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みんなではじめるデザインレビュー

こんばんは、@transitkixです。「デザインレビュー」の取り組みについて、社内向けに言語化したものを公開します。(元記事は所属している会社の社内ブログ)

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デザインレビューとは?


全デザイナーが立場や役職関係なくそれぞれの成果物についてGitHubのIssue機能を利用してレビューしあうしくみ。目的は「プロダクトデザインの品質を向上させ、訪れるすべてのユーザーに期待以上の価値を届ける」ため。

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デザインレビューの作用


この取り組みには大きく「デザイン組織」「デザイナー個人」2つの作用があります。

[1]デザイナー組織

👨👩組織力の観点

プロダクトデザインの一貫性と品質向上 訪れるすべてのユーザーに期待以上の価値を届けるため。複数デザイナーが自律的に開発をしながらも、制作物の一貫性を担保する

オープンな知見の蓄積 過去事例のアーカイブ化

方針が明確に 定性的な印象になりがちなデザインに関する骨格の説明

思想継承やアップデート サービスで大事にすべきポイントについて全員で議論し理解する文化

🕐効率の観点

レビュアーの時間を拘束しない 非同期コミュニケーションにより、レビュアーの都合の良いタイミングでレビューできる

コードと近い位置での活動 誰でも参照しやすい、参加しやすい、素早く改善に移行しやすい

[2]デザイナー個人


デザインの言語化 デザインを言語化し、広くデザイン意図を文字で説明できるようになる
思考の変遷を蓄積する プロダクトは制作過程にも成長する、いつでも原点を振り返れるように
デザインスキルの強化 熟達者によるレビューを受けることによるスキル向上
幅広い課題に対する思考トレーニング この問題、自分ならデザインでどう解決する?

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はじめてレビューに参加する人に伝えていること

「レビューの指摘対象はデザインです、人格否定ではありません」

初めてレビューに参加した時にここを取り違えてしまうと、以降の参加に悲観的/消極的になってしまいます。文字にするとどうしても指摘した時のニュアンスが抜け落ちてしまうのもありますが、これは絵文字を足すことや👍、 「must(必ず修正すべき)/追って次バージョンで修正でもOK/質問」という情報を表明することでも補うことができます。

「文字コミュニケーションが難しく感じたら、対面レビューに切り替えましょう」

レビューする人/される人が素早く意思疎通できるのであれば、まずは15分でも時間をとって対面レビューが良いと思います 🙆‍♀️

デザインのレビューについては、正直なところGitHubのIssueでやるのはあまり向いていません。レビューされる人はユーザーに見せる部分のデザインを載せており、その前段階で捨ててきた別案については多くは語りませんし、レビューする人は何か気になることがあっても簡潔な文章で表わすことが難しい印象/表現寄りのレビューもあるでしょう。ただし、対面レビューの場合でも「試行の変遷の蓄積を残す」という意味でログは残した方が良いです。デザインパターンのアプローチは堂々巡りしやすいので。

デザインの批評ってむずかしい…

問題点に早期に気づけたデザインレビューもあれば、議論自体がうまくいかずに長期化してクローズしたデザインレビューもあります。

「レビューしないで、さっさとリリースしてしまった方が早く新しい機能をユーザーに提供できるのでは?」という観点もありますが、1プロダクト内のいろんな画面を各デザイナーが自由に触り出すと設計の一貫性はあっという間に崩れ出すので、デザイナー全員での思想継承&アップデートへの関与だと思いコストかけてでもここは取り組む必要があると思っています。

…ということで、他の会社のデザイン組織だとどうしているのかなーっていうのを知りたい👀

補足

・「GitHub以外の他ツールでやらないの?」→会社の情報共有がほぼGitHubで行われており、情報がデザイナーしか見ないところに分散するのを避ける意味で(積極的には)行なっていません

・尚、このデザインレビューの取り組みは私1人でゼロからすべて構築したのではありません。数々の前任デザイナーから脈々と取り組んでいた内容について、改めて構造化したものです。

・記事タイトルは、「みんなではじめるデザイン批評—目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド」のオマージュ


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