編集の仕事をしていて一番嬉しかった体験。

~少女漫画誌の編集長がフォロワーさんの質問に答えていく。②~

こんにちは。早々に沢山の方に読んでいただけてるみたいで嬉しいです。どうもありがとうございます。最初のエントリーで書いたとおり、僕のnoteではフォロワーさんたちからの質問にお答えしていってます。

(※先にお断りしておきますが、今後お答えしていくことは、すべて僕なりの個人的な一意見であり、会社や編集部の公式見解ではありません。)

今回は、最初の質問である「お仕事してて一番嬉しいことってなんですか?この仕事してて良かったーと思うことなど」についてのお答え、2回め。


今までで「「一番」嬉しかった体験」について書いてみます。


僕たち漫画編集者が普段読者の方たちからいただく反応というのは、ライブ系のエンタメと違ってアンケートの回答やお手紙がメインです。

最近はSNS経由で感想をいただくこともありますが、基本目の前にいる人から直接反応をいただくことはほとんどありません。

時々サイン会などのイベントで直に読者の方とお会いできる機会もありますが、頑張っても100人単位が精一杯ですし、大勢の読者の方が今まさに読んでくれている瞬間を目の前で見れることはほとんどありません。

その代わりに、「本」や「雑誌」というのは、広く沢山の人に長い期間届いていくという良さがあります。


読者は思いがけないところにもいる。

ありがたいことに、編集者も年をとるとそれなりに担当した作品の数が増えたり、作品(連載)の続く年数も増えたりします。

すると仕事をしている時に、あることが増えてきます。

仕事で関わった方から「その作品、私学生の時に大好きで読んでました!」と言ってもらえることです。

たまたま一緒にお仕事させていただいた他社の方から、弊社の新入社員まで色々なケースがありますが、「いつも凄い元気をもらってました」なんて言葉をもらえると、作品が誰かにちゃんと届いてその人の人生の一部になってるんだと実感できてとても嬉しい気持ちになります。

『好きっていいなよ。』と『となりの怪物くん』は、映画のプロデューサーの方が学生の時に読んで大好きだったから実写映画化に手を挙げていただけたそうで、それもすごく嬉しかったです。

また、特に嬉しいのは、自分が担当した作品がきっかけで漫画家になることを目指し、実際に投稿してデビューまでしてくれた漫画家さんがいた時です。時々「そういえばなんでデザートに投稿しようと思ってくれたんですか?」と漫画家さんに聞くことがあるのですが、その時に、自分の担当した作品がきっかけだったなんて知らされるとすごく嬉しくなります。

誰かにちゃんと想いが届いていると実感できる時は本当に嬉しいです。

そういう「届く」体験の中でも一際レアで嬉しいことが昨年ありました。


海外の漫画イベントに呼んでいただいた時のこと。


日本の漫画は海外でも翻訳、出版されていて、「デザート」の作品も数多くの国で発売してもらっています。

文化的に近いこともあってか、もともと韓国や台湾などアジア圏では少女漫画も人気なのですが、最近ではロシアやメキシコなど、もっと沢山の国で少女漫画も読んでもらえるようになってきています。

その流れなのでしょうか。

なんとスペインで『となりの怪物くん』が凄い売れているのでぜひとお招きいただき、昨年11月に、ろびこさんと一緒にバルセロナで開催されたイベントに行ってきました。

「SALON DEL MANGA DE BARCERONA」
https://mundodeportivo.jp/articles/3439

スペインの皆さんに漫画を中心にした日本の文化を紹介するという、こちらのイベント。まるで日本のコミケのように、日本の漫画やアニメのキャラクターのコスプレをした人たちがそこかしこを歩き回っていて面白かったです。

日本の漫画やグッズを売っているのはもちろんのこと、焼きそばや牛丼などの屋台も大人気!

主旨が日本の文化を紹介するということだからか、日本人であるだけでちやほやしてもらえて、それもすごいレアな体験で楽しかったです。

もちろん眺めているだけではなく、取材に答えたり、アクティブドローイングなど仕事も(主にろびこさんが)してきたのですが、もっとも沢山やったのはサイン会。

(写真左のスペイン版を出してくださってるNORMA社ブースの裏(写真右)がサイン会会場)

スペインに来る機会はそうそうないだろうからと、期間中に全部で4回開催しました。


サイン会では「一体なぜ『となりの怪物くん』がスペインで人気になった」のかを知りたくて、来る人来る人に「なんで好きになったの?」「誰が好きなの?」と聞いてみました。(挨拶と質問だけなんとかスペイン語覚えました!)

一番多かったのは絵が魅力的であること、キャラクターが新鮮であることだったのですが。

ろびこさんも僕も嬉しかったのは、結構な数の方が「自分のことが描いてある」「自分も変われると思えた」など、物語から力をもらえたという感想を話してくれたことです。

人間関係や恋愛に悩むことは世界共通の普遍的なことだろうと思っていましたが、遠く離れたスペインの地で、100人を超す人たちから「勇気をもらえました」と言ってもらえたのはものすごく嬉しかったです。

中には、ろびこさんに会っただけで感極まって泣き出すスペイン人の女の子もいて、こちらまでウルウルしてしまいました。


また、ファンの方たちだけではなく、現地のメディアの方や、『となりの怪物くん』スペイン版を出してくださっているNORMA社の皆さんが、驚くほど熱心に作品を読み込んでくださっていたり、より沢山の人に作品を広めようと日々努力してくださっていることを知ることができて、そのことも本当に本当に嬉しかったです。

連載が始まった時には想像もできませんでしたが、あんなに遠く離れた言語も文化も違う国の方達まで作品が届いていくことがあると実感できたのは、ものすごく幸せな体験でした。


そう簡単に何度も叶えられないでしょうけれども、一つの作品が本当に遠くまで本当に長い年月にわたって届くというのが、この仕事の一番の醍醐味だなと思います。

願わくば、スペインでの幸せな光景が脳裏に焼き付いているうちに、またあのような素晴らしい体験が味わえるように日々頑張っていきたいです。

今回は「仕事をしていて「一番」嬉しかった体験」について書いてみました。


次回は、この仕事をすることになったきっかけについてお答えしてみようと思います。よろしくお願いします。


※僕のnoteは無料です。サポートもなしです。サポートのお気持ちを持っていただけた場合は、かわりに「デザート」の漫画を読んでみてください!

「デザート」のことをご存知ない方もいると思いますが、実写映画になった『となりの怪物くん』や、今アニメが放送中の『3D彼女 リアルガール』が連載されていた雑誌、というと少しは「ああ、その雑誌か」と思ってくださる方もいるでしょうか?20歳前後の女の子を対象にした、月刊の少女漫画雑誌です。

よかったら、「デザート」の公式ホームページを見てみてください。
「デザート」のホームページでは全作品1話めを丸ごと無料で読めます!
http://go-dessert.jp/



ありがとう*\(^o^)/*フォローもよかったらお願いします!
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少女漫画誌の編集長がフォロワーさんの質問に答えていく。

「編集者の仕事をしていて一番嬉しかったことは?」「編集者になるのに必要なことは?」など、フォロワーさんたちからいただいた質問に、少女漫画誌「デザート」の編集長をやっている僕がお答えしていくシリーズです。
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コメント2件

しーげる様

とても興味深く拝読しました。

私も今まで編集の方々にお世話になってきました。
歳を重ね、編集者の方々がどんなビジョンを持っていらっしゃるかが気になるようになりました。

しーげるさまのノートを読みながら、本や雑誌をつくる上での嬉しいことを知り、頷いております。

フォローさせて頂きます。
これからも楽しみにしております。
とてもご丁寧なコメント、どうもありがとうございます。少しずつではありますが、思うところを書いていき、遠からず作品を作る際のことにも、もっと触れていきたいと思っております。これからもよろしくお願いします。
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