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31.食料品アクセス問題

買い物難民は様々な理由によって食料や生活に必要な物を買えなくなる人のことをいいます。

物だけではなく郵便局や病院、役所などでの手続きなど……料金を支払って受けられるサービスを受けられなくなることも含まれ、社会問題になっています。

買い物難民は買い物や生活に関するサービスを受けられないことから人の命に関わる問題です。
 
1人暮らしの高齢者の具合が悪くなったにも関わらず、どこにも行けずに誰にも発見されないまま死亡してしまったという例もあります。
 
一番近くのお店が自宅から直線距離で500m以上あり、車を利用できない人たち……買い物難民は全国に約700万人いると推計されています。

農村や山間部にある小さな集落で起きている問題だと考えられがちですが、それだけではなく…地方の都市をはじめ、団地などが多いベッドタウン、大都市でも買い物難民は存在します。

これからも買い物難民は増え続けると考えられています。
 
買い物難民が生まれてしまう原因の1つに、スーパーの廃業や商店街の衰退などが挙げられます。

住民の徒歩圏内にある商店街やスーパーが無くなってしまうことによって、買い物に行けなくなってしまいます。

スーパーの廃業は耐震化やバリアフリー化、防火性の向上など、住民の要求や法律によって建物への新しい要求に対応し切れずに廃業するケースも多く見られます。
 
各商店は少子化によって後継ぎがいないことで閉店してしまうケースや、客層の変化に対応し切れないなどの理由から収益が減少して店を閉めるという場合も多いようです。

近年は、街に進出したショッピングモールや大型スーパーによって商店街全体の売り上げが減少し、シャッター通り化してしまうケースも増えています。
 
また、古い商売の方法から抜け出せず、消費者のニーズに合わせられない店舗があり、商店街としての足並みが揃わないことで、商店街全体が衰退していくケースも多くあります。
 
近所にある商店街やスーパーの閉店によって徒歩や自転車で買い物に行けなくなった高齢者は、自宅から離れた大型スーパーなどに買い物に行かなくてはなりません。

車を持っていない人たちは、公共交通機関を使って買い物に行くことになります。

しかし、山間部や僻地になると、公共交通機関の衰退が顕著です。

ひどいところになると鉄道どころかバスも走っていないところもあります。
 
そうなると必然的に買い物に行けなくなってしまいます。
 
また、車を持っている場合でも過疎地におけるガソリンスタンドの減少が進んでいる現実があります。
 
自分の住む町にガソリンスタンドがなかったり少なかったりする場合は、車の買い物も困難になり、買い物難民が生まれてしまいます。
 
山間部や過疎地だけではなく、大都市でも買い物難民が生まれている原因として住民の高齢化があります。

高齢になると次第に足腰が弱まり、自転車はおろか歩くのもおっくうになります。

若い頃には大した距離ではなくても、気づかないうちに大変な距離になっていることが多々あります。

また、車の運転も高齢になると判断能力が衰えて周囲から止められるようになり、車でも買い物に行けなくなっている現状もあります。
 
大都市に住んでいても郊外型大型スーパーが進出してきて、街の商店街や小さなスーパーが競争に負けて衰退、閉店してきています。

団地やアパートなどに1人で暮らしている高齢者が、大型のスーパーに足を運べなくなっている現状があります。
 
食料品アクセス問題とも言われますが、商店街や地域交通、介護・福祉など様々な分野が関係する問題であり、国の関係府省、地方公共団体の関係部局が横断的に連携して民間企業やNPO、地域住民等の多様な関係者と連携、協力しながら継続的に対応することが重要です。
 
政府は、過疎地に暮らす買い物難民の問題解決に向けて、ドローンによる荷物の配達や自動運転車を公共輸送手段として用いる等の提案をしています。

いつになったら、実現できることやら……考えてくれているだけでも良いことですが…。
 
とにかく、買い物難民などの社会課題を解決する為に、AIや5Gなどのテクノロジーを活用した新しい移動の仕組や街作りを急いでいるようです。

そうした政府と大企業による取組だけではなく、各自治体や地元の有志が買い物難民を少しでも改善させる為の推進、努力をしています。

まず、宅配サービスの充実です。

ネットスーパーだけでなくNPO法人や様々な企業などの新しい取組が始まっています。

そして、移動販売の推進です。

地元で営業している個人商店やスーパーマーケット、生活協同組合の他、大手コンビニチェーンも参入しています。
 
多くは巡回する日時を決めて、集落にある空き地や特定の民家の軒先に乗り付けて販売を行っています。

移動販売は宅配サービスとは違い、自分の手に取って商品を買うことができます。

特に不便な山間部や過疎地にとっては助かるサービスです。

現在は、とくし丸やコープさっぽろのカケル君など…買い物の楽しさを残しつつ、買い物難民の人たちを支援することを目的とする移動スーパーが活躍しています。
 
買い物だけではなく、見守り隊としての役目を果たしています。

生鮮食品を含め400品目以上のアイテムを搭載した冷蔵庫付きのトラックで、会話し、買い物をしていただくというサービスとなっています。
 
また、交通機関の不便を解消する為に自治体ではコミュニティバスの推進も行っています。

更に、各地で地元有志が集まったりボランティアを集めたりして近隣の商店の協力を得て、週1回、空き地で青空市を開催するなど、様々な対応をしています。
 
買い物ができないことは本当に不便なことです。

しかも、食料を買えないとなると人命にも関わってきます。

買い物難民を少しでも減らして、誰もが暮らしやすい生活環境を作る必要があります。


写真はいつの日か…倶知安町の空を撮影したものです。

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