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夕方

夕方

熱が冷めて、日が昇って、読み終わった本を閉じる。

終わっていくことへの寂しさは、確かにあって
それは何となく、ああ、そうだねってあっちも頷いてくれる。と思う。

何かが終わって寂しい気がするのは、無くなったからじゃなくて、自分が変わってしまったから。全然悪いことじゃない。

毎日何かを捨てなきゃいけない。
大切なものには水をあげなきゃいけない。
愛しいものたちを抱えて生きていく、幸福と恐怖から目

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すぐ、そばで

すぐ、そばで

言葉にした途端ぶよぶよになってしまう。
頭の中の、心の中の、わたしたち。

なんでそんなことしたの?
なにが嫌なの?
今の気分は?
もう大丈夫なの?

わかりません。なにもかも。

このわからないに、どれだけの疑問と答えと時間が詰まっているのかを説明する元気が、今のわたしにはない。

そう、元気がないから。
それがイカンのよ。
まぁ、でも元気は出るまで出ないからさ。

朝起きてシャワーを浴

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好きは消えても最高!!

好きは消えても最高!!

高校生の時に好きだった男の子を成人式で見かけた。

私の高校3年間は、その子で出来ている。

その子が私にしたことも、私がその子にしたことも、絶対忘れてやるもんかって思ってた。

だけど式場で見た時はもう、なんだろう、ただの男の人だった。

久々に会う友達に囲まれて、浮かれて楽しんでいる新成人の一人。

彼がつまんなくなったって事じゃなくて(話してもないから、つまんないも何もない)自分がもうあ

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湿ってるよ

湿ってるよ

今日は朝から雨が降っていて、目が覚めても部屋が暗かった。

雨って嫌だ。朝なのに空がグレーなのも嫌だ。

外に出ると雨はもう止んでいて
匂いだけが、まだ そこら中にいた。
これは好き。

肺が破裂しそうなくらい吸い込んだ。
もぐもぐしながらバス停に向かう。

雨上がりの朝は、おいしくて気持ちよくて最高だ。 #日記 #エッセイ

私へ

私へ

去年言ったこと
昨日言ったこと
今考えてること
さっき言ったこと
なんだか全部が、どれもしっくりこなくて、泣きそうになる。

そうなるともう、目が耳が口が頭が全部使い物にならない。
怖くて何も言えない。言葉が出てこない。

ガンガンぶつかりながら、私の手や足の間をすり抜けていってしまう。なんの価値もなく、どうでもいいけど、どうでもよくしちゃいけなかったような言葉たち。

どれもこれも、私が私に残し

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んにょ

んにょ

「自分の気持ちが わからない」って
電話を切った後の静寂が怖くて、いつまでもベラベラ喋ってしまう「アレ」に似ている。

話すことはもうないのに。

わからない、なんて嘘だ。
いつだってクリアだ。単純ではないけれど。
私には私がちゃんと見えている。

いつだって感情に流されていたい。
疲れちゃってもいい。

そう言い切れたら良いのに。
今はちょっと、それじゃあ困る。
#日記 #エッセイ

蓋

星を見ていると、だんだん空が蓋のように見えてくる。
まるくて、そこまで大きくない、あそこからあそこまで、私の見える範囲の蓋で地球は思っていたよりもずっと小さい。

突然その蓋がパカっと開いて誰かが覗き込んで私に手を振る。そんなことが今にも起こりそうな感じがする。

そうだったらいいな、とかじゃなくて、本気でそう思っている。

でも蓋は開かなくて、次の瞬間には、早く家に帰ってフルハウスみたいな〜とか

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絵に名前をつけたら もうそれは嘘

絵に名前をつけたら もうそれは嘘

リアルすぎる描写のアニメも、物語の無い音楽も好きじゃない。

映画もノンフィクションなら良いってわけじゃないし、面白い嘘ならいっぱいつきたい。

諦めたほうが楽しい。

難しい言葉を使って自分もわからないくせに、そのわからない気持ちを人のせいにするのは、ダサい。

素敵な人は、言葉も、優しくてむき出しだ。
素敵な人を素敵って言葉以外で表せないのも、またちょっと悔しいけど。

そういう人が周

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愛なのかもしれない

愛なのかもしれない

あたたかい。
陽の差し方も、においも、鳥の鳴き方も、私の鼻歌も、完全に春だ。

気持ちが良いので深呼吸。
喉を通るひんやりとした空気は、しがみつく冬。吐きだして残るのは春の味。

髪を切りに行こうかな。
水色のピアスがきらきら光って海みたいだ。耳たぶに海を。うきうきするね。うきうき。

あと1週間もすれば、みんな、あの白い冬を完全に忘れてしまう。

昔は春が怖かった。
今はもう思い出せない、理由も

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こうしているあいだにもどんどんと。

こうしているあいだにもどんどんと。

愛しい思い出が、どんどん薄れていく。

解像度が、密度が、温度が、こうしているあいだにもどんどんと。

どんなにあがいても、薄れてしまう。
口に出せばそのスピードは加速して、誰にも見せずに心にしまえば、いつまでも形を変えながら、そこに居座るようになる。時々場所も変えながら。

だけど私が信じなければ、忘れてしまえば、それはもう寝て見た夢とおんなじだ。思い出なんて、昨日のことなんて、想うだけ虚しい。

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小指がいたい

小指がいたい

わたしにはいつも、時間がない。

ソワソワ、焦っていろんなところに小指をぶつけている。

結構痛いんだよね、ちっちゃなアクションで頭に血が上って体がカチコチになる。本当はもっとスルリとやってのけたい。
シンプルなことをシンプルにできる人はすごく頭がいいんだと思う。心が強いとかそういうことじゃなくて。

自分の作った迷路から出られなくなったり、自分の作った不安に潰されてしまったり。
焦る必要のないと

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寝顔とコーヒー

寝顔とコーヒー

良くも悪くもない朝、少しだけ寝坊した。

昨日の夜は友達の家に泊まって、ブレイキングバッドを7話くらい一気に見た。好きなキャラクターが死んでしまって悲しかった。
友達が茹でてくれた、パスタを食べてお腹がいっぱいになった。そのあとすぐ眠くなって寝た。お腹がいっぱいで眠くなって寝るってすごい気持ち良いよね。

あさ、顔を洗って歯を磨いて、部屋に戻ると友達はまだ寝ていた。わたしもまだ寝ていたかった。

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ぽろぽろぽ

ぽろぽろぽ

子供の頃から今日まで、知らないうちに植え付けられてきた常識とか愛とか、目に見えないもののひとつ、ひとつを確かめる。

突然スパーンと引っこ抜かれることもあって、そこからは、大抵確かなものが生えて来る。
専門学校に通っていた頃、毎日がそんな感じだった。おもしろい人たちが面白いものをたくさん見せてくれた。

そして、それも生えかわる。カナダに来てから、またたくさんのおもしろいことを見た。
出会いも、流

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秋がきて、冬がきて、春がくるね。

秋がきて、冬がきて、春がくるね。

脳がつまずいていても、生活は続いて、毎月生理は来るし腹は痛いし、喉が渇いて、蚊にも刺される。

夜ご飯、野菜を食べなきゃと思い、好きでも嫌いでもないほうれん草を味噌汁に入れて食べた。ソーセージをタコみたいに切って食べた。

「前は自分のことにしか興味がなかった」と言う友達に、どうして変わったのかと聞いたら「子供はバカだから」と彼は言った。

わたしはそのことをずっと考えている。