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新幹線の列車ホテルで一夜を過ごした話

新幹線での滞在時間、約18時間。

中々出来ない、この先忘れないであろう経験をしたので、記録に残しておこうと思います。


9月23日(金)



3連休初日。

24日(土)神戸で仕事があり、当初24日の早朝に東京から移動する予定でした。


天気予報
「台風15号は、23日の夜から、本州にかなり接近する予想です」
「先日の14号ほど強まることはないものの、東海や関東に近づく予想で大雨に警戒が必要です」


また3連休に台風…(9月17-19日の3連休にも台風14号が上陸)

先日の台風は大型で交通機関の計画運休もあったので、念のため23日に前乗りすることにしました。

結果論でお伝えすると、前乗りする判断はよかった。
ただ、もっと早い時間に移動をすべきでした。

家事等を諸々済ませ、16時過ぎに自宅を出発。

関西方面にある実家で夕食を取る予定だったので、空腹を感じつつも我慢。

飲み物も、500mlのペットボトルの水(半分以下)が手元にあったので購入せず、東京発(16:51) のぞみ51号に乗車。

明日の仕事楽しみだなと思いながら新幹線に乗ってから、約1時間後。

アナウンス「この先、掛川付近で大雨のため前方を走る列車が途中で停車しています。この列車もこの先で止まる可能性があります」

17時37分。新幹線徐行、後に停車。


静岡あたりで停車。

同じように停車した列車が横に(18:27)


18:53。「運転再開に向けて安全開始」とのアナウンス。

19:00。徐行運転開始。も束の間、5分ほどして再度停車。

停車してから、外も見えないくらいの大雨。

いつまで続くだろうと思い、雨雲レーダーをチェック。

…真っ赤。

この先1時間の雨雲の動きを見ても、ずっと真っ赤。

赤い部分から抜けるのは23時過ぎ。

実家に着くのは何時になるだろう、お腹空いたし喉も乾いた。

当分は待つしかありません。

雨が通り過ぎるのを待ちます。
この時は韓国ドラマ見たり
気持ち的にも余裕だった(19:30)



避難指示(20:20)


車内の各人の携帯から緊急速報音の嵐。
避難指示が発令。

一斉に爆音が鳴り響くので兎に角怖い。
この後少なくとも6回は聞くことになります(書いている今も頭から離れません)

21時頃に運転再開とのアナウンスがありましたが、雨が一向に止まず案の定取り消されました。

自分に出来る術は何もなく、雨が止むのを待つのみです。

停車から1時間ほど経ち、この時点で手元の水分をは残すも後1cm。

雨は止む気配がありません(21:40)


喉が渇き始め、車内販売で買おうと試みるも、長時間の停車であったため皆さま考えることは同じ…

ほぼ全ての列で皆さま食糧をお買い求めになるので、相当な時間を要しているようでした。

やっとお茶をgetし、何とか水分を確保。

今から思うと、この時に買えたのは奇跡で、この後車内販売は飲み物、食べもの全て完売。

物品がないことに対して「何で買えないんだ!」と苛立たれているおじさまも数名見ました。

気持ちはわかりますが、お姉さんに当たっても仕方ないので、ただただお姉さんが可哀想で心配でした。
(大変な時でも笑顔で接客されていて本当にかっこよかった。お疲れ様でした。)


21時48分。アナウンス「運転再開の目処が経っておりません」

22時32分。「ここから先への進行を止め、東京へと引き返します」とのアナウンス。


え?!東京へ戻る…?!この時の車内の騒然さ。

アナウンスがあり、動き出すのを待機。

横にいた列車は先に移動を開始し、横からはいなくなっていました。(22:59)


ホームに人の姿がちらほら(23:19)


ホームが見えているのに降りることができない、先の動きが読めない、この時間が一番つらかったです。

乗務員の方に「なんで降ろしてもらえないんですか?」と聞かれている方も実際に多かったです。

乗車していた列車はホームと繋がっていないためだと推察しましたが、缶詰状態が続きます。



23:34。アナウンス「静岡駅で準備が出来次第、お客様の乗り降りを行います。その後、新横浜、品川へと東京へと戻ります」

静岡駅で降りたら、近くのホテルで一泊した方が明日神戸へ行くのに便利かな?と考え、静岡駅付近のホテルを探し始めます。

周りの方達が一斉に電話をし始めます。わたしもその一人。
5件ほどお電話しましたが、結果は見えていました。どこにも空きはありません。

お電話口のフロントの方も恐らく沢山の電話を受けられたと思います。
ご対応いただきありがとうございました。


23:58。アナウンス「東京駅にて始発まで過ごしていただく列車を用意することが決まりました。」
「この列車がその対象になるかはまだ決まっていません」



9月24日(土)

翌日を迎えてしまいました。

00:00。

アナウンス「この列車は静岡にある車両所を往復して、静岡駅の上りの乗り降りできるホームに停車いたします。そこで一度ドアが開きます。その後この列車は、その先、新横浜、品川、終点の東京の順に停車いたします。」

「ただいまこの列車は、静岡とその先の車両所とを往復できる打ち合わせをしております。」

「まだ、この列車が動き出す予定は立っておりません」


もう無理や。この時点で、もう実家には帰ることは諦め、神戸での予定に備えて新幹線で一夜を過ごす覚悟を決めました。

幸いにも出張の予定だったため、歯ブラシや、メイク落とし、化粧品、常備薬等フル装備でした。

これがなかったら肌荒れ諸々心配で気が気でなかった…ナイスわたし。

待ち時間が続きます。


1:30。静岡駅付近の車両所を往復し、やっと静岡駅の乗り降り可能はホームに到着。

缶詰状態解放!

ホテルが取れた方なのかはわかりませんが、結構な人数の方が新幹線から降りられたように思います。 

「準備が出来次第、東京へと引き換えす」とのアナウンスがあり、その時を待つものの、再びの大雨。

ホームに繋がったドアは開いたままなため、雨が大量に入り込みはじめました。

車両ドア付近の方の足元に雨が入り込み、「ドア付近の方は荷物を荷物だなの上に移動させてください」とのアナウンスも流れていました。


雨は変わらず降り続いています(2:20)


雨風が車両内に入ってくる影響で、この頃から身体が冷え、頭痛が始まり、頭痛薬を飲み耐えるしかありませんでした。


2:51。雨が弱まりはじめました。

「新幹線の改札外への出入りは自由にしていただけます」とのアナウンス。


前に座っていらっしゃった方が、コンビニの袋を持って帰ってこられたので、外に出ることを決意。

静岡駅ホームからの列車(3:10)


約10時間ぶりの外の空気。

自由に外に出られることの有り難さに思わず涙が出ました。

改札を出て、近くのコンビニを探しますが辺りは真っ暗。大雨の影響で停電していたようでした。

真っ暗なコンビニ(03:24)


とにかく寒いので温かいものを口にしたい気持ちもありましたが、停電により温めることが出来ないため、菓子パンを購入。おにぎりはひとつも陳列棚にありませんでした。

新幹線の改札内で横になってらっしゃる方も多かったです


車内に戻り、東京への移動を待ちます。


4:01。駅員の皆様が、乗客に物資を順番に配ってくださりました。

寒さに耐えられず、駅員の方に毛布の貸し出しはあるのか伺いましたが、この車両にはないとの答えでした。

記念に撮影(4:19)


いつ東京に動き出すかわからないので、ただただ社内でその時を待ちます。


5:14。待望のアナウンス。

「12時頃までのぞみ、ひかりはすべて運休」

「天候が回復し、安全の確認が取れ次第、のぞみ号、ひかり号、並びに三島駅~名古屋駅間の運転を順次再開します」

「この列車の運転再開は12時ごろの予定です」

JR東海の運行情報のスクショ(5:14)


…え??

ほぼオールの頭では理解が追いつきません。いや、理解出来ても理解したくありませんでした。

三島〜名古屋間の運転がない、ということは東京に無事戻れたとしても、神戸までは行けません。


神戸の仕事のために前乗りしたというのに、結局仕事に穴を開ける結果となり、本末転倒です。

役立たず。移動の経費と時間を使っただけ。

無力で無価値な自分が哀れで悔しくて涙が止まりませんでした。

7:09。上司に連絡。

名古屋から大阪方面は快晴で通常通りの運行であったので、名古屋までタクシーで移動できないかと案をいただき、確認のため再度改札外へ。


外はいつの間にか雨も止み、明るくなっていました。

まさか朝を迎えるとは。
ずっと同じ場所にいたからか、歩くたび吐き気を催し、少しじつしか前に進めませんでした。

タクシーは待ち列を探すまでもなく、長蛇の列。

改札外の静岡駅構内も至る所に帰れない人で溢れていました。


この時に駅構内で流れていたニュース番組を見て知りましたが、名古屋へ向かう道路も冠水しており、行く経路はありませんでした。

12時の運転再開を待つしかありません。
待つ以外、なす術がありません。

相変わらず寒くて仕方がないので、ダメ元で駅員の方に毛布の貸し出し聞いたところ、袋に入った毛布を貸してくださりました。

3席シートの窓際席を指定しており
横は空席でした(8:15)



長時間の停車により、新幹線の車内トイレも水がなくなり使用ができませんでした。


そのためお手洗いも全て新幹線から降車し、静岡駅ホームのお手洗いを使う必要がありました。


雨も止み、いつでも出発できる状態に思えましたが、大雨の影響で川の水位が上がってしまったため、安全を確認次第の発車となりました。



そして、遂に。


10:15。

アナウンス「安全の確認が取れましたので、準備が整い次第、東京への運行を再開いたします」

やっと帰れる〜!!

10:35。静岡駅出発。

「名古屋、京都方面へ行かれる方は列車を降りて、ホームにて列車をお待ちください」とのアナウンスがあり、この時点で車内にいらっしゃった7割の方が降車されました。

東京に戻れることに歓喜(10:36)


新横浜、品川と順番に停車。

品川駅で降車したのは、12時01分でした。

まさかの新幹線乗車から約18時間経過。
18時間もあれば東京からパリにだって行けます。

新幹線で一夜を過ごすことになるだなんて、誰が想像できたでしょうか。


払い戻しについて


EXカードでの乗車のため、窓口で在来線乗り換えの手続きをしたところ、新幹線は全額払い戻しの対応でした。

東京駅の窓口では払い戻し対応で長蛇の列とTwitterで拝見したので覚悟していましたが、タイミング良く待つこともなく対応していただけました。

何も悪くない駅員の皆様が「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と仰ることが、自分の判断ミスだったことが明らかなわたしにとっては申し訳なくて仕方がありませんでした。

払い戻しの明細書

払い戻し事由は、「無賃送還」。

払い戻し対応は当日でなくてもできるそうでした。

振り返って思うこと

教訓としては、以下2つです。

①台風接近時には天気予報がどうであれ新幹線には乗らない(乗るとしても余裕を持つ)

②新幹線に乗る前に、飲食物を購入する


新幹線で一夜を過ごすこと、車中泊、新幹線での長時間滞在、どれも中々経験の出来ないこと。

わたしと同じように、新幹線で一夜を過ごされたのは約3,200人だそうです。

3,200分の1になったこと、この経験をしたことは今後の向こう10年間は忘れられない思い出です。

家族、恋人、友人。心配も迷惑もかけてごめんね。

私の判断ミスにより、結果的に仕事に穴をあけてしまったこと、ご迷惑をお掛けしたこと。夜分もチャットで状況を聞いてくださった上司Aさん、電話で不安を和らげてくださった上司Bさん。
謝っても謝り切れません。大変申し訳ありませんでした。

わたしは一人で乗車しましたが、小さいお子様とご乗車されていた親御様たちや高齢の方は私とは比べ物にならないくらい過酷だったと思います。

同じ経験をされた皆様、お疲れ様でした。

夜通し対応してくださった乗務員の皆様、緊急事態でも冷静に対応されていたお姿、かっこよかったです。
的確なご指示、ありがとうございました。

駅員の皆様、混乱の中でも一人一人に寄り添ってお答えされているお姿、感動しました。
優しく迅速に対応いただきありがとうございました。

そして、この台風により被害に遭われた皆様。
1日も早い復旧をお祈りしています。
皆様の元に1日も早く、日常が戻りますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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