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84.訪問介護の賃下げ’24

今日は久々に4日連続のお勉強なので、手短かにサラッと簡単に…いや、グチか…。

今年になって、介護職の在り方や人手不足、待遇改善などが議論される中で、政府が急転直下の決断をしました。

来年度からの介護報酬の改定の話です。

訪問介護の基本報酬を引き下げられることになりました。

政府は待遇改善の加算措置で、トータルで見ると報酬の減額にはならないと仰ってます。

厚生労働省も、訪問介護については他のサービスよりも利益率が高いと指摘しています。

現場の感じ方と少し遠くに行ってしまった優秀な有識者と呼ばれる人たちの感覚との間で、かなりのズレが生じてしまっているようです。

毎年のように話題になりますが、訪問介護業界は厳しい状況にあります。

2023年の訪問介護事業者の倒産件数が過去最多になっています。

仕事がなくて倒産するわけではなくて、働く人材が揃わないから倒産するわけです。

福祉分野以外の業種では、昨年に続き今年も賃上げなどの処遇改善が一部で期待されています。

そういったこともあり、飲食業など他業界との人材獲得競争が厳しくなります。

人手不足解消はますます難しい状況になります。

物価高騰で、以前よりももっとお金がもらえる仕事をみんな探さないと生きていけないので、そうなってくると、多くの人が福祉業界を離れるわけです。

この業界で働く人はボランティア精神を持った人に絞られてきます。

とにかく、どの業種にも賃上げの動きがある中で、訪問介護は賃上げさせないという国からの通達には驚きました。

それにしても、訪問介護の利益率が本当に高いなら、これだけ訪問介護事業所の倒産が増加するのはどうしてでしょうか…。

どうして、求人倍率も15倍以上という なり手不足になってしまっているのでしょうか…。

これまで目標に掲げられてきた地域共生社会の実現には、訪問介護は重要な要素になるはずです。

でも、今回の決定を見るとこれまでの方針は撤回するということの意思表示のように見えます。

せっかく、いろんな地域でコンパクトシティが作られてきているのに、今回の決定ですから、矛盾だらけで現場は混乱気味です。

ひょっとしたら、やっぱり人材確保が不可能と判断して、施設収容型の支援に方向転換しようとしているのかな…とも想像してしまいます。

そして、訪問介護の現場で仕事をしている人たちは、基本報酬が下がってしまうのだったら施設に移ろうと考えるでしょう。

これから介護の仕事をやろうと考えてくれていた人たちも賃上げがないなら辞めておこうと考える人たちも大勢出てくると思います。

訪問介護は利益率が高いというのは、人が集まらないことから人件費が減ったという場合が多いです。

現場ではケアマネージャーもどんどん辞めています。

それなりに高度な技能や知識が必要ですが、代わりがいない間にケアが必要な人の体調は悪くなっていき、福祉を通り越して医療の領域へ入っていきます。

その医療業界だって、これからの時代、どんどん働き手は減少します。

もう取り返しが付かなくなります。

人口動態から見てもわかるはずです。

もうこれまでの仕組で、これからの時代を乗り越えることは難しいと思います。

今回の話は後期高齢者の人口予測に対して、介護士は何人必要で、確保する為にどうするのか…ただ、これだけの話です。

問題は、確かに今も大切なのですが、実は10年、20年、30年後…もっと先のことだと思います。

高齢化が進めば社会保障の予算は増えていきます。

毎年それを高齢化の人口の伸びだけに抑えようとします。

何かやりたいことがあったら他のところを我慢しましょう…と。

そして、昨年からは急に子育て支援にも力を入れるようになりました(とても大切なことです)。

それも戦争の準備があるので、そちらにもお金がかかるようになりました。

このままだと社会保障は崩壊します。

医療にしても介護にしても、これまで1割負担だったところが2割になると負担はかなり大きくなります。

年金は入ってくる金額が決まっているので、何かを切り詰めないと今度は介護保険のサービス料が支払えなくなるということです。

そう考えると、そこは慎重に別の方法がないかを考える必要があるのだと思います。

利用者目線はとても重要です。

それと同じぐらい事業者目線も大事です。

利用者目線だと、低所得で基礎年金しかなく、しかも満額もらえていないような人が、保険料を払いながら介護を受けるのは大変になります。

そこは別の一定の支援が必要になります。

そして同時に、事業者側にも支援が必要になると思います。

とにかく、この人員確保が難しい状況の中で、今の制度で人助けをするのは、かなり大変で面倒臭い状況になってきています。

人助けってこんなに大変だったっけ?…と思うことが多々あります。

子どもの時はもっと簡単に困っている人を助けれたよな…なんて感じています。

もう少し柔軟な制度にすることも大切だと思います。

人助けはゲームではありません。

無駄を排除していくことで、限られた人員でもより多くの人のお困りごとを解消できるのだと思います。

それが効率化というやつです。

とにかく、今回の報酬改定で状況は一気に悪化すると思います。

さて、どのように乗り越えるか…頭が痛くなる日本の福祉です。

とは言っても、今回の決定事項は有識者の考えですから、ちゃんと良い新たな方策があってのことと信じて、静観しようと思います。

やはり私のような凡人には学識のある人たちの考えには追いつけません(笑)

ということで、今回のお勉強を終えようと思います。

写真はいつの日か…、札幌市の円山公園で撮影したものです。

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