見出し画像

ライブはまるで恋のようだし、そして恋は泡(うたかた)。/Grapevine Club Circuit2018

手の中の砂のように掴んだその先から溢れ落ちていく記憶。

瞬間を留められないもどかしさを感じるのはいつも、恋する相手といるときと、ライブを観ているとき。

そんなわけで今日はグレイプバインのライブにマキさんと行った。

今日もバイン様は素晴らしかった…。

私が初めてグレイプバインを聴いたのは、夜中のミュートマジャパンで流れた『白日』のMVだった。

たしかミッシェル・ガン・エレファント観たさに観たはず。

『白日』は中学生の当時の自分には、不思議な曲だった。

名前が付けられない感情を音楽にしたらこんな曲、みたいな曲だった。

冷静なのに燃えていて、速いのに遅い、楽しいでも、悲しいでもない、そういったハッキリとした形になってなくて、私は静かに衝撃を受けた。

何か心の中でモヤモヤして、忘れられなくて、また聴きたくなって、いてもいられなくなってCDを買いに行った。

そんな中学時代から20年経って、まだ同じ曲を今日ライブで聴いていた。

そして、恐ろしいことに、中学生の頃に聴いたバイン様よりも、カッコ良かった。

確か高校生の頃に初めてグレイプバイン のライブを行くとき、私以外にもファンはいるんだろうか…と正直思っていた(笑)。

ライブに行ったら、「こんなにみんなグレイプバインを聴いているんだな〜!自分だけじゃなかったんだ!」と思った。

しかし今日は、その頃の倍以上の人がグレイプバインのライブを観ていた。

バイン様は最近また人気が出てきている。

それがなんだか不思議だったし、大人の私は凄いと思った。

グレイプバインは未だ衰えないどころか、まだまだ進化している。

老成したロックをやる若者と呼ばれた昔よりも、現在の方がやってる音楽がしっくり来ているように思うし、いい感じに年を重ねたオッサン感がいい感じ過ぎて「グレイプバインになりたい」と思った。

グレイプバインを好きだと言うと「あー、グレイプバインの田中はヒグチさんのタイプっぽいよね〜」と言われたことがある。

間違わないで欲しい。

私がバイン様で一番好きなのはギターの西川さんである。

今日も西川さんが見える左側にポジション取りをした。

バイン様のライブは男性のお客も多いので、わりかし背の低い自分には見辛いことも多いが、西川さんがギターソロを弾くときは、ピョンピョン跳ねて観た。

西川さんは気持ち良さそうにギターを弾く。

ときどき口が開きっぱなしになっている。

まるで温泉に浸かっているかのように、ときどきめっちゃ間抜けな顔になる。

その瞬間がたまらない!!!

西川さんはまずギターがめちゃくちゃ上手い。

私は日本で一番エモくてセクシーなギターを弾く人だと思う(洋楽で一番はジョン・フルシアンテ)。

西川さんはインタビューで「自分はあんまりギターを弾きたくない。ケーキの苺みたいな感じで印象的なワンフレーズで終わらせるくらいにしたいくらいだ。でも、そうもいかないけど」みたいなことを言っていた。

なんかそういうところがすごく好きだ。

美学を感じるというか。

たぶん、田中さんも西川さんに憧れているところがあるところがあると思う。

なんかこう、ハードボイルドっぽいのだ。

白日のMVのときのギターを弾く姿は、次元大介のようだし。

もちろん田中さんのボーカルもドチャクソ素晴らしい。

若い頃はボーカルが細くて甘かったところもあったけど、年を取って、どんどん太く、ハリが出て、シャウトもガンガン効かせるようになったし、声量がどんどん伸びている。

歌唱力は昔よりも上がっている。

バイン様が衰えない感じがするのは、田中さんのボーカルが良くなっているからだと思う。

演奏もそうだけど、声というものを伸ばし続けられるってバケモノのように思う。

昔の曲を今やると更にカッコいいのはそのせいである。

ドラムの亀井さんだって当たり前だけど素晴らしい。

私はCDで聴くと亀井さんのドラムがそんなグッと実は来ないことがあるけど、ライブで聴くと毎度「ヤベェ、ドラムめっちゃうま。」となる。

私はキース・ムーンや、デイヴ・グロール、Foo Fightersのテイラーみたいなガツンとしたドラムか、Blonde Redheadのシモーネのクロックスドラムと呼ばれる、めちゃくちゃ手数の多い打ち込みみたいなドラムが好きだったりするけど、亀井さんのドラムは、本人がメロディメーカーなせいか、あんまり邪魔をしないドラムな感じがある。

特にCDはギターの音に比重があるので、ドラムがあんまり表に出ない感じがあるのかもしれない。

マキさんとライブ後に飲んでいて、亀井さんのドラムは上手すぎてサンプラーっぽく聴こえてしまうのではないか?という話になった。

サポートのベースの金戸さんも上手いし、キーボードの高野さんもハンパなく、つまりグレイプバインはヤベェバンドなのである。

今日はわりとバイン様の中ではポップで軽めなアルバムからの曲が多かった。

一曲目から、ミドルテンポのわりとアコースティックっぽい曲が続いて、肩透かしを食らったところがある。

アルバムだと、『HERE』、『ANOTHER SKY』、『イデアの水槽』、『真昼のストレンジランド』、『Burning Tree』、『Babel,Babel』あたりの曲で構成されていた。

グレイプバインは彼等のMCを聞いてもよくわかるけど(とはいえ喋るのは田中さんのみ)、めちゃくちゃ天邪鬼だ。

今日も「今年はたくさんフェスにも出たから、そこで観てベスト盤とかも聴いた人もいるかもしれませんね〜。その期待を裏切っていく姿勢でいきます!」と言って、アルバム曲や、B面曲などをたくさんやっていた(笑)。

相変わらずだった(笑)。

いつのライブでと、アレンジもしまくり、途中セッションしまくりで、しかもめちゃくちゃカッコ良くて、CDの音を200%超えてくる。

本当スゲーんだよ。

今日もグッとくる曲ばかりだったけど、特に『Forge Master』と『ナポリを見て死ね。』は圧巻だった。

いやー、とにかくいろいろ書きましたが、グレイプバインは最高だし、いつまでもライブやり続けてくれることが、一ファンとしての願いです。

今日はさんざん「今日は告知することないねん〜〜。」と言い、いつものことだけど、同じようなことばかり言う田中さんだったけど最後のMCで「帰り看板観ていってや〜。あとなんかわからんけど飾ってるやつも。」と言っていた。

新譜の告知がされていた。

「なんだよ、ちゃんと曲作ってんじゃんよ!」

どこまでも天邪鬼でカッコいいバイン様なのである。

ちくしょう、一生ついてくぞ。

#日記 #エッセイ #ヒグチトモミ #ヒグチトモミのつれづれ日記 #グレイプバイン #ライブ #音楽

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?