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世襲・二世は相当の覚悟を持って引き継げ!

世襲議員、二世議員、バカ息子などでnoteを検索すると、まぁ総じて批判的な記事ばかり出るわ出るわ…

そんなありきたりな居酒屋での愚痴みたいな文章はココでは書かない。
二世側というか、私はそれを引き継がなかった立場の人間なので、このことを多少は当事者目線で書けるので超久々に筆を取った次第。

とはいえ私の親はそんな大物ではなくせいぜい地方の名士程度。
役人の出で都市計画課という何やら役所ではエリートが在籍する部署から出世し市会議員へ。最終は市会議長で役目を終えた。

二世なんて親ガチャ当たり、浦山、なんて言われるがとんでもない!
長嶋一茂氏など見てわかると思うが周囲からの注目度、プレッシャーが半端ない!
一茂氏はそれ起因かは不明もパニック障害になったと伝え聞いた。
私がどんな目に遭ったかことの顛末を聞いてもらいたい。

まず2世は世間一般の考える普通の親子関係は築けない。
知人の似たような境遇の先輩に聞いたがやっぱり私と同じだった。
それに大なり小なりはあれど、仕事で成果を出して世間的に社会で成功者として認められている者(親)は大概家族との関係性が崩壊している。
そりゃそうだ、他人の何倍も努力し、仕事に賭けて人生生きているんだから家族サービスなんてやってる時間なんてあるわけがない(笑)

うちの親もそうだった。会社(役所)での権力闘争に明け暮れていた。
家の中でも仕事場と同じで「あいつを抱き込め」、だとか「懐柔に失敗したら徹底的に潰せ!」だとか物騒な電話をしょっちゅうしてた。
父は家には帰っては来るが遅いし、なんか昔からお父さん、なんて雰囲気なんてまったく無かった。血の繋がった優秀なビジネスマンと同居している感じだった(笑) 常に闘気を纏っていて、ブッシュ元大統領みたいな目つき、顔をしている。嫌でしょ、そんな親(笑)

高校生になったばかりの頃だったかな?ある日父に呼ばれると神妙な顔つきで「お前はお前、俺は俺だから堂々と生きていってほしい」と言われた。
要は明日新聞に自分の名前が載り、何かしらの仕事上での不正で手が後ろに回ることを遠回しに告げてきたのだ。
相当ヤバいヤマに関わっていたのだろう…
そりゃそうだ、そんな危ない橋の一つや二つ、世の中に名前が響く人間なんて余裕で渡っている。だから有名人なんだ。
幸いにも親の悪事はその後表沙汰にならずに済んだみたいですけど…

それでも親ガチャ当たりがいいですか?
大学生の時、深夜のパン工場のラインに入ってそこの社員で石坂浩二風の優しいおじさんに「学生なのに大変だねぇ、夜寝ないで明日大丈夫?」と声をかけられて、このおじさんがお父さんだったらなぁ…って本気で思った。
うだつの上がらない、夜勤してるおじさんだったけどなんて言うか、当たりがソフトで癒し系で、普通のお父さんって感触があった。
わずか半年程度の短期バイトでの付き合いだったけど、未だに鮮明にその人の事は覚えてる。

でも私自身は父から酷いことをされた事もないし、別に勉強しろ、いい大学出ろだとか強要も一切なく、家にいるときは普通の会話はするしで、恨みの感情は持っていなかった。普通の父親とかなり違うな、人生の目標が違う、お互いに住む世界が違う、というドライな関係だった。
私からも特にこうして欲しいとか親に依存することもなかった。

父は私に対してどうこうしてやろうとか、興味を持ってないな、と感じた。私が特に優秀な子供ということもなく、寧ろ社会人としては出来が悪かったから相手にしてもらってない、それが逆にああしろ、こうしろと言われることもなく関係が悪化せずに済んだのだと考察する。
弟はそこそこ親の眼鏡に叶ったようで、役人になった。しかしやはり周りからのプレッシャーなのか、能力以上に見込まれた仕事を任されたのか、一度精神的にパンクした。そして休養後配置転換されたみたいだ。
それでも懲りないのか、弟は甥っ子をやはり世襲させ役人にした。
父も母も弟も役人。エリート意識が高い人たちで、同じ屋根に住んでいる人とは思えないほど私とは考えが合わなかった。

私はそういう世間的な出世とか金儲け、安定とか一切興味がない変わり者で芝居が好きでずっと演劇がやりたい、それだけだった。
でもとりあえず生きていかなければならないので親父に地元で適当な会社を世話してもらい就職した。

そこはバカでも就職できる、別に親のコネ使わなくても大卒なら表から堂々と入れるC級の一般企業だった。好きに5時から男(古いか)として自由に振舞える場所が欲しくてそこに入ったが、そんなコネ入社でも二世として注目を浴びた。
親と少しでも関係性のある所を選んだのが誤りだった。
その会社に親父が市の体育館の喫茶店運営を押し付け、それが赤字不採算店ということで迷惑しているブロックの課長がいて、私に理不尽な嫌がらせを仕掛けてきた。酒の席で理不尽に頭引っぱたかれたり。それに加え営業課の人間もこの件を快く思っておらず、嫌がらせに加わってきた。

出世欲もなく、寧ろ会社ではダメ人間であるので平身低頭、大人しく振舞っているのに二世というだけでそんな仕打ちに遭う。
(とはいえ、会社が迷惑を被っているのは事実なので親に契約解除か契約内容の改定を検討するよう依頼しその後撤退が決まった。
親の言い分としては確かに赤字店舗を依頼してるが、それを補って余りある店舗も依頼してるのだが…と、もっともな回答をしてきたが、そこはそれ、民間企業なので赤字店舗だけ貰ってるブロックの課長はたまんないわな…)

おまけにこちらの思惑とかけ離れて、こんなやる気のない私を将来重要ポストに就かせようと会社が考えていたのも計算外だった。
普通に会社にいる人たちには快く思わないでしょうね。私は出世欲がない、という心の中なんて読めないわけだから。下手すりゃ楽して出世しようとしているズルい奴、くらいに思われてたかも。

それだからか社内での強い風当たりは終わらず、投票で決まる労組の地区の副委員長までさせられた。
中坊がやるようないじめ。
そこでも労働争議に巻き込まれ、エライ目に遭った。何故興味もない労働争議に巻き込まれ、仕事とは関係ない業務を私が調整しなければならないのか?と後悔。
もう、本業の芝居に打ち込むどころではない、逆にデメリットしかない、位に精神的に追い込まれ、退職することにした。

最初は居心地悪いので辞めたいと親に相談したが、なかなか聞き入れてもらえずなんだかんだその会社に20歳代ずっと居続けてしまった。
例の労組のいじめあたりで限界にきて体重が50キロを切ってしまいふらふらの状態になってやっと親も事の重大さに気づき退職と私一人で生きて親元を離れることを許された。

30歳になって遅すぎる上京、全くイチからの人間関係構築となってしまったが、それでも親の威光の届かない、全く知らない人だけの街というのは偉大な親がいないということで理不尽な目に遭わずに済むし、これから自分の力だけで生きていくんだ、という覚悟ができた。
幸いにもいい出会いにも恵まれ小さな劇団ではあるが団体の長にもなれた。

当時、20歳代ということもあり私の見積り、考えが甘かった。
出世する気のない、切れ者でもない、ぐうたら社員でいれば2世としての扱い、プレッシャーはないだろう。んでもって5時ピタで帰っても親の顔が効くので注意は一切受けないだろう。思う存分芝居が会社員しながら続けられる、と見通し、考え自体が甘かったのがこんな目に遭ったそもそもの原因だった。

ほんの少しであっても親の力を借りるというのはそういうことだ。
こんな場末のnoteなんて読んでいる2世なんていないと思うが、同じ境遇にいる人には万一偶然、親のやっている仕事が継ぎたい、ホントにやりたい仕事なんだ、ってことだったら相当の覚悟を持ってやった方がいいと助言したい。
全く非の打ちようがないくらい謙虚に振舞っていても世間なんて、どんな理不尽な歪んだ気持ちを持ってぶつかって来る人間がいるか、わかったもんじゃないから。
そして、親を尊敬している人間ではなく、逆に恨んでいる人間が自分にも向かって来るのだと覚悟せよ。
私がまだ大学生で社会に出る前、「娑婆は厳しいぞ」と親が急にヤクザみたいな説教をしてきたことがあって、のちにそういう事か、とその言葉の重みが身に染みた。

親の目の届くところで生きるのは確かに楽だ。色んなことに忖度が働く。
普通の人は通らないことが通る。普通の人より金銭的に余裕がある。普通の人より気を遣ってもらってるな、ということもある。叱られない、注意も受けない。
会社入った時にも異様だった。
新入社員のペイペイの私が役員のところに連れていかれ紹介されたのだ。勿論私だけの特別待遇。
なんかイヤだった。ただの大学出た若僧なのに腫れ物に触れるような扱い、下駄を履かされた状態で期待されたり、そう振舞わなければならなかったり…
2世なんてロクなもんじゃない…って言われますが、こっちだってなりたくってなったわけじゃない、世間の人からは理解できない苦しみを抱えて生きてる人もいるんだ、ってそのことだけは理解してほしい。


親と縁を切って自分だけで生き抜くとそりゃ大変だったけど、20年経過してわかった、というか答えが出た。
人間的に成長できて親と離れて正解だった。
ただ、言うほど簡単なことではなく、その成長を掴み取るためには何から何まで親がそれまで代行してくれていたものを全部自分で用意しなければならない。
だからこそ親に相当世話になっていたと感じ取ることができて成長できたし、うまくいかなくても親のせいにはできない。逃げ場がない。
成功も失敗も自分に還ってくる。
親戚には私は狂人にでもみえたのだろう、上京する際、あんないい環境捨てるなんて理解できない、と言われた。

私は思い切って2世の道は捨てることをお勧めする。それが自分の為だ。


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