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『源氏物語:夕顔』はいい子を作りましょうぞなのです!

心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花

夕顔 (源氏物語) - Wikipedia

説明不要かと思うのです。

ユウガオ(夕顔)は北アフリカを原産とするつる性植物で、平安時代に中国経由で日本へ渡来しました。名前は夏の夕方に咲く花が翌朝にはしぼんでしまうことが由来です。その様子から、はかない美女にたとえられ、平安時代の長編小説「源氏物語」にも、光源氏に愛された薄幸の美女の名前で登場しました。秋につける果実は漬物やカンピョウの原料になることで有名です。

夕顔 - 植物図鑑 (botanica-media.jp)

ユウガオは夜~翌日の昼と開花期間が非常に短い植物です。実を確実につけたいなら人工授粉を行いましょう。ユウガオの人工授粉方法は「花合わせ」が一般的です。花合わせの授粉方法は、雄花を摘んで花びらを取り除き、花粉のついた部分を雌花の柱頭に軽くこすりつけます。実の大きさが40cmくらいに成長したら収穫しましょう。

画像はウィキペディアから

リアル赤ちゃんよりはやや小さいですが、蔓の先になる実としてはかなりでかいのです。

夕顔の娘は玉鬘なのです。

恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなる筋を尋ね来つらむ(光源氏)

玉鬘 (源氏物語) - Wikipedia

源氏の弟宮である蛍兵部卿宮をはじめ、髭黒、柏木(実は異母兄弟)など多くの公達から懸想文を贈られる。源氏の放った蛍の光によって蛍宮に姿を見られる場面は有名。

ホタルの語源については〈火垂る〉〈火照る〉〈星垂る〉〈火太郎〉など,いろいろな説があるが,いずれも光ることに関連する。

ホタル(蛍)(ホタル)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

ホタルが照らすのはホトなのです。ロマンチックホトグラファーなのです。

玉鬘という装身具もあるのです。

玉鬘(たまかずら)は
1. 装身具のこと。多くの玉を緒に通し、頭にかけるもの。

玉鬘 - Wikipedia

「緒」は「糸(しい)者」なのです。戀多き女なのです。しかしこの品のなさは…

橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ(光源氏)

花散里 - Wikipedia

昔を思い出させる橘の香をなつかしんで、郭公は、橘の花の散るこのお邸を探してやって来ました(新潮)
昔の人を思い出させる橘の香りがなつかしいので、ほととぎすは橘の花の散るこのお邸を捜してやってきました。(小学館古典セレクション)
昔を思い出させる橘の香がなつかしくて、時鳥は、その花が咲きそして散る里を探して来て、鳴いています。(玉上)

源氏物語を読む 花散里・注釈 (3zoku.com)

「とふ」の解釈はこれも間違いではありませんが

①ものを言う。言葉を交わす。
出典万葉集 一〇〇七
「こととはぬ木すら妹(いも)と兄(せ)ありとふを」
[訳] ものを言わない木でさえも妹と兄があるというのに。

こととふの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典

大事なのは「こととふ」なのです。ホトトギスの鳴き声が「こと」なのです。

(2)花について、歌では、ホトトギスと取り合わせ、その芳香を愛で、蘰(かづら)にするなど詠み、「五月待つ花たちばなの香をかげば昔の人の袖の香ぞする」〔古今‐夏〕により、懐旧の念を起こさせるものとする。

橘(たちばな)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

ホトトギスの名は「ホトホト」と聞こえる鳴き声からで、「ス」はカラスやウグイスなどの「ス」と同じく、鳥類を表す接尾語と考えられる。

「ホトトギス」の意味・語源・由来を解説 - 語源由来辞典 (gogen-yurai.jp)

日本では、激情的ともいえるさえずりに仮託して、古今ホトトギスの和歌が数多く詠まれ、すでに『万葉集』では153例、『古今和歌集』では42例、『新古今和歌集』では46例が詠まれている。鳴き声が聞こえ始めるのとほぼ同時期に花を咲かせる橘や卯の花と取り合わせて詠まれることが多い。

ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明(ありあけ)の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣『千載和歌集』)
目には青葉山ほととぎす初鰹(山口素堂)

他にも夜に鳴く鳥として珍重され、その年に初めて聞くホトトギスの鳴き声を忍音(しのびね)といい、これも珍重した。『枕草子』ではホトトギスの初音を人より早く聞こうと夜を徹して待つ様が描かれる。

ホトトギス - Wikipedia

アホもここに極まれりなのです。

郭公はなほ、さらに言ふべき方なし。いつしかしたり顔にも聞こえたるに、卯の花、花橘などにやどりをして、はた隠れたるも、ねたげなる心ばへなり。五月雨(さみだれ)の短き夜に寝覚めをして、いかで人よりさきに聞かむと待たれて、夜深くうちいでたる声の、らうらうじう愛敬づきたる、いみじう心あくがれ、せむかたなし。六月になりぬれば、音もせずなりぬる、すべて言ふもおろかなり。

枕草子 原文全集「鳥は」 / 古文 by 古典愛好家 |マナペディア| (manapedia.jp)

①物慣れていて巧みだ。気がきいている。才たけている。洗練されている。
出典源氏物語 若菜上
「らうらうじく美しげに書き給(たま)へり」
[訳] 物慣れていて巧みにりっぱにお書きになった。
気品があって美しい。上品でかわいらしい。魅力がある。
出典枕草子 鳥は
「夜深くうちいでたる声の、らうらうじうあいぎゃうづきたる、いみじう心あくがれ、せむかたなし」
[訳] 夜が更けて鳴き出した(ほととぎすの)声の、気品があって美しく魅力があるのは、とても心ひかれて落ち着かなくなり、どうしようもない。◇「らうらうじう」はウ音便。

らうらうじの意味 - 古文辞書 - Weblio古語辞典

当然①なのです。

ほととぎす鳴きつるかたを眺むればただ有明の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣)

「有明の月」は夜明けに出ている月ですが、「残れる」だから沈むところなので、必然的に満月(に近い)なのです。「さっきまでホトホトやっていたが、夫婦円満だなあ」ですが、左大臣がノゾキはどうかと思うのです。

神なびの 石瀬の杜の ほととぎす 毛無の岡に いつか来鳴かむ

志貴皇子 - Wikipedia

身も蓋もないのも芸のうちなのです。

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