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降りて来いよ仏教

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 来いよ(ドラマ『ケイゾク』の渡部篤郎風に)。
 来いよ俺らの所まで。

(文字数:約2700文字)


 お通夜で30分。
 告別式で40分が2セット。
 つまり合計で約2時間
 (告別式のみなら1時間20分)


 読経の時間です。



 言い替えるなら、
 参列者全員が、
 ワケなど何も分からないまま、
 心を無にして耐えている時間です。

 まして小学生や幼児には
 (そしてその母親には)、
 酷な時間に決まってんだろ。


プリーズ説明

  前々から真剣に思っているんだが、
  口にも出す度に誰からも、
  頷きつつも微苦笑されて終わるんだが、

  前もって、
  「こういった内容のお経ですよー。
   40分くらいかかりますよー」って、
  軽く説明くらいは入れてくれんのか?

  それはどうあっても、
  言い出す側を無作法に感じるまでに、
  有り得ない要求か?
  いいや。そうじゃないだろう絶対に!

  大人も退屈そうにしてんじゃん。
  おっさんとか耐え切れずに、
  席立ってるし寝てんじゃん。

  参列者が多ければ多いだけ、
  これだけの人数に対する、
  この時間が一体何なのよ。

  私は軽くだが知っている。
  ここ四、五年ほど御縁があって、
  仏教に接する機会が増えたからな。

  だからこそ言いたいんだ。
  一般庶民感覚では、
  葬式の時しか接しないくせに、
  随分と偉そうに押し付けられる、
  しんどい時間にしか感じないだろ!


呼ばれてないのにアハンハン

  なのでこの場を借りてワタクシが、
  ざっくりとですが説明しちゃいましょう!

  だけど私も専門家じゃないから、
  庶民目線でざっくり行くから、
  正確じゃないからって怒っちゃイヤよ♪

  あと仏教の中でも特に、
  高野山真言宗の話をします。
  他宗派とは違うところもありますので、
  参考程度にお聞き下さい。

1、通夜の30分

  真言宗では「理趣経」を唱えてます。

  亡くなった方がこれから旅立つ、
  仏の世界がいかに素晴らしいか、
  みたいな事が書かれてあるお経で、

  実は「生きている間にも役に立つよ」
  って書かれてあったりもするから、
  私個人は生前から知っときたいねんけどな。


2、告別式の40分(1セット目)

  亡くなった方はこれから、
  仏の世界に旅立つという事で、
  僧侶になってもらいます。

  なので僧侶になる儀式を行っています。

  皆さん普段そこまで意識されないと思うけど、
  いずれは仏教式の葬儀を選ぶのであれば、
  早かれ遅かれ誰もが僧侶になるんですよ。

  僧侶を敬え、と言うよりも、
  蔑んだり笑ったりしたって意味無いんですよ。
  言うなれば亡くなった後のお仲間、なのでね。

  ※浄土宗・浄土真宗は異なります。
  「南無阿弥陀仏」を唱えるだけで、
  僧侶にならずとも先祖が待つ浄土に行けます。  


3、告別式の40分(2セット目:初七日法要)

  不動明王をお呼び出しして、
  亡くなった方のこれからの旅路を、
  どうか見守って下さいと、

  お呼び出ししてしまった以上は、
  それはもう懇ろに頼んでいます。


  十三仏、という括りを、
  聞いた事があってくれると助かるのですが、

  亡くなった日から7日ごとに、
  違う仏様を呼び出して、
  旅路のお供をお願いし続けてるんです。

  七日目:1:不動明王
 十四日目:2:釈迦如来
二十一日目:3:文殊菩薩
二十八日目:4:普賢菩薩
三十五日目:5:地蔵菩薩 ー 閻魔大王
四十二日目:6:弥勒菩薩
四十九日目:7:薬師如来

十三仏(四十九日まで)

  とは言えこの全てをコンプリートできるのは、
  貴族・皇族レベルの方々くらい。
  庶民は四十九日法要と、

  特別に三十五日法要をやる家がありますね。
  この日に閻魔大王にお会いするので、
  子孫側からの最後の弁護という事で。

       百日目:8:観音菩薩
       一周忌:9:勢至菩薩
  三回忌(2年後):10:阿弥陀如来
  七回忌(6年後):11:阿閦如来
 十三回忌(12年後):12:大日如来
三十三回忌(32年後):13:虚空蔵菩薩

十三仏(四十九日以降)

  知人の相当位の高い御住職からは、
  「十三回忌までは子孫の勤めですよ」
  とにこやかに仰られてしまいましたが、

  あくまでも私個人の感覚では、
  「庶民は三回忌までこなせば十分だろ。
   誉められていいくらいだろ庶民なんだから」
  と思っています。

  「ってか江戸時代くらいまでは、
   武士でも四十九日までで、
   喪そのものが明けてくれて、
   子孫の勤めは十分果たしたって、
   きっちり認められてくれたからな?」
  と江戸時代の文献も後ろ盾にして、
  本音では思っていたりもします。

  (まぁその分四十九日までは、
   肉食禁止とかきっちり潔斎していたんだが。)


おまけ:PL教式では?

  前にどっかの記事で書いたのですが、
  私の配偶者は、
  高野山真言宗とPL教団のハイブリッドでして、

  お義父さんの法要は、
  仏式とPL式両方で執り行っています。

  ええ。世にも珍しいです。
  そうした事柄を面白がれる人間が、
  嫁に入って良かったですよ。
  嫁の立場から申し上げるのも何ですが。

  そしてPL教(神道系)の場合は、
  通夜も告別式も、

  最初に唱えられる「しきりのことば」と、
  教団独自の祈り方には結構驚くけども、
  耳で聞いて意味が取れる祝詞を唱えるだけで
  (内容は個人の略歴と冥福のお祈り)、

  全体でも30分とコンパクト♪
  参列者にだって負担が少ない♪

  亡くなった方もこれからは、
  先祖の霊に加わるだけ、なので、
  忌まないの。祭り(祀り)なの。

  遺骨も永代供養の建物、
  「芸生館」に納めさせてくれるし。

  ごく個人的な本音を言えば、
  庶民レベルの遺族たちにとっては、
  このくらいが実にちょうど良い気がするー。

  (しかしそのために入団して、
   毎月会費を納めて奉仕活動に勤しむとなると、
   人生全般を決定付ける別問題なので、
   私自身も入団していませんし、
   私からはお勧めも致しません。

   そして高野山真言宗の親戚は、
   「有り難みがちょっと……」と、
   首を傾げていた事も、
   遺族の実感として付け加えておきます。

   一方でPL側の遺族にとっては、
   仏教に触れた事すら無くて、
   何をどうやっていいんだか、
   分からないんですよ純粋に。)

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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