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香港、深圳、ペナン、シンガポール、ホーチミン、コーヒーを巡る旅・纏め


1.世界のコーヒー消費状況

 世界で一番コーヒーが飲まれている国はご存じでしょうか?
 感覚的には圧倒的にヨーロッパだと思っていましたが、その通りで、少々古いデータながら下記がそれを裏付けています。

https://honkawa2.sakura.ne.jp/0478.html

 アジアでは日本だろうと思っていたのが、意外にラオス?でしたね。まあそこは別にして、日本→香港→フィリピン→韓国→台湾→タイ→マレーシア→中国→ベトナム、と続きます。
 暑い地区のほうが甘いものを好み、それでも全体的にはコーヒーの量は寒冷地・温暖地域よりは少ない。顕著です。
 さすがに「世界」に触れると広すぎですし、昨年11月に訪問した5か国の特徴について、上記を軽く抑えた上で改めて総括レビューしてみたいと思います。
 大きく、2、伝統、3、Starbucks を代表とするチェーン店、4、スペシャリティーコーヒー、 と分けてみましょう。

2.それぞれに蓄積された伝統文化

 コーヒーの世界の歴史において、一番大きなエポックは、何といっても「Starbucks」だと思います。それ以降、極論するとコーヒーの全世界が「標準化」された行動様式に染まったように思います。ファッションとしての「場」が重視され。

 「それ以前」は、それぞれの地での「伝統」に沿ったコーヒー文化が多くの地でできあがっていました。
・日本=「喫茶店文化」
 チェーン店ではない、家族経営の店。少々薄暗く、コーヒーは濃い目で、当たり前のようにミルクと砂糖を足していました。(余談ながら、マッチ箱で店の主張をする店も多くてマッチ箱蒐集の仲間までいました!)
「コーヒー専門店」もあったし、「モーニングセット、ランチセット」など、軽めの食事も提供する店も様々ありました。飲み物も多くは複数ありましたが、全般的に「コーヒー主体」の色は強かったと思います。

・香港=非常にローカルな、インスタントかレギュラーかわからないような、「茶餐廳」と呼ばれる「なんでも屋」で飲むような、そんなイメージ。
下記「コピティアム」と類似なのですが、コピティアムのほうが「KOPI」の主張が強いように思います。

・深圳=中国では、経済事情および「お茶」が巨大であるがゆえに、特に深圳では、地域特有のコーヒーの伝統文化はできていなかったように思います。Starbucks でようやくスタート!

・ペナン(マレーシア)、シンガポール=「コピティアム」
 マレーシアのほうが、コピティアムの文化がより強く、シンガポールが、単独でのカヤトーストの文化が強いように思います。ともあれ絶対量では、上記が示すように、少々意外ながら一人当たりの量ではシンガポールのほうが少ない。これは少量ながらマレーシアではコーヒーの産地でもあるところが影響しているのかもしれません。

・ホーチミン(ベトナム)=ベトナムコーヒー
 独特にできあがった面白い文化です。食事とのマッチにおいては、単発でしか見ることができていないので、もう少し厚くして、後日再度歴史的な展開について触れさせていただければ、と思います。

3.Starbucks 等のコーヒーチェーン店展開

 日本では1996年に遡ります。「新しいコーヒーの店ができた」となぜか家内の若い友人に一緒に誘われ、銀座の松屋通りにある日本のSTARBUCKS一号店に、並んで!行きました。それ以降「シアトル系」とも呼ばれるコーヒーチェーン店その他が複数、文字通りに世界を席捲しています。
 世界の中での標準化を図るにあたり、一番大きな壁は、上記の「伝統文化」であったのでしょうが、それを「ファッション化」を武器に、「組織力」で展開していったのでしょう。

4.スペシャリティーコーヒー

「2023年アジアの旅」で発見できてうれしかった一つが「どの地区にもしっかりとあったスペシャリティーコーヒーの店」でした。
 チェーン店での大きな展開は「画一化」にもなり、その「反動」と私は捉えるのですが、「コーヒー産地の顔が見える」まで「コーヒーそのもののおいしさ」に拘っていく。
 チェーン店が「伝統文化」との対峙をするにあたり「組織力」が必要であったのに対し、スペシャリティーコーヒーは、個人経営の店も多く、特に伝統文化の色が強く残る地区では大変さが容易に推測できます。
 しかし、それだけに、「一杯一杯を丁寧に淹れる心意気」に感銘を受けるし、応援していきたい気持ちになるのです。

5.第四の流れ

さて、コーヒーの展開を大きく三段階でみたときに、下記3点に特徴付けられます。
・伝統文化=多様性
・チェーン店=標準化
・スペシャリティーコーヒー=再度の多様化
ある意味では「原点回帰」といえるのかもしれません!標準化展開を経た上での止揚!!(Aufheben, アウフヘーベン)

 こうして見ると「次の大きな流れ」がすごく気になります。
「南洋」独自の流れができていくのかもしれません!
 例えば別稿でも触れた「食事とのマッチ」
 さすがにピーク時に「一律、一杯一杯コーヒーを丁寧に淹れる」のは難しいかもしれませんが、別メニューとしてでも、オプションで「おいしいコーヒー」を提供することはできると思うんですよね。
 日本はこの種の対応がよくされていて、実際複数の店でレギュラーコーヒーの提供があります。日本での展開の「現地再上陸」だって面白いです。

 アジアのコーヒー市場は間違いなく拡大していくと思います。新たな姿がどのように表れていくか、非常に楽しみです。

*複数回アジアのコーヒーについて触れましたので、「マガジン」を作りました。一部論旨に不統一もあって気になるのですが、ご容赦ご高覧いただけるとありがたいです。

 
 


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