかと
悩んでいたのである。

根拠が明確な理由があり、それに悩んでいるならば
それをどのように解消するのか、
もし可能ならばどのようにその不安の根拠を除去すればいいかを
考える必要があるだろうが、
今回の場合はそうではない。

妻の誤解をいかに科学的、論理的に説明して
今不安に感じていることがいかに
論理的にオカシイのかを納得してもらうことが
私に課されたミッションである。

とはいえ、こういうときに妙に上から目線になると
妻も耳を閉じてしまいかねない。

そこで、”教える”というスタンスではなく
私が感じた疑問を一緒に解いていくスタンスで
話を始めることにした。

途中、何度か難しそうな顔をすることはあったものの
妻は何とか納得した様子だったので
安心したのだが、
私の中で一つの疑問が残った。

もしかすると、世の中の多くの人が
科学的根拠のないことに対して
不安を抱えているのではないだろうか。

最初にも書いたように、私の妻は
全く科学的なバックグラウンドがないわけではない。

どちらかというと知識もあるほうだと
私は思っているのだが、
そんな妻でも巷にあふれる科学的根拠の乏しい情報を
バイアスのかかった見方で集め、
そして、その中に転がる不安をあおる情報に
目を奪われ、結果として不安を感じていたのである。

これが科学的なバックグラウンドがない人なら
なおさら「あの人が言うから」という理由で
信じこんでしまい、
不要な不安を抱えてしまうことが
多々あるのではないだろうか。

私が子供の頃にはよく「ノストラダムスの大予言」が
話題に出たものであるが、
その背景には何の科学的根拠もなかった。

にもかかわらず、多くの人が薄々それが本当に
起こるような気がして、不安を抱えていた。

適度な不安はリスク回避をするためには
絶対に必要なものであるが、
間違いなく不安は私達にとって
ブレーキの役割を果たすものでもある。

カーブでもないところで不要なブレーキを踏むことは
あまりにもったいないことではないだろうか。

何とか昨日は妻を納得させることができたが
正直、不安を抱えて不確かな情報を
信じ込んでしまっている人を説得するのは
なかなか骨が折れる作業でもある。

しかも、妻という身近な人ですら
これだけ大変なのだから
私のことを知らない人に対して
このような説明をして納得してもらうのは
とても難易度が高いことは想像に難くない。

だが、それでもそれを伝え続けることは
ある意味私にできる社会貢献なのではないかと
思うのだ。

私は過去に21冊Kindleを書いたが、
これらの作品を書くにあたって
私がモチベーションを保つことができたのは
正しく論理的な情報を
多くの人に知ってもらいたいという気持ちが
あるからこそである。

noteではあまり理屈っぽいことは
書かないようにしているつもり(←あくまで自己評価)だが、
これからもできるだけ多くの方に
自分が知っている範囲の知識で貢献していきたいと
改めて思ういい機会になった。

ちなみに妻が使う化粧品や美容関連商品についても
色々とツッコミたいと思うことがあるのだが
自分が使わないものなので
そこは論理が少々破綻していても
ツッコまないことにしている。

「信じる者は救われる」が時には
正義となる場合もあるのだろう。


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